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第一話 ここではスライムは出てきません、悪しからず。

始めまして……。

誤字脱字があるかもしれません。ごめんなさい。

そんなに、うまくはありませんが、がんばって行きます。


 

 嵩白結城、当時の年齢15歳、青春時代真っ只中の高校二年生。

 忘れもしない4月の5日、新学期、始業式の日、午前8時、登校時。

 コンクリートに囲まれた世界は一転。

 緑に囲まれた世界へ。

 そう、嵩白結城、16歳の少年は地球と呼ばれ少年が住む、科学が支配する世界から名もない星。そして、物理を超越した魔法が世界の軸として存在する異世界へ。

 



 今日、この日この世界で新しい魔法が完成する日に、俺は昔のことを振り返ろうかと思う。

今、生きることが楽しかった少年時代。

 学校に行き、ダラダラと授業を受け、帰りにはゲーセンに寄る。

 休日には、友達と遊んだり、たまには家でゴロゴロして、親から勉強しろと言われる。

 そんな日常が懐かしい。

 そう、懐かしい日常は一変した。

 変わらない登校風景。

 電車通学の俺は駅で会わなかった友達を横目で探しながらテクテクとコンクリートの上を歩いていた。

 前触れなど無かった。

 瞬きをしている間。

 一瞬。

 一瞬で世界は変わった。

 1年間通い、あと2年は通うはずの見慣れたコンクリートの世界は、何処にもない。

 見渡せば、土に名前の分からない草だけだ。

 我に返った時、初めに思ったのが、これは漫画にある異世界渡航なのではないか?

 こんな目に合う自分は主人公なのではないか?

 ならば、何かしらの能力なんかが使えるのではないか?

 もしかしたら、自分はこの世界で英雄になれるのでは?

 そう、思った。

 しかし、現実は甘くない。

 15歳、あと数か月すれば、16歳という、まだ大人とも言えない少年にリアルは非情だ。

 草原から大きな街に着いたのは三日後。

その間、人に出会うことは無かった。

 食事は昼食に買ったサンドイッチとチョコスティックパンと500ml容器の水筒のみ。

 それに、来た道には街に近づくまで、舗装された道は無く、大自然のど真ん中を歩いてよく、何事もなく街に着けたのは奇跡だろう。

加えて、初めての野宿。

 なんの、装備もないままただ土の地面に寝るだけ。

 しかも、着の身着のまま。制服のままである。

夜になると世界はさらに凶悪になる。

何処からともなく動物の低い声や、甲高い声が聞こえ、安心して寝る時間など無かった。

それに、現代社会の都会のように、街灯のように闇を照らし、人々に安心を与えるようなものは無く、ただ闇が世界を包んでいた。

星の光は雲に遮られていた。

街の近くになると人に会うようになってきた。

服装は洋服。女性はゆったりとしたワンピースの人や数は少ないがズボンにシャツの人もいた。男性はズボンにシャツだが、時々半裸の人も見かけた……全員ムッキムッキだった。

服装も見てもそうだが、馬車なんかに乗っているとこを見ると中世なんじゃないかと思った。

そして、一番の現実の苦しさが人と会ったことにより起きる。

それは、コミュニケーションができない事。

言語が通じないことだ。

何を言っているのか分からない。

絶望した。

英語の授業も意欲的に取り組んだ覚えもないし、なんで日本人が英語やらなきゃいけないんだ、という気持ちだったので英語も全然分からないが、ここで話されている言葉は英語とも違うようだった。

街に入る為の検問に並ぶ俺の前の男たちが果物を指さして話していたがフルーツなんて言葉はでなかった。

検問に着くまでの間はただひたすら話を聞いた。

英語と文法が一緒なら最初に主語が来るはず、と考えて出だしの言葉を聞いていると、これが正解。文の初めは特定の言葉が来ていた。

この時、紙にメモしたかったが、これまでの衝撃的な出来事のせいで周りに警戒をもっていた。

なぜなら、ここは異世界で、自分の世界の常識が通じない場所。

自分だけが異質な存在だということ。

服装を見ると一発でわかる。向こうは綿や麻のどなのに対しこちらは制服で石油製品。素材が根本的に違うし、野宿で少し汚れているとは、周りにいる人たちとの差がひどい。

こんななか、昔は貴重だったと記憶する紙に、筆を越えた鉛筆やらシャーペンなんかを出したら命を狙われると思ったからだ。

だから、街に入れたら最初に服を売ってしまおうと考えていたのだが……。

検問の順番が来てなんとか身振り、素振りで怪しいものではないと伝えたが、最後に検問の20歳過ぎの男性は手をこちらに出し、催促をするかのように軽く手を前後に降る。

首をかしげていると銀色のコインを見せてきた。

要は、通行料を払わないと入れないようだ。

もちろん、違う世界に来たばかりの俺にはここの通貨がある訳もなく、即追い返されてしまった。

仕方なく、その場を離れ、乞食のごとく(実際は飯も職もないから乞食と言っていいかも)検問から少し離れた場所で検問まで続く行列を見ながらこの先どうしていくかを考えていた。

絶望に苛まれ、生きる希望が全然見えないなか、なにも信仰していない俺は、初めて神に祈りたいと思ったが、何に祈ればいいのか全く分からなかったので、とりあえず、八百万の神に祈っとけばいいか、全部の神様に祈れるわけだし、みたいな軽いノリでだけど、心から祈った。

そもそも、異世界で日本の神様の観念が通じるのかは今思えば、疑問だが、それでも、その時、祈りは届いた。

気付くと夕方で、地球と同じく一つの三日月が東の空に薄ら見える。

少しの間、寝てしまっていたようだ。

周りを見るとまだ、検問の列は続いており、予想以上に活気のある街のようだ。

とりあえず、まともに食べていない腹は音を立て、飯をせがむ。

しょうがないので、話せもしない言葉を聞きながらも、列に並ぶ人たちに食料を分けてもらおうと立ち上がった時、目の前に30代前半の周りの人たちから比べると身なりのいい男が立ってこちらを見ていた。

髪の毛は金髪をオールバックにして固めている。

この時の俺の身長は約165㎝。それよりも上でたぶん、175㎝。ビッシっとしたスーツが似合いそうな引き締まった体型だ。

西洋風の彫の深い顔だ。なかでも、二つの蒼い小さな眼は、鋭くこちらを射抜き、品定めしているようだ。

1分か2分過ぎたころ口元にあてていた手をおろし、何か話しかけてくるが何を言っているのか分からない。

なので、わかりません、と言いながら首を振る。

そうすると、小さな声で何か喋ると、もう一度、男は口元に手をあて考えているようだ。どうやら、考える時のくせらしい。

待つこと、3分。男は右手をこちらに出し、また分からない言葉で話しかけてくる。

その眼は、こちらを真剣に見ている。

そして、分からない言葉は、なぜか、優しく聞こえた。

知らない人について行ってはだめ。

そんな言葉が頭に浮かんだが、自分のまだ、浅い人生で培った勘はこの人を信じてもいいと言っている気がした。

しばらく考えていると、男はもう一度、ゆっくりっと、言葉を話した。

その言葉の音には人を慈しむようだった。

気が付くと、男の手を取っている手があった。

手を追っていくと、自分の腕だった。

自分の腕から男の顔を見ると、最初にこちらを穿った鋭い眼光は何処か彼方に行ってしまったように、今そこにある双眸は、自分の家族を見る様に暖かい眼差しだった。

男は、空いている方の手で、自分を指し、アーロっといった。

いまいち、ピンとこなかった俺は首を傾げそのしぐさをみて、男はもう一度、自身を指しアーロっといった。

そこで、やっと、この男の名前がアーロだとわかった。

アーロと試に呼ぶと、笑顔で返事らしきものをした。

そして、俺は、アーロに手を引かれ、昼間は通れなかった検問を抜け街に入った。

15歳にもなって大人に手を引かれる感覚はものすごく恥ずかしかった。

さて、街に入ってからのことを簡潔に話そう。

俺を引き取った男はアーロ・アンデルというデカい商会の会長だった。

なぜ、俺を引き取ったのか大体の言葉が聞き取れ、話せるようになった時に聞いてみると(1年かかった)、「服が今までに見たこともない美しい出来で貴族以上か大きな商会の出身で、それなりに高い教養があると考え、跡継ぎ息子のいい補佐になると思ったから」だそうだ。

そして、跡継ぎ息子のエルノ・アンデル当時10歳と他に9歳の長女イーナと7歳の次男ハリーとで遊んだり、言葉を教えてもらったり、言葉が分かってくると一緒に商売の勉強もした。

そんな生活が、4年続きエルノ14歳、俺は19歳になった時、俺は魔法に出会う。

最初の一年で魔法の存在は知っていたが、科学が支配する地球の住人が、魔法の支配する世界の理に触れることはできないと思っていたし、魔導書も字が分からないし、触れる機会もなかった、付け加えて、自分の周りの人も魔法を使っている姿を見たことがなかった。

だから、使える人間とそうでない人間とで別れていると考え、さっきも言った、地球の人間である自分が魔法を使えるはとは思っていなかった。

しかし、この世界、へ―リオスに来て初めて魔導書を手に入れた日。

自分が考えていた世界は変わった。

フィクションの世界では魔法にもいろいろあるがへ―リオスでの魔法は、誰でも使える、のである。

空気中にある魔と呼ばれる魔法の源を物質やエネルギーに変える変換装置、魔法陣を描き、その周りに、魔を使い起こしたい現象などになるような表現の文を書いて、血という生贄を捧げることで魔法は簡単に発動する。

血を捧げるといったが、何も人間一人分の血液を使う訳ではない。一滴で十分なのだ。

要は、この血の役目はエンターキーと一緒で、この魔法を“実行する”という意味なので、血の量は関係ない。

血を多く魔法陣に捧げても結果はスズメの涙ほどの違いしかない。

ならどうやって、魔法の結果を上げるか。

それは、周りの文の表現にかかっているのだ。

本来魔法ではできないが、リンゴを作り出すとしよう。

これを、赤いリンゴと表現するのと。

真っ赤で、艶がある、おいしそうなリンゴと表現するのでは完成品の出来が違う。

こんな簡単に魔法が使えるのに魔法が普及しない理由は識字率の低さである。

根本的に庶民は字が読めないし、書けない。

後で、分かった事だ、貴族は普通に魔法が使えるそうだ。

魔法陣はいままでの先人たちが長い間、研究して効率化したものなので、魔法陣と文字さえかければ魔法が使えるのだから、貴族たちは使えて当然と言えば当然と言える。

そして、自分でも魔法が使えると分かった俺は、魔法の研究に没頭した。

昼間は次期当主エルノ達と商会の手伝いや商いの勉強をして、夕方になると、エルノは次期当主としての交渉術や立ち振る舞いなどの勉強をしている。

その間、いつもはイーナとハリーの世話をしていた俺だが、魔導書……魔法に導く書物を手に入れた俺は魔法の研究にのめり込んだ。

二人は、俺が構ってやらなくなって寂しがっていた……。

紙が貴重なヘ―リオスだが、時期当主補佐というそれほど力がある訳でもない肩書の俺だが、字の勉強とか言えば、紙は案外入るってくる。まぁ、羊皮紙だが……。

こうして、魔法の使い方を覚えていった。

そして、2年が経った。エルノ16歳。俺21歳。

商会は俺が入ったころよりも大きくなって、王都に移転した。

へ―リオスに来て趣味といえるものがなかった俺は魔法を使ったり、魔法をもっとうまく使うにはどうしたらいいのか、なんていうのを考えるのが楽しくて、しょうがなかった。

だから、魔法を使った、または取り扱った仕事につきたかった。

そこで、目についたのが国の機関、魔法研究所。

魔法のさらなる可能性を探す研究機関だ。

でも、アーロさんにはへ―リオスに来て、今まで育ててくれたことを感謝しても、しきれない恩があって、アーロさんの当初の目的通り、次期当主一緒に商会を切り盛りしていきたいとも思うが、どうしても、魔法のことを一日中考えてしまって、商会の仕事に集中できない。

断腸の思いでアーロさんに魔法研究所で働かせてくださいと頼んだ。土下座して。

思いのほか、あっさりとアーロさんは許可してくれた。

だけど、6年前に検問前で見た顔は40代にせまり、老いが出始めていた。

だからだろうか、俺をいつも真摯にまっすぐ見ていた瞳はあの頃と違い、弱弱しく見えた。

俺は次期当主補佐の役目を放棄し、面接を受け、採用してもらい、魔法研究所に出入りしていた。

エルノ達は俺を引き留めたが、その言葉は俺の心に響かなかった。

週末には絶対帰ると、約束し、俺は家族として言える人たちがいる場所から研究所に隣接する寮に移った。

週末の一日だけは家族のいる場所に戻り、それ以外の日は朝から晩まで研究所に籠りっぱなしだった。

魔法を知るのが楽しくて、楽しくて、もっと知りたいもっと知りたい、と欲望の赴くまま研究に明け暮れた。

いままで育ててくれた感謝の気持ちとして毎月給料の4分の3をアーロさんに渡した。

でも、アーロさんは受け取ってはくれなかった。

だから、エルノにそっと、「なにか困った時、資金がいる時に使え」といって渡した、最初は受け取るのを渋っていたので、無理やり渡した。

そんな日々を過ごし、2年が経った今日。

魔法で、作り出した魔物。

最強のゴブリン軍団が完成する!





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