ラミル強し
ラミルの長い説教(?)が終わり、
しばらく歩いていると、今俺たちのいるナキ島で
最も危険な場所に分類される通称、魔の山
についた。
魔の山の景色は、緑が取り柄の観光地のような
所だが、所々怪しい雰囲気が出て、危険な香り
を醸し出している。
「おい、ラミル。ここに行って帰ってこられた
人っているのか?」
「いません。(キッパリ)」
「嘘だろ!!」
「嘘です。」
「堕神でもジョークは言えるんだな。」
「まぁ、腕の立つ人は、数人帰って来てますけど
大体の人は帰らぬ人ですね。」
「大丈夫なのか?」
「当たり前です。何のために私が来たと思って
いるんですか?」
「そうか。悪い、それでどうするんだ。」
「まず、山に入って一週間ほど野宿して、
山からばれないように出ます。その間は、
あなた方の訓練でもしますか。」
「ばれないようにってどうやって?」
「あとで考えます。」
「 そんなんでいいのか?」
「んなんでい...」
ガサガサ。ラミルの発した言葉が遮られた。
「おい、なんの音だ。」
草むらからグリーンラビットが、
飛び出してきたのである。
「カズ、まずいぞ。こいつは、ランクは高く
ないが仲間をすぐ呼ぶ習性がある。」
「ウサギの分際で、私の発言の邪魔をしたの?」
「お、おい、ラミル。」
ラミルは、そう言うと手を高くあ挙げると、
なにやら唱え始めた。俺の危険察知能力が
警告音を鳴らし始めた。
「舞、健治、ここから離れろ。」
と言っている間にグリーンラビットが大量に
なり、囲まれていた。
「ちぃ。俺に捕まれ。」
舞と健治に俺を捕まらせると、
瞬時に瞬間移動で出来るだけ遠くに逃げた。
次の瞬間、ラミルを囲んでいた、一匹が倒れた
かと思うと、次々に倒れていった。
「なにが起きたんだ?」
しかし、健治も舞も首を横に振るだけだった。
「もう良いわよ。よくヤバいと気付いたわね。」
「なにをしたんだ?それに逃げなければ
どうなっていたんだ?」
「運が悪ければ死んでいたかもね。使ったのは、
死の連鎖よ。私の半径五m以内の生物に、
死の魔法をかけて、かかった生物と同じ遺伝子を
持つ近くの生物の命をも奪う技。これで、
私が強いと分かったかしら。」
そして、俺たちは悟った。こいつがこの山で一番
危険だということを。




