兄貴は異世界のリア充だった
前回のあらすじ クロノスは残念な神
青鳥の幸羽?爆鬼?よく分からないけど………
中二心が疼く!なんなんだそのかっこいい響きっ!
「はっ?エニシお前、俺のこと、し、知らないの?」
「はい、全く」
グハッ
変な奇声を発しながら兄貴が胸を押さえている………
何かおかしいことを言ったのだろうか?
「え、縁、お前には常識という物がないのか?
一体逆に何を知っているんだ………」
は!しまった…兄貴が言っていたのはこの世界では
常識だったのか。まずいな不審がられる前に何か言わないと…
「僕の村は、超ド田舎でしたけどこの世界の名前ぐらいは
分かりますよ。ラスネリアですよね、兄貴。」
「………………………………………もう、お前には何も言わない」
なぜだ!何もおかしなことは………はっ、兄貴のあの目知ってるぞ!
確か自宅警備員の息子をもつ親が息子に少しは外に出たら?と言って
うるせぇクソババア!って息子が逆ギレしたときの母親の目だ!
というかセリフもクリソツじゃねぇか!
「え、えっと、なんか兄貴すいません………」
「大丈夫もうお前には期待してないから………」
「ちょっ、兄貴、待ってくださいよ。」
そう言って、俺は虚ろな目をした兄貴を追いかけて
街へ向かって歩いて行った………
ーーーーーーーー
俺たちはそのまま10分以上歩いていたところで
やっと兄貴が喋った。もとい正気に戻った。
「ふぅ、やっと精神的ダメージから抜け出した」
「こっちもやっと兄貴が元に戻ったんで安心しましたよ。」
「いや、100%お前のせいだからな。大体ラスネリアじゃなくて
ラスメリアな。あと、ギルドに登録しに来たのにギルドの名前も
俺のことも知らないっておかしいだろっ!!!」
兄貴がまた叫び出した。兄貴は突発的に叫びたくなる病気なのか?
「あ、兄貴落ち着いてください。そんなに兄貴はすごい人なんですか?」
「まぁ、自分で言うのもなんだが、俺は青鳥の幸羽の正規メンバーだしな」
「それ、すごいんですか?ギルドに登録するのは誰でもできるのでは?」
「違う違う。ただ登録したやつじゃどこのギルドでだってクエスト
受けれるし、自分の所属ギルドを名乗れないからな。」
「正規メンバーは、ギルド長からうちのギルドへ正式に入ってくれという
直々の勧誘を受けるし、何より恩恵が違う。」
「恩恵?」
「そう、他のギルドでクエストを受けれない代わりに報酬もアップ。
自分のギルドっていうデカイ後ろ盾もある。そのうえ、知名度も上がる。」
つまり要約するとただ登録した人はアルバイト。どこでも仕事の現場を変えれる
メリットはあるが賃金も安く後ろ盾がない。
正規メンバーは仕事場所を固定される代わりに賃金が高くが困ったらバックがいる
ってことか。
「兄貴、すごいですね!」
さながら異世界のリア充のようだ。
「そ、そうか。まぁエニシに常識がないことぐらい
どうでもいいか。 はっはっはっははっは」
そう言って俺の背中をバシバシ叩いてくる。痛いですよ!と
文句を言おうとしたが、ちょうど森を抜けた兄貴と俺の前には………
「お、やっと見えたか。あれが100kmの旅の終着点で
多分お前の目的地 ーーーーーーーウォーレンだ。」
兄貴の言葉は俺の耳には入らなかった。
初めて異世界でみた街、ウォーレンは俺を
あの巨大イノシシや魔法をみても実感を持たなかった俺に
やっと異世界に来たんだと思わせる街だった。
ね、眠い。明日は学校なのにもう深夜3時………
学校で俺はボロ雑巾のように眠るのは決定事項だな、うん。