また、時を同じくして
戦闘描写は嫌いです。(じゃあ、そういう小説を
書くなっつう話)
また、時を同じくして、獣人の国があるサバン島
では、男が二人対峙していた。
「俺は沖っつう者だ。宜しくな。最近は暴れて
いなくてウズウズしてんだよ。」
「俺はガレンだ。俺がいるんだ。ここは諦めた
方がいいぞ、一瞬でけりがつく。」
自らを沖と名乗る男とガレン、回りには既に
事切れた魔物たち。
「そりゃ、楽しみだ。確かにこの現状を見る限り
そうなんだろうな。」
沖は心の底から楽しんでいるのか、
裏表のない笑みを浮かべている。
パチンッ。
ガレンが指を鳴らした。それが戦いの合図
となるであった。
「粘土の鎧」
沖の身体に鎧が装着され、ガレンの攻撃により
土だからか剥がれていくが沖自体には攻撃は
通らない。
「んじゃ、次はおれの番な。」
沖は次の瞬間にはガレンの懐に入り込み、パンチを
繰り出す。ガレンも気付き、腕を回避に回すが
全てを受けきることが出来ず身体にダメージが
通る。
「見くびっていた。所詮悪の存在は悪だと。」
「まだ、くたばんないよな。俺はまだ遊び足りないん
だよ。」
まだ、加速しガレンに向かって走り、蹴る体制に
入る。ガレンは警戒し、避ける準備をするが
「重力三倍」
沖がそう呟いたと思うとガレンの身体は
普段の三倍の重力がかかる。
「くっ。なんだそれは。」
勿論、この世界には重力という概念が存在しない。
誰かが存在を考えたぐらいはあるかもしれないが
完全に理解するまでには至らない。つまり、ガレン
には対抗する術がない。
が、元々の身体能力で倒れるまでは行かなかった。
それでも膝をつくぐらいまでは体制を崩した。
そして、蹴りあげられようとしている。反射的に
手でガードしようとするが手が上がらない。
なるがままに蹴られる。ガレンに一撃が入る。
口が切れたのか血が少し出ているが手で拭き取ると
こう言った。
「なんだか分からんがなかなか面白い手を使うな。
正直、驚いた。だが手が無いわけでもない、
こっからが本番だ。」
「そう来なくちゃな。どうぞ、来いよ。」
「じゃあ、遠慮なく。」
会話が終わる瞬間、ガレンが沖の視界から消えた。
咄嗟に、振り向き後ろを見るが姿は確認
できない。ならばと沖は上を見るが
そこにもいない。
「どこいったんだ。まさか、逃げたのか?」
沖が疑問を感じた時、
「な訳ないだろう。これでもくらっとけ。」
槍が飛んでくる。しかし、咄嗟に土の壁を作りだし
止めようとする。それでも止まらないのを見て
土の鎧を作りだし思いきり受け止めた。
「なぁ、知ってるか?ここら辺一帯の土は
多少油っぽくてな。《放電》」
「雷だったら効かんぞ。」
「雷っつうのは火花っていうのが出るらしいぞ。
引火しなければいいな。」
「は?あ、マジかよ。」
少し気付くのが遅かった。気付いたときには
既には火花が土の鎧に引火し、小さいながらも
爆発を起こした。
「あちー、死ぬかと思った。」
しかし、爆発はしたはずなのに沖はピンピン
している。
「どういうことだ?」
重力を操作し、爆発を全て下で起こしただけの
ことだが異世界人には通じない。
「簡単な話なんだけどな。お前ら、異世界の人間
じゃあ分からないだろうよ。」
「そうか、残念だよ。俺も少しだけ全力を出して
お前を叩くとしよう。安心しろ、殺しはしない。」
「出来るもんな....。」
最後まで言葉を紡ぐことができなかった。
何故なら、ガレンが沖の腹に思いきり殴った
からだ。続いて、回し蹴りから
火の矢を飛ばす。
地面を転がりながら沖は火の矢
を回避するが既にガレンは沖の後ろに
立っている。そのまま首もとにナイフを
持っていくが
「イヤー強ぇ。また今度遊ぼうぜ。」
「な、何?」
すると辺りに眩い光がほとばしる。
当然、ガレンも目をつぶる。その僅か一瞬で
ガレンの拘束から逃げ出し、
沖は逃げ出した。
こうして、獣人族の国は
守られたのであった。




