不殺
また、短い
そんな間抜けな声が聞こえたのは、俺たちの
前のほうからだった。
それは幻聴だと思った。前にはスミルしか
いなかったからだ。無敵ともいえる存在が
そんな声を出すとは思えなかった。
しかし、現実は意外と緩かった。
スミルの腹にはさっき、クロノが放ち、スミルが
跳ね返したと思われる武器が刺さっていた。
あまりの衝撃に唖然していたがクロノだけは
してやったりといった顔でこちらとスミルを
交互に見てくる。
「何をしたんだ?」
「世の中に出回ってるのがバレてるんだったら、
少し、工夫をすればいいんだ。」
何をしたか?真実はあっけない。
クロノの作り出した武器にスミルの出した黒い穴
を作りだす能力を付与して放ち、スミルの黒い穴が
出来た瞬間に同時にはつどうさせたのだ。
最も、クロノは口にこそ出さないが当たるどころか
あんな能力のある武器があるとも予想していなかった。だから、内容もぼかしている。
本当のところ、クロノは数打ちゃ当たるだろ、と
言うしょうもない理由であんな攻撃をしたのだった。
結果的に功をそうしただけである。
「あー、ちょっとだけいたかったかも。
どうすんのさ?僕が死んじゃったら。」
「チッ、今、ちゃんと当たったろ。」
「モッチロンー。でも、相手が悪かったただその
一言に尽きるね。」
そして、また手をクイクイしたり、まぁ、色々して
挑発してくる。
「あぁ?ぶっ殺す。」
中井が切れた。瞬時に魔物を呼び出し、
襲いかかる。
それを危なげなくかわし、さらには蹂躙する
スミル。
「もう、種明かししようか?君たちは僕に攻撃を
いれることは出来ない。神を殺すには、
神の攻撃じゃないとね。」
さっき、当たった攻撃はどうなったのか、という
疑問はさておき、またもや、
ピンチになる。
だが、そんな時だった。いつもの光が
タイミングよく現れたのだ。




