運命の少女は
「ここは…」
あたりは、見覚えのある黒一色に染まった世界。
「はぁ、またここか…」
ため息をつきつつ辺りを見渡してみる。どこまでも広がる黒い世界。体は浮いているように軽い。
「あれっ?なんだろう?」
遠くに小さな光が見える。少しずつ光は大きくなっていく。
「近づいてくる!」
逃げようと体を動かすがうまくからだが動かずにただただ暴れることしか出来なかった。すぐ目の前まで光が迫ってくる。すると光はピタリと止まり、激しい光を放った!
「うわっ!」
光はだんだんと小さくなっていく。するとだんだんと小さな子供のシルエットが浮かんでくる。
「あれは?女の子?」
光が消えるとそこには小さな長い髪を下ろした少女が現れた。
その少女はとても綺麗な髪で真っ白なワンピースをきており、目を閉じて立っている。
「ねぇ、君は誰なんだい」
話しかけて見るものの返事はなくただただ立ち尽くしている。
その少女に触れようとすると少女はやっと目を開いた。
とても綺麗な青い目をしている。
「やめて、私に触れないで」
透き通るような声で喋った。目がじっとこっちを眺めている。
「君は誰?」
少女に話しかけてみる。すると少し間をおいてから
「私に名前はない…」
と答えた。
「名前がないの?」
少女は黙り込んでしまった。すると突然、
「私は時に神様と呼ばれる存在、私はそのなかではメイと呼ばれている」
と答える。唐突に「私は神だ」と言われても何がなんだか分からなくなっていく。
「名前あるじゃないか」
「名前ではなくただそのように呼ばれているだけだ」
そう呼ばれているのに名前じゃないってどういうことなのだろう。
そんな事よりこの子は何なんだろうか。
「話を始めても良いか」
急に喋り出したせいで少しびっくりしつい
「いいよ」
っと言ってしまった。すると少女は話し始めた。
「お前は死ぬべきではなんだ。お前が死ぬという運命はないんだ。このままでは運命が狂ってしまうんだよ。だから、お前はなんとしても生きねばならないんだよ」
言っていることがわからない。
「どういうこと?」
「そのままだ、とにかくお前は死ぬべきではないんだよ」
僕は死ぬべきじゃない?どういうことだ?僕はこうして死んでしまったのに。
運命が変わった?一体どういうことなのだろうか?
「お前の周りに運命をネジ負けた奴がいるんだよ」
「運命をネジ負けた!?」
「そうだ、運命の指輪というものがある。それは本来神が持っているべきでは物で運命を操作できる物だ。それが盗まれたんだよ。そしてその指輪の影響で運命を変えられたのがお前なんだよ。だからお前が自分の運命を守らなければいけないんだよ」
僕が運命を守る?唐突に過ぎて頭が着いていかない。
「じゃあ、君が神様なら君でなんとかできないの?」
そうだ、神様ならなんでもできるはずなんだ。
「神様だからといってなんでもできるわけではない。神が住んでいるのは神界。
人が住んでいるのが人間界、というように神は人間界に行けないんだよ。
あっ、すまない。もう時間がないんだ。君に私が与えらる時間は1週間だ、詳しいことはまた伝える。頑張ってくれよ」
「えっ?どういうことだよ!…うっ!」
前と同じように目の前が歪み意識が薄れて行く。