神野真はどこにでもいる普通の高校生
俺の名前は神野真、どこにでもいる普通の高校二年生だ。
夏のある日、朝から殺る気満々な日差しの強さに辟易としつつ、俺はいつものように登校していた。
大音量でBGMを奏でる蝉の鳴き声を聴いていると、気温が上がっているような錯覚を覚えるから不思儀だ。
蝉爆発しろ。
「おっ、真じゃねーか!」
「ん? …田浦か、おはよう」
校門を抜けたところで、去年同じクラスだった田浦が話しかけてきた。
相変わらず暑苦しい奴だ。
「神野もおはよう」
「おはよう神野」
田浦に挨拶を返した俺は、田浦と一緒に登校してきた生徒に声をかけた。
彼の名前は神野真、どこにでもいる普通の高校生だ。
二人とは別のクラスのため、階段を登ったところで二人と別れる。
教室に入る前に友達に借りてた本を返すため、隣の教室に入る。
本を返す相手の名前は神野真、どこにでもいる普通の高校生だ。
「おはよう真、これ面白かったぜ」
「あっそれ新刊出てたのかよ! 神野、俺にも借してくれ!」
俺が本を返そうとすると、真の隣の席の浅月に掠め取られた。
「浅月か、ちゃんと返せよ。…そうだ真、この前買った本どうだった? 面白かったんなら俺も読みたいんだが」
真は浅月に一言告げると、俺が以前買った本の感想を聞いてくる。
「面白かったぜ、でも今は四組の神野に貸してるから、真に貸すのは戻ってきてからな」
「分かった、早めに頼むぜ」
ちなみに俺が今本を貸してる相手の名前は神野真、どこにでもいる普通の高校生だ。
「響先輩! お疲れ様です!」
放課後、憧れの響先輩を見つけた俺は、彼女に声をかけた。
響先輩はこの高校で一・二を争う美人で、生徒会長でもある。
ちなみに副会長は神野真先輩、どこにでもいる普通の高校生だ。
「あら神野君、こんにちは。そうそう、弟があなたに用事があるって言って探してたわよ」
響先輩の弟の名前は神野真、どこにでもいる普通の高校生だ。
ちなみに俺の妹の凛と同じクラスだ。
「用事? なんでしょう……って、魔法陣!?」
響先輩の弟の用事について俺が思考していると、俺の足元に突然魔法陣のような物が浮かび上がった。
「待っ――」
次の瞬間、俺の視界は真っ白に染まった――。
「――勇者様、どうかこの国をお救いください」
……どうやら俺は勇者として召喚されたらしい。
魔王も被召喚者? …あっ(察し