季唯と久宇
私は今日も家の近くにある公園に来ている。今日は珍しい猫さんが来ているみたい。だからさりげなくその猫さんの隣りに座って猫さんの背中を優しく撫でながら猫さんに話しかけてみた。
「ねぇ、猫さん。あなた人間の言葉、わかるし話せるんでしょ。私とお友達になりましょ。」
私が猫さんに話しかけると猫さんはビクッと身体を震わせた。
「まぁ、そうよね。いきなりビックリするわよね。ごめんね。とりあえず私の名前は季唯よ。よろしくね。あなたの名前はなんていうの?」
『……、久宇だにゃ。』
「久宇っていうの? いい名前ね。」
『ありがとにゃ。なんで、僕なんかに話しかけたにゃ?』
「私ねあんまり友達いないの。それに小さい時から動物達の話す言葉がわかるの。だからかな?」
『そうかにゃ。』
「この事は誰にも言わないから安心して。」
『ありがとにゃ。』
「それとね、体の何処でも一部分が何かに触れたり触ったりすると相手が何考えてるかわかっちゃうの。」
『そうかにゃ。それは大変だったにゃ。』
「えぇ……。あっ、せっかく友達になったんだから毎日は無理かもしれないけど此処に来た時に私の話し相手になってくれる?」
『ここのベンチは寝心地が最高だからいいにゃ。』
「ありがとう。嬉しいわ。」
『どういたしましてにゃ。今日は何か話すかにゃ?』
「今日は大丈夫よ。ありがとう。撫でててもいい?」
『いいにゃ。』
「ありがとう。」
季唯は家に帰る時間までずっと久宇の背中を撫でていた。
久宇も気持ち良さそうだ。
「そろそろ帰るね。久宇、今日はありがとう。」
『わかったにゃ。季唯は撫でるのが上手いにゃ。気持ち良かったにゃ、ありがとにゃ。』
「ならよかったわ。どういたしまして。また明日ね。」
『また明日にゃ。気をつけて帰るにゃ。』
「うん。ありがとう。」
季唯は自分の家に向かって歩き出した。家に着き「ただいま。」と言うとお母さんが出迎えてくれた。
「おかえりなさい。あら、何か良いことあったの? 嬉しそう。」
「うん。」
「よかったわね。」
「うん。」
「夕ご飯出来たから食べましょう。」
「うん、手洗ってくるね。」
「リビングで待ってるわ。」
「は~い。」
今日は夕ご飯は美味しく食べられそう。よかった。久宇、ありがとう。
読んで頂きありがとうございました。