○○の君3
読んでくださっている方がいてとても嬉しいです!完結できるように頑張ります!
「あなたは誰?」
日に透ける淡い色の髪に、ちょっと珍しい鳶色の瞳。首にはくすんだ紅色のストールを巻いている。日に焼けた肌が、色が白いとよく言われる私に新鮮に見えた。
(若いお兄ちゃん。異民族出身かしら?)
異民族とは、およそ百年位前にここアテール国に平定された民族の事を指す。首にはストールを巻くのが、習慣だ。
(やっぱり、流れ者かしら?異民族はもともといた居場所を奪われて、成人したら直ぐに根無し草になる人も多いとシスターがいっていたわ。)
流れ者とは、定住する場所を持てずにあちらこちらで日々の銭を稼いでは宿に泊まり生きていく者の事を言う。職業柄良く言って豪快、悪く言って荒れた人が多い。
「なぁ、嬢ちゃん。ここを出るんか?」
「何でそう思うの?」
アイオライトの服装は至って普通だ。灰色を纏ったブカブカの服。首にはくすんだ黄色のレジュー(よだれ掛け)がかかり、茶色の靴を履いている。
(自分で思うのもなんだけど、とっても余所に行く服装には見えないはずよ)
余所に行く時はもっとよい服を着られる。なるべく見目を綺麗にして、より良い里親に引き取られるようにするのだ。
「だってよ、嬢ちゃんの目はどこか死んでいる。あんたみたいな年頃の子は、もっと毎日キラキラしとってるよ」
あぁ、でも。と、男は続けた。
「嬢ちゃんの目は一部が死んでいるだけで、他は輝いてる。まるで小さな入り口から懸命に出ようとしている、どぶねずみだ」
中途半端でごめんなさい。