ピヨピヨ第十六話 ~半開きの花~
レーシーはハンサムで働き者の王子様と結婚したいと思っていた。彼女は、ある小説を読み、恋もそれ程簡単ではないことを知った。
ここで、その小説を紹介しよう。
『姫と王子の物語』
昔々、あるお城に心優しい王子が住んでいた。彼は、ある貧しくて美しい女性の噂を聞いていた。彼女は何もできないが、心はとても純粋で子供には優しかった。王子はこの女性のことが好きになり、彼女と付き合い始めた。
しかし、そんな時、彼の前に別の女性が現れた。彼女は金持ちではあるものの、綺麗さ、心の美しさでは彼の付き合っている女性よりはるかに下だった。王子はそれを見抜き、この女性に「あんな貧乏な女とは別れて私と付き合ったらどう?」と言われた時、即断った。
これに金持ちの女性は憤慨し、ある日貧乏な美しい女性の飲み物に毒を混ぜた。女性は病院へ運ばれ、王子は泣きながら毎日彼女の看病をした。しかし、彼女は目を開ける気配はない。
王子はついに希望を失い、金持ちの女性に説得されて彼女の病院へ行かなくなってしまった。
彼女が目を覚ましたとき、王子はすでに金持ちの女性と付き合っていた。彼女はこの噂を耳にし、ショックを受けた。彼女を求める男性はたくさんいた。特に熱心に彼女を求めてきたのはあるとても平凡な男性だった。彼女は最初のうちは断っていたが、この男性のあまりに熱心な求愛についにおとされてしまい、彼と付き合い始めた。
この時、王子は貧乏な女性が目を覚ましたと聞き、今付き合っている金持ちの女性とは別れ、急いで彼女の家へかけつけた。すると、その時ちょうど彼女と彼女の新しい彼氏はキスをしていた。
ショックを受けた王子は、心ここにあらずの状態で城へ向かい、その途中で車にぶつかり、病院へ運ばれた。貧しい女性もショックで、平凡な男性と別れ、王子の元へお見舞いに行った。初めは、王子は許してくれなかった。「頼む。もう来ないでくれ。」と王子は言った。しかし、彼女はめげず、看護婦さんに彼に手紙を渡してくれるように頼んだ。
王子はこの手紙に感動し、確かに自分も悪かったことを認め、松葉杖で貧しい女性の家へ行った。彼女は一人で机に頬杖をついて座っていた。王子は彼女の手をとり、お城へと連れて行った。以後、彼女は王子と幸せにお城で暮らすようになった。
実際のところレーシーはつい最近理想的な彼氏と別れてしまったのである。彼女にとって新しい人を見つけるのは簡単ではなかった。
しかし、レーシーはもう「つぼみ」ではない。「半開きの花」である。彼女は神様に与えられた命を大切に生きようと思った。だから失恋しても彼女は生き続ける。