再開
「ちょっと待て。」
確かにそう聞こえた。だが振り返ってはならない。
嫌な予感とは大概があたるものだからだ。経験から
それを知っているカズは、聞こえているがあえて
振り向かなかった。
「ちょっと待てと言っている。振り向け。
これは命令だ。」
カズは確かに無視をしようとした。だが、気持ちとは
裏腹に足は声のする方へと振り向いてしまう。
「お前は何者だ?俺のレッドリザードを倒しておいて
どこにいくつもりだ?」
「そちらこそな何者でしょうか?差し支えなければ
そちらから名前を教えていただけないでしょうか?」
カズは「名を聞くときは、自分から
言うものだろう」と言ってやりたがったが相手が
どのような人物かもわからないので、いわないで
おいた。
「ふむ。人に名を聞くときは、自分から言えという
ことか?いいだろう。教えてやる、俺の名は
中井 和希だ。」
「何!?お前はどこからきたんだ。」
「どうした。早くいえ。」
「くっ。谷原 和男だ。」
「お前も俺らと同じ神からの招待を受けたのか?
それならば、レッドリザードを殺せてもおかしくは
ないな。」
「神からの招待?どういうことだ?お前は
日本からきたのか?」
「知らないのか?そうか、お前が神の言っていた
イレギュラーな存在か。ならおれは、お前を
殺すだけだ。」
「なぜだ。なんで同郷同士で争わなければ
ならないんだ。」
「簡単なことだ。こっちはこっちの目的があり、
まだ死にたくはないからな。まあ、恨むなら
自分の運命と不運を恨むんだな。幸い、お前は
能力をまだ完全に習得できていないらしいしな。」
といっただけで、和希と自らを名乗った人物は
ナイフを片手に襲いかかってきた。
(普通、一戦したあとの黒幕みたいなものは、
「失敗したか」とか言って闇の中に紛れて行くもんじゃないのか。ついてねぇ。)
しかも、運がないことにまわりはすでれ
レッドリザードの死体があり、転んでしまった。
(やべ。いきなりおれの人生終わりか...。舞や健治は
どうしているかな...)
カズの頭の中で走馬灯のように過去の思い出が
流れていくなか、ナイフはカズの頭に一切の
ためらいなく、ふりおろされていた。
「ミラーシールド」
ガツンッ。なにかに当たる音が聞こえ、ナイフは
当たらなかった。
「誰だ。」
男は、自分の攻撃を止められたことが
気に入らなかったのか、大声を上げている。
カズは、それを好機か感じ、魔力ポーションを
飲み干し、瞬間移動をし、きょりをとった。
「お兄ちゃん!」
どこかで聞いたような声が聞こえた。そう、
走馬灯で思い出していた舞の声だった。
「舞なのか?」
声のする方へと顔を向けると、懐かしい顔があった。
「ってあれ。健治もいる。久しぶりだな。」
「話はあとだ。まずはあいつを片付ける。」
カズのすぐ横に立った二人は前を見続けていた。
「わかったけど、おれはもう...。」
「使える特技がないんだろ。」
「なんでそれを知ってるんだ」
その言葉は聞こえなかったのか健治は、すでに
はしりだしていた。
「舞ちゃん。援護は任せた。」
二人の連携はしっかりしていた。健治が男の懐に
入り込み、切りかかりにいき、男の攻撃を舞が
さっきおれにした技でうまくはじいている。
流石に男も不利だと悟ったのか、距離をおいて
レッドリザードを召喚し、懐から取りだした
アイテム(転移石らしい。後で聞いた。)で
逃げ出した。
相変わらずの連携で追加の五匹のレッドリザードを
一瞬で片付けた二人は、息すら切らして
いなかった。
「カズ、話したいことも多いけどまずは、
町までもどるぞ。」
更新がおそくなりすいません。