オレガの証言~人民革命~その6
【現在】
大陸歴1710年5月4日・パルラメンスカヤ人民共和国・首都アリーグラード
イリーナとクララは興奮気味にオレガの話を聞いていた。
クララが感嘆の声を上げる。
「五人の刺客を撃退するなんて、すごいですね」。
「なかなかの剣の腕前だったって、言ったでしょ? 」
そういってオレガは微笑んで見せた。
「あの頃は、七、八人ぐらいまでであれば、何とか全員倒せるぐらいの腕はあったはずよ」。
「すごい」。
イリーナが質問をする。
「あとは、プリブレジヌイの戦いの初めの方で、帝国軍の攻撃の時、雹の降った理由です。これは大気魔術だったのですか?」
「それは、わからないわ。あまりにも不自然なことだと思ったけど、革命軍にとってはありがたい奇跡だったと思ったわ」。
「革命軍に外国の魔術師が参加していたことは?」
「それはないと思うわ。大気魔術を扱うのはヴィット王国の“雪白の司書”が思いつくけど、革命軍に彼らが参加していたという話は聞いたことがないわ。革命軍にも魔術師は少しだけ参加していたけれど、それは元帝国軍の人達だったので、大気魔術を使えるものは居なかったはず」。
クララが話題を変える。
「それにしても、キーシン司令官は、よく仲間になりましたね」。
「まあ、彼も命が惜しかったのでしょう。それに、帝国では罪人でしたし、今後も帝国軍に復帰することは叶わないでしょう。だから、革命軍の指揮官として優遇されるとすれば、断る理由もないでしょうし」。
「革命の後も彼は指揮官だったのですか?」
「ええ。十数年、総司令官を務めていて、お爺さまが退官した時期と同じぐらいに退官したと思うわ」。
オレガは少し息をついてから、再び話し出した。
「じゃあ、続きを話すわね」。




