一騎討ち(?)
くぅ、俺を苦しめるクロ○ッツめ。
腹が、腹が緩くー。
目の前ではまさしく地獄絵図とも言えるような光景が
広がっていた。
「虐殺の武器」
「大爆発」
「烈風の剣山」
上から順にクロノ、ガレン、健治である。
次々と現れる魔物を容赦なく倒していく。
それに対し、俺も含め弱いものは後ろで待機
しております。一名ほどぶっ壊れともいう
やつがいるが、それはおいておこう。
だからといって全く戦いに参加していないわけでは
なかったりする。健治たちでも捌き切れなかった
者共はこちらをおそいにくる。それを返り討ちに
することをしているんだからな。もちろん、
俺は逃げてるぞ、勝てねえだろうしな。
そうして、倒しても倒してもわき出てくる魔物だった
がようやくそれにも終わりが訪れた。
常に前線で戦っていた健治たちの足元が赤く光った
と思うと、急に爆発した。
「健治!」
「あぁ、大丈夫だ。かすり傷程度だ。」
俺としたことが巻き込まれたのは健治と
クロノとガレンだった。ついつい、反射的に
心配してしまった。どうせ無事なのに、
無事だとわかっていたのに。
「全然効く気配すら見えないじゃん。どうなってるんだよ。博士?」
「反射までのはやさがおかしいんですよ。常人
だったら、髪の毛一本どころか細胞一個たりとも残しませんよ。」
最初の声は聞き覚えのあるリーダーである柊とか言うやつだろう。そのあとの声はわから...。
なくもない。宣戦布告をしたときの返事をして
いたやつの声だと思う。よく覚えてたな。
ふと人影を数えて見ると七つある。高橋を除くと
いままで会ったのは五人だけ。博士は声だけ聞いたことがあるとしても確実に一人は知らない人が
いるということだ。
そして、煙が...晴れない。と、思ってたら晴れた。
どうやら、柊が風の魔法でいい感じに
払ったように見える。
そこには案の定知らない人が二人いた。片方は
見るからに博士。白衣を着ている。流石に顔に
ヘンテコなメガネはかけていないようだが。
もう一人はというと女性だった。ぱっと見ただけ
だととてもそう言うことには無関係そうだが、
優しそうだし、世話好きな感じもする。しかし、
あの組織にいるということは
そう言うことなのだろう。
「それでどうでした?あなたがたの同胞であろう
人の命を奪った件について?」
その事に対してなにも感じていないような声の
トーンで聞き捨てならないことを告げる博士。
「それはどういうことだ?」
その言葉にいち早く反応したのは健治だった。
あまり、怒りの感情をおもてに出さない健治も
ムカついたのだろう。顔が怒りに震えているのが
目でみてわかる。
「あれ?意味わかりませんでした。誘拐事件が
あったでしょう。こいつらはそれの被害者であり、
私の被験者。つまり、それをあなたたちは
殺したんですよ。あまりに弱すぎて困って
ますけどね。」
その言葉で堪忍袋が切れたのだろう。
「こいつは、こいつは俺がやる。」
発した言葉と共に博士に駆け出して生き
剣を降り下ろすがその一太刀は空を切るだけ。
ふりかぶった瞬間、博士の姿は消え違うところに
出現したのだった。
そのまま右の方に見えていた岩山に消えては現れ
を繰り返し進んでいく。それを追い
かけていく健治。
「スミルは私が相手するわ。」
「えー、また?別にいいんだけどさ。面白みに
かけるんだよね。じゃあいってくるね。柊。」
またもやというべきか両者は光に包まれ、
その場を去った。
「ガレンだったか?この前の続きしようぜ。
なぁ、柊いいだろ。」
「沖だったな。今回は容赦しないぞ。本気で
相手してやる。」
この二人は左の方向にある森と言えるであろう場所
へと走り去っていってしまった。
相手の数は三人。この中だと女の人と戦って、
お茶でも飲んでいたほうがよさそ...。
「あなたが舞ちゃん?あなたのとても似合いそうな
服とかあるのよ。おいしいお茶でもどうですか?」
「今回は遠慮しておきます。また、今度機会が
有ればでお願いします。」
お、俺の。完璧過ぎて欠伸が出るほどだったのに
とられた。くう、無念。
「おい、高橋、組織を裏切ることは我が主に反旗を翻すということだ。覚悟は出来ているんだろうな?」
「いや~、そんな怖い目で見ないで下さいよ。
単純に俺っちはこの方々に負けただけ
なんすから。」
高橋とぶっきらぼうに言葉を話す三代 快。
三代の方は戦意が高ぶっているが高橋はというと
やる気が無さそうだ。勝つ気あんのかね。
って呑気に解説なんてしている暇なんてねぇ。
俺の相手決まっちまったよ。リーダーである柊とか
あり得ないだろ。いや、違う。ポジティブに
考えろ。クロノが一人で戦う。イコール、
俺は戦わない。観戦者...。
「さて、カズオとやら、協力しようか。健治と
ガレンというものと一緒にいたことから
それなりに出来るんだろ。」
とんでもない。そんなことは何一つないぞ。
っていうか
「何故、名前を知っているんだ?」
「俺は相手の名前を拒否しないか実力が離れていない
相手だったら読み取ることができる。そして、目の前の男、柊は恐らく拒否はしていない。となると
相当の実力者とみるのが妥当だ。」
おいおい、余計に断りづらいじゃねえか。
「お、おう。それは俺よりあんたのほうが
強そうだし、頼んだぞ。」
「謙遜はよせ、いろいろな修羅場をくぐり抜けて
きているふうにみえるぞ。その人から出るそういう
雰囲気はそうそう誤魔化せるものではない。」
「いや、そうじゃなくてだな。」
「そんなことはどうでもいい。今は目の前の敵、
柊を叩き潰すだけだ。」
もういいわ。この勘違いめ、どうなっても
知らんからな。
こうして名も無き島での一騎討ち(?)が
始まったのである。




