春が来た!?
大分眠いです。
地獄のような一ヶ月。体感時間としては一年が
過ぎようとしている。
「ハァー。やっとこのラミルの地獄から
解放されるー。」
何回死にかけたことか。何回死んだと思った
ことか。本当に何度も何度も。
「おー、カズ。どうだった?なんてー。まぁ、
どれくらい苛められたかなんて隣で見ていた
から分かるけど。」
一年たったからか健治の伸長は少し伸びている
ように見える。隣で確かにあいつも特訓は
していたがそんなの見えるわけがない。
だってとんでもない量の技が俺を狙って
来るんだもん。そんなのかわしてたら、隣なんて
見えっこない。もちろん、舞の姿もほとんど
見えなかったぞ。
舞は、少し大人びた気がしなくもない。
ないが、変わってないようにも見える。
「お兄ちゃん。なんか失礼なこと考えてない?」
前言撤回。どうやら、エスパーになったようだ。
まぁ、世間ばなしはこれくらいにして...。
とうとうあいつらの言うところの大規模戦争が
始まる。
「明後日には、奴らが攻めてくる。それに対抗する
手段はほとんど教えたわ。最後にカズ、あなたに
一つだけ技を教えるわ。といっても元々あなたの
技なのだけれども。」
来た来た来た来た。とうとう俺にも春が。あれ?
使い方違うか?まぁ、いい。何がともあれこれは
朗報だ。感謝感謝です。
「喜んでいるところ悪いけどそんなにいいものでも
ないわよ。」
上げて落とす。最もやられると辛いことはこれかも
知れない。
「手を出しなさい、あと健治も。」
健治と共に手を出すと、俺の健治の手を掴み、
重ねた。
「一応確認しておくわね。健治、あなたはカズの
ことを心の底から信頼信用している?そして、
カズにも同じ質問よ。」
健治と俺は目を合わせ、当たり前だよな?と
確認しつつ、ラミルに言った。
「「当たり前だ。」」
「まぁ、知ってたわ。」
知ってたら聞くな。とか思っていると、
「健治の力を少し借りるわよ。」
どうやら、何かをしたらしい。少し、ほんの少し
ではあるが暖かさを感じた。
「うん。分かったようね。じゃあ、説明は
要らないわね。」
「いやいや、ちょっと待て。分からん分からん。
ある程度は分かった気がしたけど、
ちゃんと教えろ。」
「何?わからないの?いいわ。分かったと思う
ところまで話しなさい。」
恐らくこうだ。俺は健治の力を少しだけ借りた。
もちろんオリジナル、つまり健治の力ほどの
ものではないが俺にも健治の力が使えると
いうことだと思う。
「大体合ってるわ。ちゃんと分かっている
じゃない。少し補足するわね。まず、一つ。
これは自分と力を借りる相手がちゃんと
した信頼関係になっていることが条件、つまり
いきなり、知らないひとから技を借りるって
ことは無理ってことよ。そして二つ。カズ
技を使って見なさい。」
いきなり、そう言われても困るのだが。ん~、
健治の技か。随分前にやってもらった
奴でいいかな?
「烈火の剣《二の太刀》」
こんなんだったっけか、とか思いつつ使ってみると
健治のよりもかなり小さいがちゃんと燃えている
斬撃が飛んでいった。
「出来たわね。この通り、威力は格段に落ちるし
何より見たことのあるものしか使うことが
出来ない。名付けて、《知恵の共通》ってところかしら。この名前の通り、ある程度
相手の考えも伝わる。だから、信頼が重要なの。」
ラミルは淡々と説明をしていく。
「と、まぁこんなところね。今日は一日あなた
たちで訓練しなさい。私は、まだやることがあるかから。」
ラミルはどこかに行ってしまった。
「よし、健治。舞。お前らの技を出来るだけ
見せてくれ。俺はその技の記憶と回避に専念
するから、遠慮は要らないぞ。これでも、ラミルの
技を頑張って回避し続けたんだから。」
「よし、言ったからな。撤回なんてさせねぇぞ。
舞ちゃん、いっちょ修行の成果をみせてやろうぜ。」
「でも、大丈夫かな?」
「大丈夫だろ。あいつが胸はってああ言ってるん
だし。それに俺は自分の技の強さを
見てみたい。カズ、行くぞ~。」
そして、俺は健治と舞の技のフルコースを
いただきました。
死ぬかと思ったわ。ラミル以上に遠慮しねぇし、
黙ってれば一時間近く連続で技放ってくるし。
お陰で回避能力と新しい技は使えるようには
なってきた。そして、あまりの疲労感に
睡魔が襲ってきて、一番早く寝た。




