5.宗嗣
会話重点的にやりたい……
でも説明ばっかり力入れちゃう…
「せいっ!! はっ!!でぇぁぁ!!」
ギィンッギィンッ グワァキィン!!
金属がぶつかり合う鈍い音が砂だらけの世界に響く。先頭を歩いていた小柄な青年…七宮宗嗣が殺戮人形相手に寸分の狂いもない剣舞を繰り広げる。 敵の右脇腹から左肩に向けての逆袈裟斬り、それを返しての袈裟斬り。横一文字、三段突き、斬り払いからの斜め両断斬りと、流れるような剣舞は全て急所を狙った攻撃だ。しかしそれを何とも思わないように軽く受け流す殺戮人形。
ケケケケケケケケケケケケ
まるで攻撃が通じないことを嘲笑うかのように乾いた笑い声を上げる殺戮人形。
「……………………」
斜め両断斬りから鍔迫り合いに転じたことにより、間近でその笑い声を聞いた宗嗣から………先程まで発せられていた荒々しいオーラが消え失せ…静かで濃密な…明確な殺意が滲み出し始める。 相手もその変化を感じ取ったのか、一瞬怯んだように鍔迫りが弛む。そしてその一瞬は、暴走した宗嗣にとって、形勢を逆転させるには十分すぎる一瞬だった。
グゲェ!?
一本取られたような間抜けな声を上げる殺戮人形。それも仕方ない。何故なら宗嗣と鍔迫り合いをしていた場所から軽く数百メートル吹き飛ばされているのだから。
「……去ね…」
そうぽつりと呟くと、吹き飛ばした殺戮人形に追い付くと言う、常識外がお似合いの現象をいとも容易くやってみせ、体勢が大きく崩れた殺戮人形に両刃の大剣を振りかぶる。だが殺戮人形も負けられないと、足を刃に変形させ、下から真っ二つにしようとするが……
ッバァァン!!
突然の発砲音と共に振り上げられかけた足が砕かれ、虚空を空しくなぞる。
そしてそれは宗嗣のトドメを確実なものにし……
ズバァァァァッ…
真っ白な体を斜めに両断され、地面にどさりと倒れる殺戮人形。 血が流れることはなく、次第に形を失い、虚空に溶け消えていく。
ケケケケケケケケケケケケ……
その様が面白おかしいのか、はたまた死という概念が無いのか…
最後までその口角はつり上がったままだった
「ほんと…狙撃だけは一級品だな 狙撃だけは
でもさ、もっと派手な演出出来ないわけ?」
『二回も言うなアホンダラァ 第一後方支援に派手な演出なんて蛇足なんだよ てめぇこそ得物に合ったスタイルで闘えよな』
「あ? 俺の崇高なる見聞に基づいて編み出された戦闘スタイルを愚弄するってのか? なんなら今ここで白黒つけてやろうj……」
などと、口の悪いがたいのいい青年…鞍牙剛摩と通信機越しに言い争うなか、
『はいはいお二人さんっ さっさと資源回収始めるわよ~ 特に隊長のせいで時間大幅にオーバーしてんだから~ さっさと帰んないとボーナス減給されちゃうよ~』
と二人を宥める(俺に関しては半分貶してるが)
三野薫。指摘されたことにより、頭が急激に覚めていく。
「……はぁ…」
小さなため息を一つ。少しはお前たちお調子者を率いる俺の苦労も考えろと心で叫んでも…
そんなの二人には届くわけもなかった