宣戦布告 (レナ) 後編
やっとこさ書き終わったー。
想定はしていた。けれど、ここまでなんて...。
報告を聞いて感じたことである。
グランブベアを食べたまち、ソナでの魔物の
以上なまでの大量発生。そこまでの量、までとは
いかないがそれでも相当の量の魔物が
すぐ近くまで来ているらしい。
前回より量も質も断然低いがそれに対応できる
人手が足りない。それに守るべきものが存在する。
私たちでこの村を守り抜くことが出来るのか
それが正直な感想だった。
「火の矢」
誰かの技で正気に戻った。戦わなきゃ、やられる。
「わしも久しぶりに暴れるとするか。」
村長も戦うつもりでいる。ここで逃げたら
帰って来た意味がない。
「裁きの光」
久しぶりに使うがちゃんと発動するだろうか?
という疑問と共に放った魔法だったが杞憂だった
ようでちゃんと私の掲げた両手の上には
光が集まり始めている。
この技は自分が敵と認識しているのを自動的に
捕捉し、合図と共に放つことが出来るこういう
場面で重宝される技だ。たまに味方である人にも
飛んでいく。とはいっても、あまりにその人が変な人で害悪と思った場合のみだが。
「放射」
頭上の光は弾け、敵である魔物に飛んでいく。
元々、この技は聖属性なのでただの魔物には
そこまで効果はない。
「付与《火炎》」
村長が私の魔法に付与を付ける。昔から
ちょくちょく村長とは魔物退治に参加していたから こその連携なのです。
「五色の矢」
流石は村長。付与の魔法かかけているのに
自らの魔法まで使ってのける。結構憧れだったり
するけど恥ずかしいから言わない。
村長の放つ矢は的確に魔物の脳天を射続ける。
それでも数が多く、
「第一防衛、突破されました。」
事態は悪化し続ける。恐らく数はまだ千ほどしか
減っていないだろう。
必死に倒すが減る気配が見えず第二防衛が突破され
そうだった時のことだった。
パチンッ。
こんな音が聞こえた。すると魔物と魔物を食い止め
ようとしている仲間のエルフがばたばた
倒れ始めた。
「まったく、魔物が多く発生してると思って
追ってみれば、エルフの集落か。久しぶりに
見たな。それならばこの魔物の大量発生
も頷ける...のか?」
そう言いながら木々の隙間から人が現れた。
ほとんどの人はエルフの集落なんて見つけることは
出来ないのに。だとすると、よっぽどの運の持ち主
か、相当の実力者ということになる。
恐らくはだが、後者だろう。だが、そうなると何が
目的なのだろうか?
そう考えている間にも魔物はまだ増え続けて
いる。
「安心しろ。俺は敵じゃない、少なくともあんたら
が攻撃をしてこない限りな。」
それにしてもさっきの技はなんだったのだろうか。
という疑問が残る。私たちまで影響が
あったようだが。
「さっきの技だが、一応説明しておくか。あれは
《威圧》だ。自分より格下、っとこの表現は
不味いか。自分より弱い相手を威圧し、
気絶させる技だ。」
失礼ね。あたかも私たち、エルフが弱いみたいな
表現して。
「言いたいことは分かる。俺より弱いっていうのが
気に入らないんだろ。仕方ないだろ、正直俺より
強い方が珍しいと思うぞ。」
ふーん。じゃあ、何で私と村長には効かなかった
かがよく分からない。
「そりゃ、あんたらが強いからだろ。そして、
あんたらの仲間のエルフが弱かっただけ。悪いな、
悪口を言うつもりはない。が、事実ではある。」
ところでさっきからほとんど心の中が読まれて
いる気がする。
「ん?あぁ、悪いな。少し思考を読ませて
もらったんでな。」
「そうなの?それでこの魔物たちはどうするの?
また、増えてきているけど。」
「大丈夫だろ。」
パチンッ。また、音が聞こえた。さっきの音も
目の前の男から聞こえたようだ。
すると、現れて来ていた魔物は今度は跡形もなく
消滅した。
「な。大丈夫だっただろ。ちなみに俺の名前は
ガレンだ。そっちは?」
「どうせ、心が読めるだったら名前も
分かるんでしょ。レナよ。」
「村長でいいぞ。」
「村長には聞いていないんだが。分かってたし。
おい、レナ。手、怪我してるぞ。」
そう言われ、手を見ると確かに少し切れていた。
いつ怪我をしたのか全く分からない。
「ヒール。」
手の傷は修復し出し、いつも通りの手に戻る。
「珍しいな。回復魔法なんて、参考になる。」
何のことだかさっぱり分からない。
「それでガレンよ。わざわざこんなところまで
悪いの。本当に助かった。それで、どうして
ここまできたんじゃ。」
当然の疑問を村長が問う。
「簡単な話だ。戦争のことは知ってるだろ。
それで魔物がどこから現れているのか気になってな。気になるだろ。それでここにたどり
着いた。ただそれだけだ。」
へえ、なかなか頭が回るのね。それは思い
付かなかった。
「俺は、まだまだやることがあるんでな。
ここら辺で失礼しようと思う。多分これからも
大丈夫だとは思うが一応警戒ぐらいは
しておけ。」
ただ、そう言ってまた森の中に入って行こう
としたが...。
「危ねぇ。」
木の少しばかりはみ出ていた根っこに
引っ掛かった。