能力解放
申し訳ない。
自らを悪の野望と名乗る
男たちが去っていったあとのラミルの機嫌は
と言うと一言でいうと不機嫌だった。
「ラミル、あいつらが神とそのついてきた奴ら
なのか?」
「ええ、そうね。そのとおりよ。」
と言いながら、ラミルはブツブツと独り言を
言い続けている。
「なんで、スミルがここにいるのよ。しかも、
柊を連れてきて...。あいつはまずいわ。ていうか、
なんで、あんなに腕をあげているのよ。」
さっき、気になったことがひとつある。ラミルの
口調がスミルと言われた神と話していたとき、
スゲー乱暴になった。
ラミルとスミルはどういう関係なのだろうか?
しかし、今はそれを聞くべきではないだろう。
人には触れていいことと悪いことがある。あ、
でも、ラミルってひとなのか?
とか、どうでもいいことを考えていたとき
ラミルが話しかけてきた。
「あいつらに対抗する力が必要ね。
あんたたちに修行をつけてあげるわ。」
修行というのは、その人の実力を伸ばすことで
あっているはずだ。しかし、ラミルは本当に
その意味を理解しているのだろうか?
「じゃあ、私が三人になれば公平に出来るわね。」
「それは、分身をするということか?」
健治は優等生でありながら、マンガやアニメなどを
好きで見ていたからな。
「そんなところね。」
そんなこんなで、修行をすることになった。
とは、いっても修行という修行をしたわけ
ではない。
簡単にいうと能力の解放とその使い方を
叩き込まれ、そのあとはとにかく実践だった。
俺以外は...。
この方法を聞いた時、おれはどう思ったと思う?
やっと主人公ぽくなれる。これでチート持ちに
なれる。と思った。しかし、俺は所詮主人公なのに
主人公素質のない男だったということだ。
ラミルはみんなの前でこう言った。
「さて、能力の解放をしていくわよ。まず、カズから
ちょっと来なさい。」
そして、俺の頭に手を乗せ、ブツブツとなにかをいいだし、
「えっと、とても言いづらいのだけど、私じゃ
あなたの能力解放は無理ね。出来るものもあるけど
解放しようとすると弾かれてしまうの。出来るのは
しておくわ。今、思ったけどやっぱりあなたは
イレギュラーなのね...。」
ショックだった。ポジティブに考えることが
できたのであれば、主人公らしいじゃん。て、
なるかもしれない。でもさ、命かかってるんだよ。
笑えないよ、冗談じゃないよ。
「あとは、健治も舞も能力解放は出来たわ。
本当不思議ね。まぁ、いいわ。」
このとき、舞と健治は何とも言えない微妙な顔で
俺のことを見てきたんだ。
健治なんてその顔のまま俺の肩をポンポンと
慰めるように叩いてくる始末。
そんな顔でおれを見ないでくれー。
新しい話でも書こうかな。




