表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

魔王城での一大事

プロローグの続きのような感じです。まだ主人公は出てきません……orz

『拝啓 父上こと第35代魔王グラム・レオ・ヴァルヌス様へ


私は昔から父上に憧れていました。

地震や竜巻を起こして人間達を震えあがらせたり、勇者達を死闘の末打ち破ったり、母上にバレずに夕食をつまみ食いしたり………最後のは違うか………


とにかく私ことグレア・ルル・ヴァルヌスは、父上を超えるため、あえて父上の敵である勇者になります。首を洗って待っていて下さい。


追伸 俺が立派な勇者になるまで人間達に負けんなよ!』



「魔王様!大変です!」

広い魔王城の玉座の間に、一人の魔物が駆け込んで来た。よほど急いで来たらしく、ガーゴイルという生きた石像である彼の体には、大量の汗が流れていた。


…………石像なのに……………


「…何だ騒がしい、何事だ」

玉座の間の奥、骸骨がいこつと魔石で装飾された邪悪なイスに座っていた何者かが、不機嫌そうに聞いた。

彼の名はグラム・レオ・ヴァルヌス。

この世界エヴァーグラスに住む人々は、彼の事を魔王と呼ぶ。


魔王ことグラムは、漆黒のマント(イオナ〇ンすら跳ね返す!)と漆黒の鎧(ドラゴンが踏んでも壊れない!)で身を包み、その邪悪な瞳からは常に殺気が出ていた。頭には大きな角が生えている。


「グ、グレア様がこの様な置き手紙を残して、城から脱走しました!」


よく見るとガーゴイルは紙切れを持っていた。


魔王の殺気にビビっているのか、ガーゴイルはびくびくしながら魔王に置き手紙を渡した。

しかし、彼は魔王の殺気に怯えていた訳ではなかった。


彼が恐れていたのは…………



「グレアーっ!パパは悲しいぞーっ!帰ってこーい!」



親バカな魔王が………



「パパ寂しくて泣いちゃうぞーっ!」



息子が家出したショックで………



「………うつだ………死のう…………」『おやめ下さい魔王様ーっ!』



自暴自棄になることだった………


魔王が(ショックのあまりアヒル座りしている)が今まさに自殺しようと魔剣を抜くと、周囲の物陰から一斉に魔物達が飛び出してきた。


魔剣で自分ののどを貫こうとする魔王を必死に組み伏せる。

彼らはガーゴイルが前もって魔王がこうなった時の為に、物陰でスタンバイしとくよう頼んでおいてあったのだ。


「離せーっ!ワシは死ぬんじゃーっ!もう生きるのが嫌になったんじゃーっ!」

『ワシって、魔王様はまだ150歳じゃないですか!まだまだ人生これからですよ!』



当然魔王は人間とは違い、寿命も長い。150歳とは大体人間の30代にあたる歳である。



「息子がいなくなったら、ワシの生きる意味などないんじゃーっ!よってワシは死ぬんじゃーっ!離せーっ!」

『魔王様!グレア様は我々が必ず連れて帰ります!』

『しっかりして下さい!』

『ささっ魔王様はもうお休み下さい!後は我々にお任せを!』



魔物達の必死の説得もあって、魔王ことグラムは

「……わかった……ワシはもう寝る……グスン……』

泣きながら寝室へ向かって行った。



ネガティブ魔王がいなくなって、ふーっと胸をなでおろす魔物達。


「全く、魔王様の親バカも困ったもんだ」魔王を取り押さえていた魔物の一人が愚痴ぐちをこぼした。

「ああ、早くグレア様を連れ戻さないとな」



親バカな上ネガティブなグラムの事だ、早く連れ戻さないとまた自殺しようとするだろう。彼の子供はグレア一人なので、昔から魔王の息子への溺愛ぶりは凄まじかった。


「とにかく早くグレア様を見つけるのだ!」

魔物達はそう言うと魔王城から出ていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ