表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜王様のへタレな恋  作者: Ara
27/77

求愛作戦3

かるーく読みながしていただけると幸いです。

飽きないうちに物語を進めていきたいと思っております。

 ディーンにあれでは褒めるどころか、逆に悪口だと説教された。

 ごちゃごちゃと、全く意味が分からない。

 でも、とりあえず頷いておいた。

 説教は聞いているフリをする。セオリーだな。


 しかし、困った。

 求愛作戦その一はどうやら失敗のようである。

 次に移るべきか。

 求愛作戦その二。

 優しくして、好意を示す。

 女性というものは、好意を向けられて初めて異性として意識し始めるらしい。


 ふと気が付くと、いつの間にかディーンは居なくなっていて、一人で悶々と考えていたらしい。

 慌てて馬車に戻ると、ローリーが声をかけて来る。

 超能力? 特別な力を使うと疲れる? 何の事か我は分からなくて戸惑っていると、何やら二人で小声で内緒話を始めた。

 仲良くじゃれあっているように見える。

 もう一度言う! 

 我はのけ者で、二人で仲良くじゃれあっているように見える!

 

 思わず声が漏れた。

「お前たちは仲良しでいいな」




 二人はそれから言い訳がましく、我にいろいろ話しかけて来た。

 それがまた、仲良く二人で結託し、助け合っているようにも見えて、腹立たしく、そして悲しい。

 

 しかし、我はローリーの愛を得るために、もういじいじしたりしないのだ。

 シャキッとして、大人の振る舞いをしなくてはならん。

 そして、次なる求愛作戦その二を実行するのだ。



 御者が馬に水を飲ませたいから、と言って小川の畔で休憩をとることにした。

 ローリーが馬車を降りようとするところを制して、我は先に降り、ローリーに手を貸して馬車から降ろしてやった。

 優しくして、好意を示すのだ。

 

 女性をエスコートするのは紳士の務めでもあるしな。

 だから、ローリーが小川に近付いて落っこちないように気を付けたり、石に躓いて転ばないように手を貸してやったりした。

 

 ローリーは馬が好きなようで、水を飲んだり、草を食んだりしているところをじっと眺めている。

 そして我は、そんなローリーをじっと眺めている。

 

 ああ、いけないいけない。

 あんまりじろじろ見てはいけないと、ディーンに注意されたのだった。

 ついローリーを眺めていると、時間を忘れてしまう。

 

 そこで視線をそらせて周りを見ると、ふと可愛らしい小さな桃色の花が目に入った。

 小さくてローリーのように愛らしい花だと思って眺めていて、パッと閃いた。

 そうだ、花束にしてプレゼントしよう。

 確か人間は求婚する時に、花束と指輪を贈るのではなかったか。

 求婚とは究極の好意を示す行為だ。

 

 早速、咲いている花を摘んだ。

 うむ、思ったよりも少ないな。

 これじゃあ、花束とならないような気がする。

 

 しかし、他に花は咲いておらず、困ったところに目に付いたのが、形の変わった葉っぱだった。

 なかなか愛らしい形の葉っぱだから、きっとローリーは気に入ってくれるだろうと花束の一員に加えてやった。

 花束らしくなったので、ローリーに渡すことにする。


 緊張しながら、ローリーに近付いて行く。

 えーと、なんて言って渡せばいいのだ?

 まさか、けっこんして下さいとは言えないしな。

 

 えーと、えーと、


「ローリー、これ、好きだからやる!」

 言って、花束をローリーに押しつけた。

 

 自分の顔がどんどん赤くなっていくのが分かる。

 とても恥ずかしくなった。

 だからつい、両手で顔を隠し、走って馬車に戻って来てしまった。


 馬車の中にはディーンが居て、急いで戻った我に驚いて声をかけて来る。

 でも、告白まがいの事をしてしまったと、うろたえてしまって、とても話せない。

 ああ、ローリーはどう思っただろうか?

 



 ローリーが戻って来た。

 手には何も持っていない。


 アレ?


「アル、ちゃんとあげて来たよ。喜んで食べてたよ!」

 ローリーはにっこり笑って、我に報告する。


「「え?」」

 ディーンと我の声が重なった。


「馬はクローバーが大好きだからね!」


 


 どうやら我が想いを込めて渡した花束は、馬の餌と勘違いされたようである。






 落ち込んでもいられないので、求愛作戦その三に移行する。

 求愛作戦その三。

 男らしさアピール作戦。

 悪者がやって来たら、姫を守る騎士のごとく、前に出て戦うべし!

 命の危機から自分を盾にして守ってくれる強い男には、感動して惚れるに違いない。


 ちょうどその時、馬車の中に悪者の蜂が飛び込んで来た。

 狭い馬車の中を嫌な羽音をさせながら、飛び回る。

 虫の嫌いなディーンはぎゃあぎゃあとわめいて逃げ回る。

 よし、ここは姫を守る騎士のごとく、我が蜂を成敗してくれる!と思ったが、どうやって成敗すれば良いのだ?

 手で叩いたら、手のひらを刺されそうである。

 

 どうしようと迷っていたら、蜂が我の顔めがけて飛んで来てしまった。

 思わず、ぎゃああーと目を瞑ったら、目の前でボッツという音がした。

 ゆっくり目を開けると、炭になった蜂が落ちている。

 ローリーが火魔法を使って退治してくれたようだった。


「大丈夫か?」

 

 にっこり余裕の笑みを我らに向けて、気遣う言葉をかけてくれた。

 悪者を前にして、怯むことなく立ち向かい、強い男アピールしたのは、ローリーだった。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ