最後
あと、エピローグでしゅーりょーです。
もちろん、それで倒せるなんてそんなことはあり得ないだろうと思っていた。だが、傷ぐらいはつくだろう。いや、ついてほしいと切実に思っていた。
真実はいつも思いがけない結果をもたらすことが多い。なかでも、人生の分かれ道で起こることなんかが多い。
さて、目の前で起きた爆発。なかにはスミルがいた。常人、いや常人ではなくとも死に至るであろう一撃。
煙が晴れ始める。黒い影はその場でしっかりとたっている。
「おいおい、マジかよ。」
煙が晴れる。
「何がマジかよ。だよ?僕はこうして傷つき、腕も使えないような状態だよ?君の世界のことをもっと勉強しとくべきだったよ。まぁ、それでもこの生の実感を得れたのは感謝すべきなのかな?」
狂ってる。一言で表すとするならばこの言葉ほど言い得ているものはないだろう。
だが、スミルの右腕は黒ずみ、使い物にならないのは目で見て分かる。
勝ち筋は見えてきた。
「ラミル!」
「言われなくても分かってるわよ。」
右腕を狙った一撃。
「あー、もう。弱いものいじめは感心しないなー。」
なんなくかわすスミルだが、それくらいは想定してある。
「これでも食らえってんだ。」
懐から取り出したものをスミルに投げつけると共に走り出す。
「それも、君の世界のものか...。」
軽々とよけようとするスミル。
「にげようったっそんな風にうまくいくかよ。」
スミルが全力でかわせばかわせないのもはないだろう。だが、腕の負傷と気まぐれな性格のお陰で全力を出すことはない。
「ほら、もういっちょー。」
避ける場所を予測し爆弾をそこに設置する。
そして、その予測は的中し、再び凄まじい爆音と爆発が辺りに広がる。
今度はそのまま傍観しているほど、スミルを弱く見積もっていない。
「ラミル!」
「だから、分かってるって言ってるでしょ。」
俺とラミルはスミルに向かって走り並走する。
お互いに拳を握り全力で殴りに行く。
俺とラミルの拳が当たる直前に煙は晴れ、スミルの姿が見える。
が、そこにいたのはスミルだけではない。そこにはもう一人
「柊か...。」
そして、スミルの横腹にはなにかが刺さっている。
「柊ィ。お前はなんで生きてるんだよ?そ、それにこれはなんなんだぁ。」
スミルは少し息が絶え絶え気味になっている。
「お前が言う異世界のものだよ。俺が簡単にくたばると思ったら大間違いだし、俺がなんも考えていないと思うのも間違いだ。」
「柊ィィィィィィィィィ。」
スミルはそう叫び、体がだんだんと消えて行く。
やがて、その体は消えてなくなり、暫しの沈黙が訪れる。
「えと、取りあえず言えることは、柊。お前がいいとこ取りしたってことでいいのか?」
「まぁ、小さいことは気にしてんじゃねえよ。」
「んで?どうやって生きてたんだ?」
「あ、あぁ、そりゃぁ簡単だ。分身みたいなもんだな。」
スミルは消え、世界に平和は訪れたと言えるだろう。
「さて、取りあえずお礼を言っておくべきかしらね?」
ラミルが素直にお礼を言う。
「んで?もう世界は救われたんだよな?」
「そりゃあもちろんよ。」
ということで、改めて世界に平和は訪れた。




