ひなよつが紡ぐ夢か現か
ねぇ、聞こえてる?
ねぇ、ちゃんと見てくれてる?
それが口癖だったキミ。
ベッドに入り、いつも微睡みの中聞かれるものだから、今日は少し素っ気なく返事をしてしまった。
ねぇ、聞いてる?
キミはそう言って話始めたんだったね。ボクはキミの声を聞きながら夢の世界へ引き込まれていく。
あれ?
もう朝か?
キミは身支度を整え、大きな鞄に荷物を詰めている。
どこいくんだよ。
キミは光に包まれ笑顔でボクを見つめていた。
何も言わず、ただ笑顔で……。
なぁ、聞こえてるんだろ?
いつもキミが言うことを、今はボクが口にしている。
あぁ、そうか。
キミはいつも、こんな気持ちだったんだな。
今頃、気付くなんてな。呆れているか?
なぁ、返事してくれよ。
最後は言葉を交わさず、ボクを見ることもなく、キミは部屋を出ていった。
そこで目が覚めた。いつも繰り返される夢。
ボクはどうしてわからなかったんだろう。
今頃気づくなんて馬鹿だよな。
今日もとなりにいる。
これは当たり前なんかじゃなくて、一秒という奇跡の連続の上に成り立ってるんだと、ボクは優しくキミを抱きしめて、おはようと告げた──
前回の書き出しの正解発表です!
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前回は……ひな月でしたぁ♪
当たった方いらっしゃいますか?
今回は夢なのか、現実なのか、不穏な空気で迎える終盤に、私達もドキドキしながら書きました。
皆様も楽しんで頂けていたらうれしいです。
という訳で、今回はどちらが書き出しの一文を書いたでしょうか?
それでは、次回もお楽しみに──