因縁
今さらですけど、春アニメは
見てますか?この素晴、面白いですよね。
何もない空間。そこには、男と女が一人ずつ
計二人がいる。
女、ラミルは男、スミルを思いきり睨む。が、
スミルはいつものようにへらへらした感じで
顔には笑みを浮かべている。
「スミル、今日があなたの命日よ。ここで
死ぬのよ。いい場所でしょ。」
「ラミルよ~。別にやりあうのはいいんだが俺は
戦争には参加しないぞ。」
「信じると思う?というよりはあなたのやろうとしていること自体が罪なのよ。」
そのままの姿勢で続ける。
「けどよ~、ラミルさ。俺に勝ったことなんてそんな
あったっけ?」
「記憶力の無さは相変わらずね。認めたくないけど
五分五分だったじゃない。」
「ま、俺は暇だし。お前とやりあうのは結構
楽しみだったりするだけどな。」
空気が変わった。両者は互いに動くことなく、
相手の実力を見定めている。そして、
先に動いたのはラミル。
「錬金術」
何もないところから、岩石や鉄の塊が現れ、
スミルに飛んでいく。が、スミルに届くことなく
それは、地面に落ちる。
「無駄だって、諦めろよ。俺だって遊んでた
訳じゃないんだぜ。次は俺の番な。」
そう言うと、ラミルに向かって走り出した。
走っている最中に剣を生み出し正面から、
ラミルに降り下ろす。
降り下ろされる瞬間、ラミルは杖を生み出し
スミルの剣を受け止める。すると、
スミルはラミルの足を払いに来る。と、
同時に横からは《火の玉》が
飛んでくる。
「なんで、こんなに魔法の使い方が上手くなって
いるのよ。仕方ないわね。《瞬神》」
その瞬間、その場所からラミルは消え
離れたところで詠唱をしている。
「やっぱ、はやいな~。お前の十八番だもんな。
一、二を争ってたもんな。俺も追い付け
なかったもんな。」
スミルが楽しくて仕方がないような顔で感心
しているなか、
「我願う。この世の四大元素に、この世の
全ての不条理に。深く、暗い闇に。明るく全てを
照らす光に。恩恵が我を導くことを。」
ラミルの詠唱が終わった。本来ならばスミルが
本気で今のチャンスを棒に振らなければ
一瞬で勝負は決まっただろう。
ラミルは己の不利が分かったからこそ、
こんな賭けに出た。
スミルの性格を熟知していたからこそ出来る
荒業ではあったがそのお陰ですぐにやられるなんて
ことはなくなっただろう。
「終わった?それ、毎回毎回思ってたけど
長くない?詠唱中に殺されちゃうよ。世の中
そんなに甘くないんだから。」
「でも、あんたは待ったでしょ。」
「まぁね。それじゃあ続きといきますか。」
スミルは持っていた剣を上空に投げた。すると、
剣はみるみる大きくなり、家一件ぐらいの
ものになった。それを空中でキャッチすると、
ラミルの体目掛けてなげた。
ラミルは回避しようとするがスミルが前もって
仕掛けておいた罠により、足が手に捕まり
その場から動けない。
「ちゃんと避けてね~。」
しかし、ラミルは避けなかった。当たれば
ひとたまりもないだろうと思われる剣を回避せず
「メギドフレイム」
ラミルの身体が炎に包まれ、剣はラミルにあたるまえに完全に燃え尽き彼女に届くことはなかった。
「ありゃ。溶けちゃった?予想外予想外。んじゃ
これはどうかな?」
スミルが次々と剣や斧、終いには魔法まで
飛ばしてきたがそれもこれも炎の前で全てが
燃えて、消滅した。
視界が開けたとき、スミルはそこにいなかった。
「どこに行ったの?」
ラミルがそう呟いたときだった。背中に衝撃が
走り、気付いた時には身体が宙に浮いていた。
宙を飛んでいる時にスミルの顔がラミルの
直ぐ前に現れ、
「ごめんな。もう少し遊んでいたいんだけど
戦争の一発目が君たちのせいでおじゃんに
なっちゃったからもう帰るわ。」
「ま、待て。」
逃がすまいとラミルは魔法を放つが
それは虚しくも空を切るだけだった。