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嵐の前の静けさ

一日遅れ?そんなことはない。

「お兄ちゃん、早く起きてー。」


舞が俺を起こすために俺の部屋にやって来た。

だが、今日の俺は一味違う。俺はもう

起きている。


「起きているよ。おはよう、舞。」


......。


「な、何でおきてるの?本当にお兄ちゃん?

本物?悪いことでもあるのかな?」


ひどくね。俺だって地球ではちゃんと起きているし、

つーか学校だから、起きなきゃ

いけなかったんだよ。


「カズ、いつまで寝てんの?起きなさい。」


今度はレナか...。


「って何でおきてんのよ?今まで起きること

なかったのに。」


レナまでさ、俺のことを馬鹿にして。健治まで

来やがって、


「おぉ。カズ、珍しいな、近いうちに大雨

でも降るんじゃね。」


何だよ。起きちゃダメなのか?

じゃあ、俺は寝ますからね、いいんですね。

せっかく、今日は仕事だから、眠いのを我慢して

まで早く起きたのにさ。


「俺が早く起きたらダメなのか?」


「いや、そうじゃないけど...。」


「だって、あんたがねぇ...。」


「あのカズがだぜ...。」


「じゃあ、何だよ?」


「「変」」


ひでぇ。こいつら、ひでぇよ。俺をなんだと

思ってやがる。


「三十分後には、広場に集合なんだろ。

準備は出来たのかよ?」


「出来ていないのはあんただけよ。」


まぁ、俺は学校の日は当日の朝に準備をする

タイプだったからな。





三十分後。広場にて。


「えぇーと、今回はこの町の回りを巡回して

もらいます。今日と明日は特に魔物が多く

強くなる日なので、気を引き締めて下さい。」


それで、巡回をすることとなった。

まぁ、とはいっても一日目、つまり今日は

とくに何もなかった。


いや、本当に何もなかった。ゴブリンも出ない、

オークも出ない。魔物は出ない。やることが

ないっていったらない。あったことといったら

植物採集とかだ。


あまりに暇過ぎて、居眠りをしたぐらいだ。まぁ、

朝寝てないしな。


ただ、今思えば、嵐の前の静けさというのは

こういうことを指すのかもしれない。

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