第5話 卵が先か鶏が先か
口喧嘩しながらも愛し合い、楽しく暮らしている夫婦を描いた傑作短編小説から、連想したのは、形而上学と弁証法のことだった。
そこのけに明るく軽妙洒脱な大人の夜のパーティージョークのような作品を読んだ。
減点しようがない。満点だ!
システムで評価はした。満点だ。だが感想を書き込めない。感想欄には楽しそうな称賛の声が溢れている。そこから、私は疎外されてしまう。楽しく称えたいのに、それが出来ないのだ。
原因はわかっている。私の腐敗した脳髄の論理回路にカチリとスウィッチが入ったからだ。分析を開始し、矛盾を探す。すぐ発見出来る。【卵が先か鶏が先か】この有名な命題の正解を知っている人は多いだろう。
それは後述するとして。
「ひよこは鶏ですよ?」こんな事は書き込めない。楽しんでいる人たちから、嫌われるだけだろう。
命題の正解は「卵」である。卵を生む女性は本能的に理解しているのかもしれない。作者もご存知なのだと思う。生物を分類するのは、形而上学的思考であり、進化論を発見するのが、弁証法的思考なのだ。
楽しく面白く、愛を定義した傑作短編小説の、隣接する世界は、広大であり、大宇宙そのものである。
私の精神のあり方、この有様を変えようもないのだろう。




