準決勝
だから、言ったろ。
やるときはやるって。
大会三日目
「本日もやってまいりました。闘技大会
準決勝です。本日もたくさんの人に集まって
もらい、嬉しい限りです。さて、本日の対戦は...。」
と言うのと共に、またも電光板に文字が
映し出された。
準決勝第一試合
カズオvsトナー
準決勝第二試合
ケンジvsガレン
「となっております。それでは、さっそく
始めて行きましょう。って、なに。もう始めるよ
次の試合。」
どうやら何かがあったようだ。審判みたいなひとが
実況者の耳元で何かを言っている。
ちょうど今終わったようだ。
「えー。大変言いづらいのですが、第一試合に
出る予定でした。トナー選手が棄権ということ
でカズオ選手の勝ちとなります。」
ブーブー。金でも掴ませてるんじゃ
ないのか?
そんな罵声が聞こえてくる。驚いているのは
こっちなんだよ。運がいいとはとても
言いづらい状況になってきたよ。
「お兄ちゃん。なにしたの?本当に裏で金でも
掴ませたの?」
健治も舞もそんな疑うな。俺は悪くない。
冤罪だー。
「仕方がないので次へ行きましょう。
準決勝第二試合は美しい剣技で、会場を
歓喜に包みこんだ、ケンジ選手と不思議な技を
たくさん使い、マイ選手の鉄壁の守りを
打ち砕いたガレン選手の戦いです。」
そう言われると、健治とガレンが
前へ出てくる。
「それでは、始め。」
言われた瞬間に健治は剣を抜いた。ラミルから
もらった、神刀カグツチを。いやーずるい。
しかし、ガレンは相変わらず興味がなさそうで、
構えることがない。
「舞ちゃんの敵はとるからな。」
「ほう。あいつと知り合いなのか?これは、
歯ごたえがあるのか?まぁ、いい。」
そして、いつも通り指を鳴らしてきた。
パチンッ。
しかし、何度も見た技をかわすことができない
わけがない。
「真空切り」
空気中を切り裂くと何も起こらなかった。
いや、正確にいうと見えるはずがなかった。
「その技は、自分のまわりの範囲内に一気に衝撃
を送って気絶させる技だろ。」
「よく気づいたな。どうしてだ?」
「まぁ、色々とな。」
「それじゃ、これならどうだ。《意思を持つ者》」
ガレンがそういうと、下に敷き詰められた、
レンガやブロックが動きだし、形を
とり始めた。そして、健治めがけて
襲ってきた。
!!!。おいおい、嘘だろ。
しかし、健治はそれを見てただひとつ
フッと鼻で笑った。
「断絶」
プチ、プチプチ。
途端にレンガなどのかたまりが動くのをやめて、
崩れ落ちた。
「中々やるな。それでは次だ。
《創成》」
と言ったあとに何もないところから
荒野のガンマンみたいなひとが複数人でてきて、
「《進化》」
で、ガンマンの銃がピストルからサブマシンガンや
ロケットランチャーなどに変わったり、ガンマンの
顔が大人びたり、まぁ、それはいいとして...。
「《解放》」
そうガレンがいうと、ガンマンがそれぞれ
意思を持ったように動き出した。
健治を倒そうと意気込む者、興味がなさそうに
寝っ転がる者、トランプをどこからか取りだし
ババ抜きを始める者など、正に十人十色だ。
「これだから、この技は...。仕方がない。
おいお前ら、働け。目標は目の前にいる
ケンジとかいうやつだ。作戦は個人個人に
任せる。」
そう言われた瞬間、ガンマンはみんな怠けること
をやめて、健治を見始めた。
「めんどいなー。」
「やるのー?」
「さて、俺の番だな。」
さっきまでの光景が嘘のようだ。
そして、次の瞬間、ガンマンが自分の持っている
銃を健治に向かってうち始めた。
ズババババババババ。
ズダダダダダダダダ。
「第三剣技《千本桜》」
すると、健治に向かってくる、弾丸を
全て叩き落とした。
そして、そのままガレンのほうまで
瞬間移動並みの速さで行くと
「縦一門」
ガレンのいる所をものすごい速さで
切り裂いた。
「不味い、やり過ぎたか?」
「いーや、大丈夫だ。お前が切ったのは、
俺の幻だ。」
パチンッ。
ガレンの指が鳴り、健治の回りにつたが絡み、
健治を拘束した。
「こ、こんなもの。」
健治は、ほどこうとしているが
「無駄だ、降参しろ。しないのなら...。」
「だ、誰が」
「じゃあ、仕方ないな。」
パチンッ。
また、指が鳴ると、健治は眠りこけてしまった。
「ケンジ選手は寝てしまったため、
ガ、ガレン選手、決勝進出です。」
パチンッ。
今度は、この音で健治が起きた。
そして、この騒ぎを聞いて、
「そうか、俺は負けたのか...。」
「決勝戦は、また明日となります。
それでは、明日もお待ちしております。
それでは、また明日。」




