収穫祭
ほら、ちゃんと約束は守ってる。
今回は、お兄ちゃんに代わり、私が
お送りいたします。
ガレンさんと別れてから、三日。新しい
町に着きました。ソナという町です。
「あぁ、私、天界にしばらく帰るから。」
ラミルさんが急にこういうことを言って
光りに包まれ消えました。
まぁ、色々ありましたけどお兄ちゃんにも
会えたし、つらい生活から解放されましたし、
よかったちゃぁよかったですけど、健治さんとか
はまだ未来もあるわけですし、よかったの
でしょうか?
そんなことよりもこのソナの町でこれから
収穫祭があるらしいのです。しかし、
その季節は魔物が多く、強さも上がるらしいので
ギルドに登録した人は、魔物討伐の参加を
求められるらしく、お兄ちゃんにも
通達が来ました。
「はぁー。面倒臭いな。もちろん、健治と舞も
やってくれんだろ?」
お兄ちゃんはたまにこんな冗談をいってくる
のです。かわいい妹に本気でこんなことを
言う人がいますか?
「いや、だって祭りは七日間あるんだぜ。
冒険者も休みはもらえるらしいし、
お金も倒した分だけもらえるんだから、みんなで
やったほうが効率がいいし、もっと楽しめるぞ。」
結局、健治さんもやる気満々だったため、
魔物討伐に参加することになりました。
とはいえ、一日目は休みだったので祭りを
楽しむことになりましたが...。
「お兄ちゃん、いつまで寝てるの~?」
相変わらず寝てばっかりのお兄ちゃんでした。
健治さんなんかはもう起きているのに関わらず
です。お兄ちゃんを間違えたかな。
そして、私の一日は始まりました。
お兄ちゃんを叩き起こし、宿屋から出ると
外は人で溢れてかえっていて、
人混みの苦手なお兄ちゃんは出てから一秒も
経たずに
「今日は、宿でごろごろしてね?」
「だーめ。約束したじゃん。もう忘れたの?」
「いや、そうじゃないけど。他の休みの日で
いいじゃんか。」
「カズ、約束を破るのは男じゃないぞ。」
こう言われたお兄ちゃんは、
小さな声で、
「俺は、男子だ。」
「なんか言ったか?」
「いや、何も。ところで、どこにいくんだ。」
よくぞ、聞いてくれました。
「あのね、行きたいのは、あれとこれと
あと、あれもでしょ...。」
いや、もう行きたいところがたくさん
あるんだもん。
んで一番行きたかった特大パフェの店まで
やって来ました。
「おじちゃん。おすすめの奴、三つ頂戴。」
「かわいい嬢ちゃんだね。これは、
おまけだよ。どっちと付き合っているんだい)」
あまりにびっくりしたから顔が赤くなっていると
思う。
「やだなー。どっちも違うよー。」
「そうか。悪いね。はいどうぞ。」
うん、いいおじさんだった。
パフェをもらって戻ると、
「俺、甘いの苦手なんだけど、言っていな」
といったところで顔をしかめて、
言うのを途中で止めた。何も聞こえなかった
んだけどなんていったんだろう。
そんなかんなでいろんな所をまわることが
できたので私は満足です。
ただ、お兄ちゃんが一日の最後に
財布を見て、ため息をはいていたのを
偶然見てしまって少し罪悪感があったけど
明日から魔物討伐するし、別にいいよね?
和男「おい、健治さっきなんで俺のこと
踏んだんだよ?」
健治「お前、妹の好意を蹴るつもりだったのか?
いつも気が利きすぎるおまえがめずらしいじゃ
ねぇかよ。」




