まさかの、ぼっち戦ですとぉぉぉ!?
今回は…戦闘シーン!!!
やったー!仁娯は…戦いがすきだぁーーー!(平和主義者です)
「あれが、マザー・インフル……」
毒々しい色あいで、目つきの悪い鳥やら豚の柄をあしらった着物に身を包み、細長いパイプ煙草を吹かすマザー・インフルは、とっても威圧的なオーラをはなっていますです。
「ああ? あんたが、あたしの相手……ぷっ、はははははは! そーかい、ようやく見つけ出したってわけかい」
な、なんでインフルさんは、笑っているのでしょう?
「にしても、間抜けな顔してるねえ、こんなんが本当にあたしの相手になるんだろうねぇ?」
ば、ばかにされてる!? 私の事、初対面で馬鹿にしたですよね!?
「い、インフルさん! ここで会ったが百年目! 私といざ、しょーぶです!」
どーだ! 決まりましたですよ、ヒーローっぽいセリフ!
けど、あ、あれ? なんだか、インフルさんはさらに大爆笑、あんりはポカーン。みゆうに至ってはヤレヤレ顔ですと!?
「ひかり、そんな恥ずかしいセリフ言ってないで早く変身したら?」
うっ、まさか味方からの精神攻撃! 恥ずかしいセリフって……みゆうのいじわる!
で、でもみゆうの言う通り、早く変身しなくちゃです!
「さぁ、ひかりさん!」
あんりが携帯用の小さなケースから取り出したのはやっぱり……
お注射……
あっ、ちょっ、まってあんり、まだ心の準備が……
ぷすっ!
ぎょぇぇ〜!
そして私は、またもやタミフルちゃんに大変身です!
「いててて……」
はっ! いけないいけない。
「タミフルちゃん、参上です!」
決まりました! 決めポーズ……は、まだ考えてなかったです……
「ふーん、それじゃあ少し、遊んであげようかねぇ」
わわわ! インフルさんの手から黒い……なんですか? 砂ですか?
「タミフルさん! それは蚊よ!」
え? 蚊ですか!?
「痒いのはいやだぁぁぁー!」
あんなに大量の蚊に刺されたら、痒くて痒くて死んでしまいます!
「はは、あんた面白いねぇ。そいつらはただの蚊じゃあないよ、刺されたらあたしのインフルエンザ菌が体内に注入されて、そこで寝っ転がってる奴らのようになっちまうのさ」
な、なんですとぉ〜!?
ひ、ひぃぃぃ! それは必死で逃げないとです!
「あれ? あんり、インフルエンザって蚊では感染しないよね?」
みゆう、今はそんな疑問は多分どうでもいいです!
「やつら病魔の作り出した菌は、ただのインフルエンザ菌や結核菌でないことは、みゆうさんももう分かっているわよね。病魔はさらに、感染方法なども改造して、ありとあらゆる攻撃に適用した菌を作り出したのよ。だから、あのマザー・インフルのインフルエンザ菌は、蚊によって媒介されるわ」
あんりも、そんな真面目に解説しなくていいです!
「だ、誰か早く殺虫剤をくださいぃぃ! って、あんり、みゆう、建物に逃げ込まないでよぉ! 助けてぇぇぇ」
あんりとみゆうは、食堂のあるガラス張りの建物の中へ。
確かにそこなら、蚊が入ってくる心配はなさそうですけども! 私は!?
“タミフルさん!”
えっ、頭の中であんりの声がします!
“タミフルさん、私は今、風邪の噂菌を使ってあなたと話しているわ。とにかく、今はフリーゲンで逃げながら攻撃技を出して!”
ふ、ふりーげん!? ……って、何でしたっけ?
“あんり、多分タミフルの足りない頭じゃあ、フリーゲンが何か分かってないから”
その声と毒舌は、みゆう!
“あぁ……そうね”
あんりも、もう少し反論して欲しかったです……
“タミフルさん、意識を飛ばすイメージを持ちながら、フリーゲンって叫んでみて!”
い、意識を飛ばすイメージって、なんですかぁぁあ!?
「そ、そんなこと言われても……ひぃぃぃ!」
この蚊、なんだかスピードが遅い気がします。菌を持っているから重たいのかな?
で、でも走るのももう限界!
「ふぅー……そろそろいいかい? あたしの可愛い子供たちには、鬼ごっこ以外の遊びもしてやらなきゃねぇ」
わわわ! これは、インフルさんが何か仕掛けてくる予感です!
両手を広げて? 着物の柄が……こっちを向いた!? なんか、着物の柄の鳥やら豚やらが、本物の大きさになって飛び出してきました!
タミフルちゃん、ピーンチ!
“タミフル! 結核にやられた時、意識が飛んだでしょ! あの時の感覚を思い出して!”
みゆう! そ、そうか! あの感じを思い出して……
「!!!フリーゲン!!!」
……って、わわ! 飛んでるです! はやいです! ひぃぃぃ〜!
でもでも、さっきの蚊は遅かったのに、なんか鳥や豚はすごい速いんですけどぉ!? 追いつかれるぅぅぅ!!!
“そのまま、発熱した時のイメージで、フランメ!”
発熱!? たしか、最近熱を出したのはえぇっと……
“中二の夏!”
みゆう! そうでした! あの時は二人で……
“早く撃つ!”
は、はぃぃぃー!
「!!!フランメ!!!」
ぎゃー! 何となく両手を突き出して叫んだら、手の平から火炎放射がぁぁぁ!
「ほぉ。やっぱり、攻撃が当たるとなると、こっちも何か対策が必要かねぇ」
インフルさん、タバコを吹かしてたかと思っていたら、倒れた人たちを、蚊の大群にのせて回収していました!
ってことは、逃げるんですか!?
「今日は大収穫だねぇ。また遊んであげる。あたしの可愛い子供たち」
って、まてぇぇぇですぅ!
……き、消えた。
……逃がしてしまったようです。
「ひかりさん、大丈夫!?」
あんり! みゆう!
あ、いつの間にか私の変身が解けてます。
「もぅ、二人して逃げちゃうなんてひどいよぉー」
「ごめんなさい、でも私たちではマザー・インフルに対抗できないから……」
「ん? どういうこと?」
「マザー・インフルや、マザー・インフルの生み出した蚊、動物たちに、物理的攻撃やクラリスやリーファの攻撃は効かないの」
「な、なんですとぉ!?」
「ひかり、絶対よくわかってないでしょ」
「えへへ、ばれた?」
「つまり、さっきひかりが、殺虫剤~って言ってたけど、あの蚊に殺虫剤は効かない。さらに、タミフル以外の攻撃は効かないって事」
「つ、つまりは……」
「つまり、マザー・インフルが現れた時、私たちはタミフルと一緒に直接戦えないのよ」
まさかの、ぼっち戦ですとぉぉぉ!?
頑張って戦ってもらいました!
買ったのか負けたのか、……負けたんでしょうね!これは!!!