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主人公素質がない人の異世界暮らし  作者: あめみや
第六章 第八次世界大戦
78/92

一騎討ち 健治 後編

遅くなってごめんなさい。仕方がないことだと

割りきってますけど

「簡単なことですよ。」


健治がした質問を解説しだす博士。


「よくあるでしょう。物理攻撃が全く通らない

状態。精霊化とか言うやつですよ。私はあれの

自分の体で精霊を使わずにして見せた。

ね?簡単でしょう。あなたみたいな馬鹿でも

十分分かるはずです。」


少し馬鹿と言われたのは気にさわった健治だったが

こんなことで逆上するほどではない。


「なるほどな、でもいいのか?そんな簡単に

タネをばらしちまって。」


「いいんですよ。どうせ、解決策なんて

見つかるはずがないんですし。それに...。」


「火炎」


言葉を紡ぐことなく健治が繰り出した技が

博士の周りに火柱が立つ。それにまきこまれれば

火傷では済まないことは分かった。


「魔法も効きませんよ?折角教えてあげようと

思ったのに。人の話は最後まで聞かないとダメ

って小学校で習わなかったんですか?」


怪しげに笑みを浮かべて火柱から傷一つなく

ない状態で出てきた博士。


「勝ち目なんてないんですよ。諦めて私の

実験台になってくださいよ。」


「悪いな。それに答えることは出来ねぇ。

次で決めさせてもらうぞ。」


「いいですよ。待ってあげますから、あなたの限界

を確かめるのも貴重なサンプルですからね。」


健治は構えていた剣を鞘にしまい、

鞘に手を添え、黙り込む。

「簡単なことですよ。」


健治がした質問を解説しだす博士。


「よくあるでしょう。物理攻撃が全く通らない

状態。精霊化とか言うやつですよ。私はあれの

自分の体で精霊を使わずにして見せた。

ね?簡単でしょう。あなたみたいな馬鹿でも

十分分かるはずです。」


少し馬鹿と言われたのは気にさわった健治だったが

こんなことで逆上するほどではない。



そして、そのまま約一分が経過する。博士もあんなことを言っておいて待ち疲れたのか


「そろそろいいですかね。待ちくたびれますよ。」


「あぁ、待たせたな。これで全部終わりだ。」


技の準備が終わったと思われる健治は

覚悟を決めたように前を見据える。


「お前の罪に罰を。有罪か?無罪か?」


「はぁ、やっと準備が終わったと思えば...、

下らない。有罪なわけ...。」


有罪ギルティ。認めることが出来ない、

それがお前の罪だ。自分の罪は自分をもって

償え《罪への償いクライムエクスピアシオン》」


鞘からゆっくり剣を抜いたと誰もが思うであろう

その瞬間には既に博士の後ろを歩いていた。


「な!いつの間に?だが、素早いだけではこの私に傷一つけられない...!!」


見ると博士の腹の辺りから緑っぽい液体が

出ている。魔物の力を得るときの副作用だろうか。


「フフフ、実に興味深い。この状態の私に傷を

負わせるなんて...。こんな浅い傷では私は

何年経っても倒せませんがね...。これは?

何をしたんです?」


博士が疑問を抱くのは仕方がない。何故なら、

驚異の再生力を持っていた博士であったが

その傷は治まる気配すらしないのだから。


「誰です。あなたたちは?さっきまでは

居なかったはずなのに!」


それに加えて、博士の目には今まで実験台にした

はずの人間や魔物...。これは健治には

見ることは叶わないが博士の苦しみ具合は

みてわかる。


「お前がこれまでどれだけ罪を犯していたかは

知る由すらねぇ。でもな、お前には見えている

はずだ。それはお前が本当の意味で自分で自分の

罪を理解しない限り、解除されない。分からな

かったら死ぬだけだ。...、とは言っても

聞こえてないだろうがな。」


あがが、と言う言葉を発しながら博士は

自分の幻覚と幻聴、加えて出血の痛みに

うずくまっている。痛いかどうかは

本人にしか分からないが...。


「知らない。お前らなんて...。違う、むしろ

感謝してもっ。あぁ、痛い、止め。

止めてくれ。いたイ、こロセ、コロセ。

殺しテクレ。ぐぁぁ。」


だが、魔法攻撃、物理攻撃が無効の博士には

致命傷を与えることができない健治は呟く。


「これでよかったのか?俺はこれで...。

お前らは嫌わないでくれるのか?

こんな俺を、カズ、舞ちゃん...。」


相変わらず、うずくまり時に転げまわる

博士も段々ではあるが大人しくなってくる。


そして、三十分も経っただろうかというとき、

とうとう身動き一つとることはなかった。

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