異世界の常識と兄貴との別れ
前回のあらすじ 兄貴は異世界のリア充
「どうだエニシ、すげぇだろあれがお前の100kmの旅の
終着点ウォーレンだ。」
あれがウォーレンなのか………とにかくデカイ。
街を覆う壁のせいでそのことがよく分かる。
さらに町の中心部に城みたいなものが見える。
あの壁よりでかいって………異世界の城ぱないっす。
「あ、兄貴」
「なんだエニシ、びっくりして声も出ないのか?」
「いや、今からあの街へ行くんですよね」
「あぁ、そうだが。あれがお前が目指していたところところだろ?」
あの街のギルドで俺の冒険が始まるのか。
くぅ〜オラ、ワクワクすっぞ!
「よっしゃぁ!兄貴速く、風よりも速く!行きましょう!」
「いや、お前にはあそこに着くまでこの世界の常識を教える
お前は何も知らないし、けっこう街まで距離もあるしな。」
………………出鼻をくじかれるってこういう時に言うのだと思う。
でも、まぁ兄貴の言うとおりだしな。
「わかりました。兄貴よろしくお願いします!」
「じゃぁ、歩きながら教えてやるよ。」
街へ早く行きたい思いを押さえながら俺と兄貴は
歩いて行った。
ーーーーーーーーーーーーーー
「とりあえず最初に言うことはこの世界の名前は
ラスネリアじゃなくてラスメリアだからな。
間違える奴がいるなんて思わなかったけどよ。」
それなんか前も言われた気が………………まぁいいや
確かに言われてみればおかしいな。俺たちが住んでる国は
どこだと聞かれて普通なら
「日本!」
と小さな子でも答えられる。それを
「あ、あめ、アメリカ!」
と言うようなもんか。うん、おかしいな。まずこいつ大丈夫か………
ってなるな間違いなく、とりあえず兄貴になんか言わないと。
「兄貴、悪気はなかったんです。」
「いや、悪気があるかないかは関係ねえけどな。
むしろ悪気がないのに間違えてる方がおかしいぞ。」
「それは反省しています。」
結局俺が、大丈夫かこいつ状態なわけか。
俺だってわざと言ったんじゃないのに………
いやわざとじゃない方がおかしいのか。
俺がそんな事を思っていると兄貴がまた話だした。
「とりあえず気を取り直して最初にこの世界ラスメリアには
五つの国がある。王国レガリア、亜国ミクス、帝国フォルテ
皇国アポストロ、そして魔国トロイ。この五つだ。」
うわ〜魔国トロイ悪そう〜魔王とかいそうな国だな。
「まぁ、説明するのはウォーレンのことなんだが
王国レガリアの中心に位置する街なのがウォーレンだ。
城があることは分かるよな。」
「はい、さっき見ました。」
「城には言わなくても分かると思うが国王や王妃などが
住んでいる。」
ということは、城には…………
「あ、兄貴、城には姫様も?」
「あぁ、いるぞ」
はい、きましたぁ!フラグ頂きました!
「どうしたエニシ、やけに嬉しそうだな………」
「いえいえいえ!そんなことぉないですよぉ!」
「いや、嬉しさが全身からにじみ出てるぞ。」
いや、そんなことないし!べ、別に異世界に来て
姫様がいるって分かって嬉しいわけじゃないんだからねっ!
「はぁ………まぁウォーレンが王国にとって
大事なとこってのは分かっただろ。」
「はい、それはバッチリです」
姫様がいる街だからな。うん、そりゃ大事な街だ!
「………分かってないような気がするが話を続けるぞ。
ウォーレンには中心に城がある。それを囲うように
ギルドが東西南北に1つづつあるんだ。まず俺の所属するギルド
『青鳥の幸羽』は東にある。そして他の3つのギルド
『静かなる三日月』は西に、『大地の礎』は南に、
『王国の威光』は北にある。この4つが王国のギルドだ。」
え、ギルドってそんなにあるの。ギルドでクエストを受けるのは
どこでもいいって兄貴は言ってたけど、この馬鹿でかい街を
行ったり来たりする気はないしな………俺はどこのギルドで……
「あ、兄貴、俺はどこのギルドで活動すれば……」
「まぁ普通なら、自分で考えろと言うべきだがお前は心配だしな
ちょうどここの道は東門へ行く道だし、エニシお前、青鳥の幸羽で
活動する気は無いか?」
あ、兄貴ぃーーーーーーー!!!俺をイノシシから助けてくれたうえに
ラスメリアのことも教えてくれるし、さらにどこのギルドで活動するか
迷っている俺に自分の所属するギルドで活動しろと!
「俺、兄貴に一生着いて行きます!」
「なんでそうなる!ギルドの話だろ!」
「じゃあ兄貴の言うとおり俺、青鳥の幸羽で活動します!」
「お………おぉそうか、青鳥の幸羽で活動するか。エニシお前は
常識もないし、金もない、たいして強くもない」
「ぐはっ、急になんてこと言うんですか兄貴!」
俺の今の状態を再確認させられた…せ、精神的ダメージがデカすぎる!
「おれは、若い芽を導くのが自分の役目だと思ってる。」
「急にどうしたんですか兄貴」
俺に暴言を吐いたかと思えば、
若い芽を導くのは俺の役目だと思ってる(キリッ)
とか言ったりして本当にどうしたんだ?
「エニシ、ここでお別れだ。」
「え、えぇーーーーーーーーーーー!!!!!
なんでですか急に!」
「いや、エニシにはこの世界のことも教えたし、
ギルドのことも決めてもらったし、街はもう
目と鼻の先だしな。そもそも俺がエニシを助けたのは
他の街へ行く途中だったしな。」
ぐ、そう言われたら引き止める理由がないけど
「青鳥の幸羽へ行ったら俺の知り合いだって言え
少しはひいきしてくれるだろ。」
「で、でも………」
「大丈夫大丈夫、なんとかなるだろ。」
そう言って兄貴は今来た道を引き返して行った。
なんか、なんか言わないと………絶対後悔する………
「兄貴ぃーーーー!本当になにからなにまで
ありがとうございましたぁーーーーーーーー!!!!!」
「おう」
兄貴はそう短く呟いて俺から遠ざかって行った
なんか…………………………………展開早いな。
なぜか、けっこう長くなってしまった9話目です。
感想お待ちしています。感想をくれた皆さん本当にありがとうございました。