蘇生を開始する
遅れました。
そもそも死の定義とは何なのか?
分からない?そりゃそうだ。分かる方がおかしい。
生きている可能性が無いとき?心配停止に
なったとき?
どれが本当でどれが嘘か、どれも本当で
どれも嘘かもしれない。
だから、これは一種の懸けでもあった。
高橋を刺した。間違いようのない事実だ。
俺が刺した。これも、事実。
高橋は言った。自分を殺さないとこの魔物たちは
止まらない。と、だから刺した。しかし俺は
諦めない。
「健治、お前の力が必要だ。」
健治は俺に失望しているだろう。舞なんかは
若干ではあるが人殺しに向ける目をしている。
「残った魔物の殲滅だろ。わかってる、
やるよ。やってやる。」
「違う、殲滅は他の奴らにやらせろ。これはお前の
責任でもある。俺は今から死者蘇生を行う。」
正直に言おう。自信はない。俺が人を殺した
事実に変わりはない。単なる自己満足かも
知れない。それでも....。
1.まずは、開胸して直接手で心臓マッサージを施す標準的な治療を行う。
2. 心臓マッサージで心拍が回復しない場合、研究チームは“保存”モードへ入る。
3. 太いカテーテルを直接患者の大動脈(心臓から出ている最も太い動脈)に通し、 ティッシャーマン氏 が“フラッシュ (flush)”と呼ぶ低温の食塩水を注入する。
4. 食塩水は摂氏10度、よく冷えた水道水とほぼ同じ温度だ。
5. それを循環させると、まず心臓と脳が、続いて体の他の部分が冷却され、最終的に患者の体温も摂氏10度まで下がる。
6. 15~20分かけて冷却されると、患者の体からは血液がすっかり抜かれ、呼吸も運動も停止し、外面的な生命徴候は全く見られなくなる。
7. 冷却状態に置くことで約1時間、止血や大きな傷の修復など“ダメージコントロール”を行うことができる。
8. そして血液を体内に再注入し、心臓を再鼓動させ、さらに2時間かけてゆっくり患者の体温を正常に戻していく。
9. その後、それほど重篤ではない傷の修復に再び取り掛かることになる。
10. 実験がうまくいけば、患者は完全に機能 を取り戻し、約1時間臨床的には死んでいたにもかかわらず、何事もなかったか のように息を吹き返す。
このような事例があることは知っている。
だから、俺は高橋にこれをしていく。
うまくできるかも分からない。正しいかどうかも
分からない。言うならばやりたいから
やるだけ。それ以上でもそれ以下でもない。
「健治、できるか?」
「出来るかだって?出来るか出来ないじゃない
だろ。やるんだよ。」
幸か不幸か、ここは異世界。ある程度なら、
融通がきく。
問題は食塩水だったりするのだが、
人間やろうと思えばなんでも出来る。
俺たちが蘇生活動をしている間に、周りの方々に
魔物を殲滅してもらった。
こうして、ナキ島での戦争は幕を閉じることに
なり、王都へと帰ってきた訳だが...。
「大変だ。バロール島が、バロール島が
壊滅した。島自体は無事だが、魔族の国は
完全に全滅だっていう話だ。今、入ってきた情報
だから確定とは言えないが...。」
不吉な情報が入って来たもんだ。
「サバン島も無事に撃退をすることが出来た
らしいぞ。どうやら、指をならすだけで相手を
瞬殺する凄腕の奴が大半を殺したとか。」
ガレンか?あいつの真実の求める探求心は
計り知れないな。それにしても強すぎだろ。
その前の情報のせいで喜ぶに喜べない。
ジジジッ。ジジッ。
「ふゎぁ。朝すか?」
こ、こいつ。やっぱり、もう一回殺すか?
調子に乗ってるからな。
「なに、殺気出してくれてるんすか?ほんの軽い
冗談じゃないすか。流石にもう
一回は勘弁してくださいね。俺っちは
負けたんすから抵抗なんかしませんし。」
例の放送が入る。
「いやー、悪い悪い。見くびっていたよ。
次はどうしようか?総力戦でもするか?
なんでもいいぞ、どうする?
じゃあ、くじでもするか?めんどいからいいや。
お前らのところに魔物を送り続けてやるわ。
止めたかったら、名の無き島に俺たちを
止めに来い。」
また、言いたいことだけ言って
消えてしまった。
「さて、高橋、あいつらの目的は何だ?」
「知っているんでしょ。人生を楽しむことですよ。
せっかく、生まれ持った命なんですから
好きなことをする。それだけっす。それだけ。」
問題はこれからどうするかだ。
一先ずの危機は去り、新たな危機が襲おうと
している。
ただ、今はその去った危機をひたすらに
喜びたい。まだ、戦争は終わっていないのだから。
文章中、引用しました。
引用元:http://headlines.yahoo.co.jp/hl? a=20140408-00000006-natiogeog-sctch
らしいです。




