一騎討ち ガレン 終了
遅れて申し訳ない。色んな要因があるんですけども
「念には念をってか?」
沖はそういうと、大きめの岩を作りだし
沼の中に放り投げる。
ズブズブと沈んでいき、沼の口もどんどん
閉じていく。
「と、こんなもんだろ。これで俺の勝ち...なんて
言ってるとダメなんだったけか?」
「まぁ、その通りなんじゃねえか?」
その言葉と共に現れたのは、
少し泥がついた状態のガレンだった。
「泥はないだろ。服が汚れる。」
そういったあと、パチンッ。
ガレンが指を鳴らすとあっという間に
服の汚れが落ちた。
汚れは泥以外にも石なども混ざっては
いたが完全に取れ、清潔そのもの。
「まぁ、そんなところだよな。結構深いとこまで
沈んだよな?しかも、ちゃんと封までしたん
だぜ。」
「相変わらず、あの技は分かんねえけどな。
一瞬で片付ければいいって話だろ。」
すると、懐から、なにやら小筒を取りだし、
中から白っぽい玉を持ってくるガレン。
「なんだそりゃ?煙玉みたいな形をしやがる。」
この世界にもそのような物があるのかと
いう疑問も抱えてもおかしくはなかったのだが
そこまで頭が回るわけではなかった。
「お前の能力の片鱗はつかんだ。予想にしか
過ぎないが二回ほどまともにくらったんだ。
お前の能力は土を操るのと自分の目視できている
場所に重みを加えることが出来る。
おおよそ、こんな感じだろ?」
異世界であるこの世界に重力という
概念はない。そんななかで完璧ではないが
その技を理解することができたのは、
ガレンの能力によるものだったりするが
そんなことは露知らない沖は素直に驚く。
「なかなかいい推測をするな。ただ、それが合っているかという証拠はない。俺も馬鹿じゃないからな、
素直に教える気もない。」
「まぁ、それでもいいんだがな。すぐに
証拠をつくってやる。」
その言葉と共にガレンは手に持っていた白い玉を
叩き付ける。
それは沖が想像していたように破裂し、
白い煙が辺りを漂い、白く染まる。
「どうした?俺に使って見ろよ。」
事実、ガレンの推測はほとんどが当たっている。
すなわち、沖はガレンに重力をかけることは
出来ない。さらにいうのであれば、重力を
かけることだってデメリットは存在する。
あえて、今はそのデメリットについては
触れないでおくが、とにかく沖はガレンに重力を
かけることが出来ず、なおかつ相手である
ガレンの姿を確認することができていない。
だが、そのような状態でも沖は笑っていた。
「いいぜ、お前がなんも分かっちゃいないことを
教えてやらぁ。《砂人形》」
その言葉で地面から人のようなものが
次々と現れる。
「爆ぜろ。《空間把握》」
砂人形は爆発し、砂となり、
辺りを漂う。白い煙は相変わらず、
晴れず砂と混じりあい、ますます、
何も見えなくなる。
「馬鹿じゃないのか?ますます見えなくして、
勝ち目があるとでも?」
「お前だって見えていないんだろ?それに
空間把握つったろ。《重力五倍」
「は?」
ガレンの疑問を示す言葉が発せられたとき、
ガレンに重力がかかる。
「な?これでお前の疑問は解消されたか?さて、
とどめといこか?《隕石》」
そして、ガレンに上空から隕石が
降り注がれる。
その隕石は直径にして、一メートルほどとはいえ、
数百個と数が多く、全てをまともにくらえば
いかなる超人でもただではすまないだろう。
ましてや、重力による負荷や今までのダメージを換算
するとそれだけでも相当である。
隕石が落ち終わるとようやく辺りを覆っていた
白い煙と砂の混じりあったのが晴れて、
ガレンの姿が目視できるようになった。
ガレンはぼろぼろではあったが辛うじて、
しっかりと立っている。
「それで終わりか?次は俺の、俺のば....。」
最後まで言おうとするが、なかなか言葉が出ない。
「まだ、立ってんのかよ。結構本気で殺すつもりで
やったんだぜ。」
「これで最後だ。」
そう言うと、拳を強く握り走り出す。
「へ、いいね。男らしいや。勝負。」
それだけの行為で察した沖も拳を強く握り
走り出す。
お互いのつきだした拳が交差し、
お互いの頬にぶち当たる。
その一撃は疲労した両者にとっての
最後の一撃であり、全てが
込められていた。
そして、両者が地に倒れる。
...沖が立った。
「ガレン、お前は強いけどよ。世の中をまだまだ
知らないんだろう。たから、俺みたいな、悪役に
負けるんだよ。」
だが、沖も相当の疲れがたまっていたのか、
立ち去ろうとしながらも足元は
ふらついている。
「おい、沖。また、また今度でいい。
もう一回だけ戦わせろ。次はぶったおして
やるから。」
「へっ、出来るもんならな。」
やがて、沖の姿は木々で隠れ見えなくなる。




