プロローグ
タイムマシーンは必ず存在する。
タイムマシーン、通常の時間とは違う未来や過去に移動する時間旅行のための道具。
青い猫型ロボットでも、発明好きの小学生でも、お姉さん好きの5歳児でも、多くの女生徒をかかえる子供の魔法先生でも、金髪になる戦闘民族の物語でもこの道具はでてくるのだから、むしろ存在しないほうがおかしい。
誰もが持ってる未来を見たい気持ち。過去を変えたい気持ち。
もし、万が一この道具が存在しなかったとしても、この道具は子供でなく大人にも夢と希望を与え続けているのは真実なのだ。
僕はこの道具が大好きである。
そう、この子と同じように
「ひびきが可愛いのがいけないんです。」
僕は言う。
「こういうところは姉の源先生と同じ血なんだと悪い意味で感心するよ。確かに娘を大事にすることはいいことです。しかし、授業参観にあの行動は恥ずかしいですよ。」
こんなやり取りを三十分ほど先生と続けていた。
先生といっても僕がこの菊地先生に教わっていたのは十数年も前で、当時は若かった先生も、今や白髪交じりで貫禄も出てきた少しやせ気味のおじいちゃんである。
「コーヒーだよ霧君」
面会室の丸テーブルの上に湯煙のたったコーヒーが置かれる。
「源先生、学校での公私混合はよくないですよ。彼ももう立派な一人の父親だ、そんな彼に君付けとは、源先生に言っても無駄でしょうけどね」
菊地先生は少しあきらめたような表情で言う。
「だって、一ヶ月振りの弟との再会ですよ。せっかくひびきちゃんの担任になったのに、でもさすが霧君の娘だけあってかわいいよね」
源先生こと華音姉ちゃんと僕は互いに顔がにやける。
「・・・・・」
菊地先生のため息が聞こえてくる。どうやら諦めたみたいだ。
「では、ありがとうございました。菊地先生が小学校の先生になってから話せなかったので楽しかったですよ。娘をよろしくお願いします。」
話を終え、面会室を出て先生と華音姉ちゃんと別れ歩き出す。
鞄の中から2つの携帯の丸型の方を取り出して開く。
“受信メール1件”
これを見る瞬間に気持ちがはしゃぐ。
メールを開くと題名に数え切れないほどのRe:の数がついたメール
『私も頑張ったよ。こっちはみんな元気にしてます・・・大好きだよ』
僕は携帯の返信ボタンを押す。
Re:がまた1つ増えた。