チート持ち
ガレンを含めた俺たちは、謁見の間からでて
俺たちの泊まっていた温泉宿の一室に
いた。
「さぁ、教えてくれ。」
「そう焦らないで。和男たちもちゃんと
聞いときなさい。」
「俺らもか?」
「当たり前でしょ。特にあなたには
話していないことも多いのだから。」
そういったあとラミルは静かに
話し出した。
「まず、私は堕神。神から落とされた存在。
そして、こっちは地球という名の違う世界から
きた和男と健治と舞。」
ここまでいったところで、ガレンが
飲んでいた。お茶(?)を吹き出した。
「おいおい、ちょっと待て。話がとびすぎだ。
さすがに嘘だろ。」
「うるさいわね。ほんとうのことよ。今は
私が話しているの。腰を折らないで。」
ガレンの気持ちはよく分かる。が、ラミルを
怒らせないで欲しい。そう目で訴えると、
「わ、悪かった。続けてくれ。」
「それで、今までの一連の事件を起こしているのが
悪の野望と自らを呼ぶ
組織でこれのメンバーも地球から神によって
連れてこられた人よ。刺激を求めている人が
多く、神が連れてきたのも同じ理由よ。メンバーは、ほとんど知らないけど一人だけ知ってる。
柊 圭よ。地球で相当の悪をしていて、
世界の凶悪犯罪の九割がこいつの仕業とも
言われているわ。あなたたちも聞いたことない?
平野消失事件とか三大企業倒産など色々な
事件があるわ。こいつはとても危険。計画の
壮大さに重点を置いているから、やることが
予測できない。しかも、慎重に事を進めるため
尻尾すらつかめない。要は糞みたいに
捕まえにくいってことね。ここまでで
質問あるかしら?」
「その神の目的を詳しく知りたいのとお前の
正体についてかな。」
そう聞いたラミルの顔が少し曇った。
「私の説明が分かりにくかったのかしら?」
「いや、もう少し詳しく知りたいと思ってな。
気にさわったのなら、謝る。悪ぃ。」
ガレンよ。謝っている態度ではないぞ。
「説明不足だったかもね。それについては
謝るわ。それで神の目的を話すのなら私のこと
から話したほうがいいわね。私は、堕神。
文字通り、神から落とされた存在。元は、
神だったわ。そもそも、神というのは
天界より世界を見守り、救いを授ける存在。
つまり、暇なのよ。下界を上から眺めるだけ、
やることもなく、ただただ年も取らず
救いと救済を与え続ける。そして、ここから
神の目的よ。ある日、神の一人が「暇だ」と
いった。誰が言ったかはもう分からない。
それはそうと、暇だとみんな思っていた。
だが、声に出たのは初めてだった。それによって
刺激を求めて世界を変えようとした組織と見守り
続けることを選んだ組織に別れた。この二つは
対立をしていて、何度も争いをした。
しかし、あるとき見守る側がはめられた。
はめられて、落とされた。そして、落とされたのが
私たち堕神よ。そして、私たちをはめた神は
それから本格的に世界を変えることをし始めた。
手始めに世界を滅亡させた。次は人々を操り、
世界を滅亡させた。そして、今回はこの世界に
異世界人を連れてきて、新しい風を吹かせようと
している。これが神の目的よ。」
ここまで一息で言うと、ラミルは静かに
お茶を飲み始めた。
「大体の事情は分かった。ところで、
カズオが試合中に言っていたチート
というのはその地球の言葉なのか?随分前に拘束
した悪の野望のやつだと
思うがそいつも言っていたんだ。まぁ、自白
だけさせて、始末したんだがな。」
「そうだな。地球の言葉だ。これは、強すぎとか
能力の持ちすぎだとかそういう意味かな?」
「そうか、確かにこの力はチートだな。それで、
その悪の野望の次の
目的は何なんだ?あと、これからどうするんだ?」
「それがまだわからないのよ。さっきも言ったけど
なにを考えているのか分からない奴があっちにいて
何も予想ができないの。それともうひとつの質問
だけども。とりあえずは、島を回るのと
情報収集かしら。ガレン、あなたはどうするの?」
「俺は、この先も真実を求め続ける。だが、
お前たちにはまだ聞きたいこともあるしな。
これから、上手くやっていきたい。
また、何かあったら教えてくれ。」
そう言ったあと、ガレンはまたな。と言い、
部屋を出ていこうとした。しかし、
ガンッ。
扉に頭をぶつけた。
「イッテェ。」
チート持ちも少し間抜けだったようだ。