公衆便所のウォシュレットの〈おしり〉で目を洗ってみたらあたたかくて心地よかったんですがやったことある人いますか??
初めて書いてみました
いじめないでください
ちなみに実話ではありません
中2の冬...
私はストレスが溜まりやすく白髪がたくさん生えていました
授業中は暇なので自分の白髪と黒髪とグラデーションの髪の三種類の毛をそれぞれ集めて端っこを結び机にテープを止めそれを三つ編みにしミサンガを作っていました
「え?ちょっと待って?こいつなんか意味わかんねえことしてんだけど」
私の右の席の自称ギターが弾けると言う目立ちたがり屋の篠塚くんです
「はははwwwwww
ほんとだまじウケるんだけどwwwwww
いや私もずっと思ってたのよ なんか編んでるなって」
左隣の井村さん、小学校二年生の時からの問題児です
「あーそれそいつの髪の毛
私前の席の時隣だったから知ってる
自分の髪の毛をミサンガにしてるのほんと気持ち悪いおえっ」
遠くの席から話すのは井村さんと同じ問題児グループの吉倉さん
問題児グループなのに成績優秀でスタイル抜群というモテ要素を取り揃えた女子
吉倉さんとは小学校三年生の時からずっと同じクラス
「そういえばいつも髪の毛ブチブチ抜いてるしプリントもらう時とか腕に虫みたいな不気味なもんいっぱい巻いててなんだろーって思ってたんだけどそういうことだったんだなwwwwww」
後ろの席の前田
毎日のように消しゴムを忘れていつも貸してと言ってくる
おまけに自分からは返してこない為授業終わってそいつがいない隙にパッと取り自分の筆箱にしまう
こんなことがほぼ毎時間
「せんせーwwwこの人自分のきたねえ髪を編んでまーす目障りでーすどうにかしてくださーいwwwwww」
自称ギターの篠塚くんが言う
周りから笑い声が聞こえたが私は平常心を装う為筆箱をあさりました
「...ハイ。えーっと...では次に教科書の35ページを開いてもらって...」
ギター「無視かよおいwwwwww」
問題児歴5年女井村「ウチらが喋ってたらいつも怒るくせにねwwwwww根暗には優しいのかwwwwww」
吉倉さん「てか先生半笑いじゃん」
問題児歴5年女井村「ほんとだwwwwww」
こうして私は「ミサン毛」というあだ名をつけられました
でも髪の毛でミサンガを作るのが唯一の楽しみだったのでやめませんでした
ちなみに私の夢はお年寄りの方達や世界の難民の子ども達にこのミサンガ作りの楽しさを教えることです
ミサンガを作るときにいつもそんな願いを込めているのです
そして私には学校でもうひとつ楽しみがありました
それは体育の時間、時々やるドッジボールです
体育教師「はい、じゃあ時間も余ったのでこの時間で何かしようと思うのですが何かありますか?」
字が汚い生徒会書記女「私はおおなわとびがしたいです!!」
問題児グループボス女「は?だっさ
もう無難にドッジボールとかでいいじゃん
ね?みんな?」
ボス女子分達「さんせーさんせー!ドッジにしよーはいけってーい」
書記女含めちょっと不満な顔をしている人が多い中、子分達はボールを取りに行く
体育の先生もシャイっぽいので何も言いません
問題児グループ以外で内心喜んでいるのは私だけであろう
シャイ教師「残り1分!」
問題児歴5年女井村「あーまじイライラする!あと一人だけなのに全然当たんない!しかもミサンゲだし!ムカつくわ」
そう、私のもうひとつの特技はドッジボールの球をよけることでした
シャイ教師「はいしゅーりょー」
井村さん「あーもうやだ教室帰る」
シャイ教師「ちょ、ちょっとあのーまだ終わりの挨拶が...」
井村さん「うっせーばばあ」
シャイ教師「...。」
問題児優等生吉倉さん「あいつ昔からボール一切取らないくせにかわすのだけはうまいんだよね...フッ」
私が球をよけつづけたおかげで勝ったものの同じチームの人は誰も喜びはしない いつものことです
だけど私は最後までどんな豪速球でもカーブでも何度も往復する球をよけつづけた
その達成感がとても嬉しかったのです
授業以外にもドッジボールをしたい...
でもよく考えると私には友達がいませんでした
学校の帰り道、公園がありました
毎日楽しそうな小学生達の声が聞こえていました
「次ドッジボールしよーぜー」
その声に私は立ち止まった
縦に並んで足で線を引き始める子達
先頭は一番背の高い顔が整った男の子
最後尾はもうワンサイズ大きい服を買おうよと言いたくなるピチピチ服のぽっちゃり
跳ねないボールをバスケっぽく頑張る小さめの男の子
まだ線も引けてないのに外野を自分のものにしようと端っこにいるガリガリ男子
このドッジボールを始めるまでの準備にも見とれてしまいました
今からぽっちゃりの後ろに並んで線を引きに行こうかすごく迷う
それとも散歩してるフリをして自然な感じで外野のガリガリに近付いてみるか
それともボールをボンボンしてる男の子に「このミサンガつけたら上手になれるよ」と言いミサンガを渡すか...
「よーしじゃあはじめるぞーはいスタート」
...悩んでるうちに始まってしまいました
今ならまだ大丈夫かもしれない入ろうかな
いやでも自分が入ってしまったことによってせっかく楽しい時間を台無しにしてしまうかもしれないいやでも逆に年上のお姉さんってことで喜んでもらえる可能性もあるいやでも...
「あっやっべもう6時半じゃん俺帰る」
「妖怪ぼっち始まる時間だー!」
「ほんとだ俺も帰る」
...悩んでるうちに外は真っ暗になっていた
仕方ないから私もその日は帰りました
だけど諦めきれませんでした
ドッジボールがしたい
私は次の日もその次の日もそのまた次の日の帰り道もドッジボールをする男の子達を滑り台の階段の隙間から眺めていました
それから一週間程が経過していた頃
彼らはその日現れませんでした
すごく残念でした
というのも昨日の帰り際男の子(線引き先頭担当イケメンの子)と初めて目が合ったから今日こそは声をかけれる自信があったからです
しかも割と長く目が合いました
この日は偶然来なかったのだろう
次の日の帰り道「今日はいるだろう」そう思い寄りました
いませんでした
その次の日も見に行きました
いるのは小学生数名幼稚園ぐらいの子とその親と四つ葉のクローバーを探しているっぽいおばあさんだけでした
そしてなぜか日を重ねるごとに子ども達の声が聞こえなくなっていきました
そして挙げ句の果てに
あれだけ賑やかだった公園から四つ葉のクローバーのおばあさんを除き公園から人がいなくなりました
何の声も聞こえません
初めて空気の音というものを感じました
私は初めてドッジボール小学生がドッジボールをしていた場所まで進みました
線だけがむなしく残ってありました
私は絶望しました
もう学校で時々やる以外ドッジボールすることはできないんだ...
その時私は泣きました
泣くなんて何年ぶりだろうか
もう私に明るい未来はない
体の力も抜けて座りこんでしまいました
そして何か気配を感じました
「...やっぱりお前か」
聞き覚えのあるような無いような
そんな声が聞こえました
私は振り向きました
そこに立っていたのは同じクラスで右ななめ後ろの席に座っている吉尾よしおくんでした
「まぁ分かんねえよな俺のことなんて」
「いや...し、しってます結構」
「じゃあ俺について知ってること言ってみろよ知らねえくせに」
「分かりました」
私と吉尾くんは全く接点がなくしゃべったこともほとんどありません
唯一しゃべったのは「おまえ邪魔どけ」「は、はい」
これだけです
吉尾くんも私と同じように友達がいません
吉尾くんとは小学生の頃何回か同じクラスになりましたが吉尾よしおという名前のせいで名前が出てくる度にからかわれていました
「よしおよしおwwwwww」
その当時いた吉尾くんの友達でさえ
「それにしてもお前の名前は面白いな多分これから先も一瞬で覚えられるんだろうな
病院の先生とかから笑われない?よしおよしおさん...プッて
お前の親もおもしれえなwww一回見て...」
「もう俺に話しかけんな」
それから吉尾くんは人を信用しなくなりました
みんなと同じ中学に行きたくなかった吉尾くんは他の私立中学に行く為に塾に通いました
が、試験の日
やっと今までの人達と離れられるともはや合格した気持ちで余程気分が浮かれていたのか試験会場の最寄り駅の階段を一段飛ばしで降りていたところ踏み外し骨折
吉尾くんは試験を受けられず結局みんなと同じ中学に上がることになりました
「...なんでそんな詳しいんだよ」
「み、みんなの噂話から...」
「試験日のそんな細かいことは何の情報だよ」
「はせ、長谷川さんっていう」
「長谷川?あのデブ?」
「長谷川さんのお、お父さんが吉尾くんのその...かい、階段のところに実際い、いたみたいで...仕事先がその駅みたいで」
「まじかよ あんな奴でも噂とか立てんのかよまぁ正解だけどさ」
「で、でもそんな広まってないから大丈夫...」
「問題児の井村の父さんとかだったら一発で広まってただろーな ハハ」
「と、ところでなんで吉尾くんがこんなところに...」
「あーそうだよそれな俺の試験日の話なんてどうでもいいんだよ
なんで俺がいるかっつうと」
「...。」
「今さぁ小学生の間で問題になってるの知らないか?」
「え?なんのことですか?」
「この公園に幽霊が出るって」
「え?わ、わたし毎日来てたけどゆ、幽霊なんて見たこと...」
「お前だよ」
「何がですか?」
「夜子ども達が帰ろうとすると出るんだってさ
滑り台の階段の間から覗く女の人が」
「え...」
「仲間に入れてほしそうにこっちを見てくるんだって
実際にその霊と目が合った小学生の男の子が周りや先生に証言して学校中に一斉に広まった」
「そ、その男の子ってもしかして線引き先頭担当のイケメン長身男の子...」
「うん。多分そう
ちなみにそいつ俺の弟なんだけど」
「う、う、う、うそぉぉぉぉお」
でも言われてみれば確かに似ている
「家帰って来て大変だったわ
おにーちゃん聞いて!あのねさっき友達とドッジボールして帰ろうとしたらね!滑り台のところに幽霊がいたの!!ほんとだよ!すっごい気持ち悪かった!」
「そっかぁ私って小学生からも気持ち悪いって思われてたんだ...」
「あぁお前は見た目もやることも不気味だもんな
それで弟が学校中にそのこと広めたらさ
全校生徒向けの手紙が配布された
さすがに霊がいるとは書いてなかったけど
この公園に不審者がいるとの情報を受けたので近づかないよう気をつけてくださいって」
「幽霊も不審者もどっちも嫌なんですけど」
「だからこんなに人がいなくなっちゃったわけよあーあ」
「私のせいで...」
「弟から話を聞いた時すぐにお前の顔が出てきた
お前がここの公園に来てるってことも知ってたし」
「な、なんで知ってたの?」
「さーあな
てかおまえってさドッジボールが好きなのか?w」
「いや...その...まぁあのす、すきってゆーかま、まぁ」
「昔から最後まで残ってたもんな」
「覚えてるんですか?」
「ああ、小学生の頃お前のせいでドッジ決着つかないからもうドッジはやめよってみんな言ってたからな」
「ああそれでドッジボール全然やらなくなったんだ...」
「...やろうじゃん」
「え?」
「俺お前にボール当ててみたいわ」
「う、うれしいけどふ、ふたりですか?
わ、わたしボール取れないんですけど...」
「ってことでもう一人いる」
「えっ...」
「多分俺以上に意外な奴だと思うわ」
「誰ですか?」
「まぁ今日はいっぱい話したし
明日のお楽しみっつうことで!」
「そっそんなぁ」
「ほら外も真っ暗だわ
今度は霊と一緒に話してる男の人がいたとか言われても困るしな
明日学校終わりにもう一人連れてくるから楽しみにしとけ
ボールは持ってくるからよ
それから今日のことは内緒な!じゃあな」
早く明日になってほしい
そんなことを思ったのは人生で初めてかもしれません
学校がいつも以上に長かった
私はいつも通り帰りのチャイムが鳴ったらそそくさと一番に教室を出て公園にやってきました
相変わらずクローバーのおばあさん以外人がいない
やっと学校の授業以外でドッジボールができる
そして吉尾くんが連れてくる人は一体誰なのでしょうか
ドキドキとワクワクが止まらない
そしてやって来た
「よお!今日は学校で髪の毛編んでなかったじゃん珍しいな」
「な、なんか分かんないけどこの時間になるのが楽しみすぎて
今日はそんなことに集中できなかったというか」
「そうか
もうしばらくしたら来ると思うわ。あいつ
はよ来いって昨日言っといたからさ」
「それって私が知ってる人ですか?
吉尾くんの塾の友達とかじゃなくて?」
「さーあそれはどうかなぁー
まぁもうちょい待てってヤツは俺らと違って忙しいんだ」
「忙しい人...かぁ」
「ボールも持ってきてやったし感謝しろよ」
吉尾くんが公園の入り口に目線を移動させました
「おっ来た来た
おーい!こっちだ!」
ついにこの時がやって来た
私は公園の入り口の方を振り向いた
「...えっ 」
「はぁー疲れたわぁ
今日も残ってしゃべろって言われたけど『今日ちょっと頭痛いから残れない』って言ってダッシュで出たわ
まぁある意味頭痛かったけど。憂鬱でねフフ」
...問題児の中の優等生
吉倉さんだ
「おぉーお疲れ
俺もおまえが捕まらないか不安だったわ」
「逃げるように教室出てしまっちゃった
変に思われたかな? 笑」
一匹狼の吉尾くんと問題児グループの吉倉さんが普通に話してることにびっくりしました
「...。」
「ヨッ!ミサンゲ!
あっごめんねなんて呼んだらいいか分かんないからwww
てか名前知らないわwwwwww」
「確かに俺も知らないわ
なんて言うの?」
「し、城咲姫華って言います」
「似合わねぇぇぇぇぇえええwwwwwwwww」
「ある意味俺よりひでえんじゃない?
実際会ったらガッカリパターンじゃん」
「...ですよね」
私と吉尾くんとのもうひとつの共通点
それは名前コンプレックス
だけど私の場合まず名前を知られていない
「城咲も姫華もしっくり来ないからとりあえずこれから絹子って呼ぶね」
「確かになんか絹子っぽいな俺もそう呼ぶわ」
「まぁでもそんなひどい顔ではなくない?キャラが変なだけでさ
あ、それから私別にあんたのこときらいじゃないからね
逆に興味あるし」
「オッカケだもんな
絹子が最近公園に来てるってのも実は吉倉から教えてもらったんだよ。」
「一週間ぐらい前かな
久々に早めに門出て一人で帰ったのね
なんかずっと井村達といるからさ疲れたっていうか一人になりたかったわけ」
「吉倉が一人って珍しいな」
「そしたら私の20メートル前ぐらいにあんたが歩いていたわけよ
私もその時からちょっとさぁミサンゲの生態が気になってたのね
ドッジのこともあったし
あいつは普通じゃないからなんかある。ちょっとついていってみようってね
そしたら公園の中に消えていったと」
「それから次の日俺の弟の件があったんだよな」
「そうそう。あーそいつ絶対ミサンゲだって言ってたよね」
いったいこの2人はどういう関係性なのか
「絹子からしたら私達どういう関係性?とか思ってるよねきっと」
「よ、よく分かりましたね」
「まぁ言うと私達近所なのよね
私の家のななめ前が吉尾の家
そして幼なじみってやつ」
「そ...そうだったんですか」
「てか敬語wwwwww」
「昨日俺と話してた時からずっとだよ」
「まじか
言葉も詰まりまくりだしね」
「...しゃべりなれてなくて」
「だろーねまぁそんなことはどうでもいいけどさ
まぁ吉尾とは付き合いが長いわけで色々情報交換よくしてるかんじ密かにね」
「ああ学校では全然だけどな」
「バレたら周りがうるさいだろうからね
だからこのことを知ってんのはあんただけ
絹子なら誰とも関わってないから信用できるわ」
吉尾くんが周りを見回す
「てか俺らさっきからこんな堂々と喋ってるけどクラスの奴に見つかったりしねえかな?」
「見つかったら嫌なの?吉尾は」
「俺は別にいいけど...吉倉が嫌だろ?俺らみたいな奴とつるんでるってバレたら」
「んーもう別にいいかも」
意外な答えだ
「は?いいの?知らねーぞ明日から省かれても」
「別に外されたっていいかも
なんかもうあのグループも疲れた
案外あんた達といた方が落ち着くわ私根暗なのかも。はーあ」
そう言って吉倉さんは空を見上げながら背伸びをした
「今まで私周りの目を気にしすぎてたのかもしれない
あんた達が羨ましいよ。」
「周りのこと気にしない人なんかいないような気がするな俺は
気にしないようにしてもどこがで気にしてたりするし。なっ絹子」
「うっ...うん」
「ははwww絹子はないわぁwww
気にしてたら自分の毛でミサンガなんか作るわけないじゃん
しかも授業中堂々とさwwwwww」
「それもそうだな」
2人にもこの私のミサンガをつけてほしい
そう思いました
「おっともう遅いんじゃない?
だいぶ暗くなってきたね」
「ああそろそろ帰るか」
大切なことを忘れていませんか
私が一番楽しみにしてたこと忘れていませんか
「あっあのぉー」
「ん?何よ」
「えっとぉ...ドッジボールは」
吉倉さんは一瞬固まった
「あああぁぁあー完璧忘れてたわぁwww」
「そうだ俺ボールも持って来てたんだ」
「ごめんね絹子
まぁいいじゃん今日は色々語ったしさ
まさかあんたと放課後公園で語ることになるなんとは想像もしてなかったわ。まぁあんたほとんどしゃべってないけど
私も絹子とドッジボールしたいって思ってるから
まだ始まったばっかりじゃん」
「これから長い付き合いになるかもな」
えっ
「絹子!
よろしく!これから」
「あっ!はっはいっ!こちらこそ」
「明日こそドッジしようぜ明日は土曜日で学校無いし」
「朝8時にここに集まろっかぁ」
「はっはい!」
「じゃあ3人で帰るか」
夢のような1日でした
会話ってなんて楽しいんでしょうか
約束ってなんて嬉しいんでしょうか
青春ってなんて幸せなのでしょうか
友達ってなんて素敵なんでしょうか
今日1日だけでで生きることの素晴らしさを知ることができました
私は今まで何をしてたのでしょうか
私の毎日がこれから変わる...
目が冴えて眠れず結局そのまま朝をむかえました
私は精一杯オシャレをして家を出ました
「おっ来たおい絹子こっちー」
「絹子おはよー」
仲間が待ってくれてる
「おはよー!」
あれ?いつもと違う声が出た
これが私の本来の声だったのか
吉倉「絹子ってあんな声だったっけ?」
よしお「ちゃんと声出るじゃん」
吉倉「てか思ってた以上に私服ださいね」
よしお「やべえよくその格好で職務質問されずにここまで来たよなwwwwww」
私は一生懸命選びました
よしお「なんだよお前そのピンク地に変な顔ついたいちごのTシャツwwwwww」
吉倉「そんな濃いナスみたいな紫のスカートどこに行けば買えるんですかwwwwwwwww」
よしお「なあ今って穴あいたニーハイに下駄合わせるファッションが流行ってんの?」
吉倉「聞いたことありませんwwwwww」
私は服を買ったことがありません
あるのは母親が小さい頃に着ていた服のみです
吉倉「まぁ絹子らしくていいや
で、今日のメインは例のあれでしょ」
よしお「ああ、やっとだな
ドッジボール」
ついにこの日が来ました
今までは学校の体育で半年に2回あるかどうかでした
好きな時に好きなだけドッジボールができる
それが私の願いでした
今まで作ってきたいくつかのミサンガにもその願いをこめました
やっとこの願いが叶う時がやってきた
吉倉「よかったね絹子
私あんたを当ててみたいと思ってたの
昔からあんたがボールに当たってんの見たことないんだもん
だから私もちょっとだけ嬉しい。ちょっとだけね」
よしお「じゃっボール持ってきたし始めますか」
吉倉「3人だし絹子だけ中で外野は私と吉尾ね。まあ言う必要もないか」
よしお「この公園も思った通り人いねえし広々使えんな」
吉倉「じゃあ線引こうか」
ついに線引きの夢が叶う
一列に並びつま先立ちをしながら前へ進むあの光景に私はずっと憧れていました
体育の時に時々やるドッジボールは体育館ばっかりでした。だから線を引くことなんてありませんでした
吉倉「ここら辺でいっかぁ」
よしお「ああ、俺の弟達も確かこの場所でしてたしな
な?絹子?」
吉倉「ああそうだ。絹子はこの場所に憧れてたんだよね」
よしお「そうそうあそこにある滑り台の階段の隙間から毎日俺の弟達がドッジボールする姿を見つめてたんだって」
吉倉「そりゃ怖いわwwwwww
ただでさえ不気味なのにね」
よしお「じゃあ線引くぞ」
吉倉「てか絹子その草履で引ける?w」
私「も、もちろんですよぉぉおお」
私の夢が叶うんだから
よしお「よし、じゃついてこいよ」
こうして吉尾くん、吉倉さん、私の順番で線を引き始めました
よしお「まぁ中に入るのは1人だしそんな大きくなくていいよな」
吉倉「そうだね広いと絹子の逃げる範囲も広くなって当たりづらくなっちゃうし」
よしお「まぁ今日は初めてだし広くもなく狭くもなく程々にするか
これからちょっとずつせばめて行くのはどうだ」
吉倉「それいいね」
『これから』
この言葉が嬉しくて私はにやけてしまった
よしお「てか今日風つええな」
吉倉「ね、台風近付いてるみたいだし
学校休みならないかな」
よしお「はい、オッケー
こんなもんで広さはいいかな」
吉倉「うんいいんじゃない?
絹子どうかな?.....って絹子?
大丈夫?あんた目ぇ抑えて」
私の前で吉倉さんの引く砂が舞い上がり私の目の中に入ってしまった
念願の夢が叶ったというのに失態をおかしてしまいました
私「あ、砂がちょっと...」
よしお「ああー今日風も強いしな」
吉倉「確かに砂舞ってたもんね」
よしお「ちょっとそこのトイレで目洗ってこいよ」
吉倉「うんそうしな
その間にうちらは投げる練習でもしとこっか」
私は公衆便所に入りました
最近の公衆便所は割とキレイだ
三年ほど掃除をしていない私の家の便所よりもきれいかもしれない
私は緊張で尿意を感じていた
中に入り便座に座りました
(ジョーーーーー)
いつもなら寂しく音を立てている私の尿
今日はなぜかものすごく勢いがよく
全部出すと緊張もなくなったような気がしました
そして横を見ると色々なボタンがありました
ああ、これがウォシュレットというやつか
こんな機会はなかなかない
どのボタンを押すか迷いましたが私は〈おしり〉を押しました
(ウーーー。シャーーーー)
...あー幸せだ
最近のトイレは素晴らしい
私は目を閉じてしばらくこの幸せを感じていました
あっ
そうだ私はここに目を洗いに来たんだった
ウォシュレットがなかなか止まらない
私は立ち上がりパンツとスカートを上げ
止まらない水の噴射で目を洗った
...
......
あったかい
最近の公衆便所はなんと優しいのでしょうか
この時代に生まれてきて本当によかった
初めてそう思いました
...
......
..........
吉倉「ちょっとーーー?絹子ーー?生きてる?」
よしお「いつまで入ってんだよ!もう30分は経ってんぞ」
はっ!そうだ!私は公園にドッジボールをしに来ているんだった
私「...あっごめんなさい今から出ます!」
私は止まらないウォシュレットで手を洗い急いで扉を開けた
吉倉「大丈夫?まじで死んだんかと思ったじゃん」
よしお「おなか痛かったんなら最初から素直にそう言えよ」
私「い、いや違うんです...あのぉ...えーっと...」
扉の外には吉倉さん
入り口の外に吉尾くんがいました
吉倉「え?待ってなんか水出てるけど」
よしお「えwwwwww嘘だろwwwwwwおまえウォシュレットぐらい止めろよwwwwww」
私「いや、なかなか止まらなくて...」
2人「はぁ?」
吉倉「ちょっと待ってそこどいて」
吉倉さんは私がさっき入ってたトイレの中に入った
(ピッ)
水が止まりました
よしお「...おまえもしかして
ウォシュレットは勝手に止まる
とか思ってたんじゃねーだろーなぁ?」
私「え?そうなんじゃないんですか?
最近のものは色々すごいから...」
よしお「嘘だろおいwwwwwwwww」
吉倉「ちゃんとボタンみて?ほらここに〈止まる〉って書いてあるでしょ?これちゃんと押してからトイレ出るの!」
私「あぁ...そうなんですか...ごめんなさい」
吉倉さん「しかも流し忘れてるしさ...」
(ジャー)
よしお「確かに流した音聞こえてなかったなwwwwww」
早く出ないとって思って流すのを忘れていました
吉倉「もういいからとりあえず手洗いなよ。早くドッジに戻ろう」
私「いや、洗いました」
よしお/吉倉「はぁ?」
よしお「お前トイレ出た後手洗うことも知らねえのかよwwwwww」
吉倉「私ウソつく人だけは嫌いだわ」
私「いやほんとです。さっきウォシュレットで出てた水でちゃんと...」
よしお「ふざけんなwwwwwwwww」
吉倉「...でも確かに手は濡れてる」
よしお「で、おまえ肝心の目は洗ったのか?」
私「はい。手洗う前に...」
吉倉「え?」
よしお「手洗う前?」
吉倉「え、待って待って手洗ったってウォシュレットだよね?
そこまではもう許してあげるわ
『トイレに入る前に水道で洗いました』だよね?ねぇ?」
よしお「お願いだからそう言ってくれ」
私「いや...手洗う前に...その...ウォシュレットで...」
吉倉「.......」
よしお「.......」
私「すごいあったかくて...」
よしお/吉倉「知らねーーわ!!!!!」
吉倉「もう私からは何も言うことはありません」
よしお「あのなぁ公園の便所だぞ?雑菌だらけの水を目に入れたらどうなるとか考えねえのかよ」
吉倉「絹子。あんたが変人だということは分かってたよ。小学校の時から見てたからね
だけどね。ここまであんたが馬鹿だったとは知らなかった」
よしお「お前よくここまで生きてこれたな」
私「うん。悲しいことも言われたりしたけど私は我慢し...」
よしお/吉倉「いや、そうじゃねえわ!!!!!!!」
よしお「よくそんな当たり前の常識も知らないでここまでこれたなって言ってんだよ!」
吉倉「吉尾、もう無駄。馬鹿には何言っても無駄」
私「い、いや私って割と常識人だと思うんですけど...」
吉倉「........。」
よしお「...え、えっと公園でドッジボールをするというのに下駄履いてきて目を洗うだけのはずがトイレに30分こもって出てきたと思ったらウォシュレット止めてなくておまけに自動で止まるとか思っててしかも公衆便所の雑菌だらけのウォシュレットで手ぇ洗ってそして挙げ句の果てには目までウォシュレットの水で洗い出す
それで常識人なんですか?」
吉倉「本当の馬鹿とはどうやっても馬鹿だと分からない
もう手遅れです」
よしお「ああ、本当にその通りだ」
私「で、でも私授業とか静かに聞いてるし...」
吉倉「...こないだ床にあんたの国語の4点のテストの答案用紙が落ちてたよ。捨てといてあげたけど」
そういえば国語だけ無いなぁと思ってました
よしお「どうやったらそんな点数が取れんだよ...」
吉倉「しかもミサンゲ編んどいてよく言うわ」
よしお「『静かに』って喋る相手がいないだけだろ」
吉倉「吉尾も人のこと言えないけどね」
よしお「...。」
吉倉「もういい私帰るわ。馬鹿がうつる」
私「えっ?ド、ドッジボールは...」
よしお「なんで俺はこんなとんでもない馬鹿に構ってしまったんだろう...」
吉倉「私も最初は絹子が気になってた。他の人にはないようなものを持ってる気がしてたから
そして今日それが分かった
持ってるのはどうしようもない頭」
よしお「ああ確かに絹子は誰にも負けない頭を持っているよな。違う意味で」
私「そうなんです...私白髪生えやすいみたいで...今も悩んでて...」
よしお「だからちげーよwwwwww」
吉倉「脳内の方!」
よしお「悩むならその思考能力に悩もうぜ」
吉倉「まっそういうわけで私は帰ります
これ以上あんたと構ってたら本当に馬鹿がうつっちゃう
学歴だけはちゃんと残したいつもりなので」
よしお「高校受験もあっというまに来るしな。絹子には関係ねえけど
俺も帰ろっと」
吉倉「まぁ分かってると思うけど私達はもうここに来ないから」
よしお「ボール置いといてやるわ。俺らにはもう必要ねえもんな」
私「えっ...そんなぁ」
吉倉さんがトイレの入り口に立っている吉尾くんのもとに向かう
吉倉「じゃあね!ウォシュレットした時はちゃんと止めるボタン押すんだよ!」
よしお「流すのも忘れんなよ!」
吉倉「あと靴下の穴はママにちゃんと全部ふさいでもらうんだよ!」
よしお「ガムテープじゃダメだぞ!ちゃんと糸で縫ってもらうんだぜ!」
吉倉「そこで髪の毛使うのは無しだよ!」
よしお「とにかく他人に迷惑かけるようなことはするなよ!」
よしお/吉倉「じゃーねー!!」
私「ち、ちょっとわ、私昼ごはんにと思って昆布おにぎり作ってきたんですけど...」
2人は振り返ることなく笑いながら帰っていきました
これから私の人生が始まる
そう思っていました
始まりませんでした
大好きだったドッジボール、これからはいつでもできる
そう思っていました
1度もできませんでした
仲間とこれから楽しい毎日が送れる
そう思ってました
1日ももたず終わりました
だんだん目がかすれて行きました
それは悲しいからなのか
ウォシュレットの雑菌作用なのか
どちらの影響なのかは分かりませんが
涙が出てきました
そして思わず座りこんでしまいました
...じょ....ゃん
おじょ....ゃん
おじょーちゃん!
ハッ!
綿棒の綿の部分を取ったらストローになるのか。実験しようとしたら誰かに呼ばれた
私は夢を見ていましま
そして目を開けると人がいる
「おじょーちゃん!大丈夫かい?
こんな便所の前で眠って...」
人がいなくなった中、唯一この公園に残った四つ葉のクローバーを探しているおばあさんだった
「あ、すいません...ち、ちょっと色々あって」
「あらそう...若くても悩みはあるのねぇ」
おばあさんの言葉には重みがありました
「おじょーちゃん、これあげるわ」
おばあさんはしわくちゃの左手で私の手を持ち何かを握った右手を私の手のひらに置きました
四つ葉のクローバーでした
「い、いいんですか?せ、せっかく見つけたのに」
「ええ、久々に見つけたのよ
おじょーちゃんに幸せが訪れますように」
「自分のものにしなくていいんですか?」
「ええ。私はねできればたくさんの人々が幸せになってほしいのよ。せっかくの人生なのだから
私のようにはなってほしくないの」
おばあさんにどんな過去があったのかは知りませんが
こんな年になってもクローバーを探し続けるとは可愛いおばあさんもいるもんだなあと思いました
「そのクローバーを手のひらに置いて両手を合わせて目をつぶり心の中で叶えたいことを願うの
きっと叶うわよ」
なんと純粋なおばあさんでしょう
だけど普通すぎてもっと他の方法思いつかなかったのかよ、と思いました
「さあやってみなさい
願いはひとつね」
嘘っぽいけど人生経験の長いおばあさんなのだから間違いないはず
信じてみよう
そう思い私はおばあさんがくれた四つ葉のクローバーに両手を重ねました
「さあ、願うのよ
おじょーちゃんの今一番叶えたいこと...
信じることが大切よ...」
私は目をつぶった
...
.....
........
(後ろの席の前田が消しゴムを持ってくるようになりますように)
そう簡単に願いは叶いませんでした 完
読んでくれてありがとうございました(´<•>∀<•>`)




