第十二話 魔法
説明回その2
ブオォォォォオ――――。
突然、昨日のようにどこからか角笛の音が聞こえてきた。
「あれ?昨日と音が違うな」
昨日の音と比べると、響くような音なのは変わらないけど、重たい感じのする音だ。
「双海、忘れたの?昨日、ファイリスが報せる時間で音が違うって言ってた」
「ああ、そういえばそうだったな」
なんだかんだ色々あったせいで、記憶の片隅に追いやられてたよ。
確か、朝と昼、それに夕方と夜に時間を報せる音が鳴るんだったよな?
「えっと、昨日聞いた音が夕方の音だから」
まさか今の音が朝や夜だって報せる音なわけはないし、そうなると。
「今のは昼の音ってことか」
そして、今の時間が昼頃だとわかった途端、ほんのちょっと前までは感じていなかった空腹感が襲いかかってきた。
考えてみたら、朝ご飯を食べてないのに、森まで行ったり走ったりウォルフの攻撃をかわすのに激しく動いたりなんてしてるからな。お腹が空いて当然か。
だからといって、今まで気付いてなかったのに昼なのがわかった瞬間それに気付くっていうのも我ながらどうかと思わなくもないが。
「もう昼頃みたいだけど、少し、お腹空かないか?」
「……言われてみれば、少しだけ」
天枷はお腹空いてないのかと気になり聞くと、天枷もそう言って同意した。
「よし、それじゃあ、スライブのとこに行って何か作ってもらってくるよ。今は置いてきてるからないけど、シェラさんの家に戻れば昨日貰ったお金があるし昼ご飯くらい食べても大丈夫だろ」
そう言いながらも、結局まだ袋の中を確認してなくて、どのくらいお金が入っているのかわからないからちょっと不安なところもあるんだけどな。
……というか、俺も天枷もこの世界のお金のことはわからないから、多分見てもいくらあるのかわからないような気がする。
けどまあ、昼ご飯を食べられる分くらいのお金はあるだろう、きっと。
「待って、私も行く」
立ち上がって椅子を元あった場所に戻し部屋から出ようと歩き出そうとした瞬間、天枷が俺の事を止め、上に乗った布団をそっと退けるとベッドから降りて立ち上がった。
「天枷、立っても大丈夫なのか?まだ横になってたほうがいいと思うんだけど」
「平気。双海は少し心配し過ぎだと思う」
「うっ、それは否定出来ないかも」
前に、妹にも同じようなことを言われたことがあるからなぁ。確か、妹が風邪をひいて高熱を出した時だったかな。
あの時のことも合わせて考えると、やっぱり少し心配し過ぎなのかもしれない。
「それじゃあ、まあ、一階に行くか」
「わかった」
天枷が頷いたのを見てから、俺は天枷と一緒に部屋を出て階段を下り一階の食堂に向かう。
それから、スライブを探して食堂内をぐるっと見回すが、いるのはカウンター席に座っているシェラさんだけで食堂にはスライブはいないようだった。
「……あら?」
とりあえず、シェラさんにスライブがどこにいるのか聞いてみようと話しかけるのに近付いていくと、途中で足音か何かで俺達のことに気が付いたらしくシェラさんがこっちを向いた。
「トウカ、目が覚めたのね。目が覚めるまでもう少しかかると思ってたんだけど、意外とすぐに目が覚めてよかったわ。今こうして起き上がってるってことは、特に体に異常はないってことね?」
「そう。大丈夫」
「はぁ、ならよかったわ」
息を吐き、安心したようにシェラさんがそう言う。
「……ユーリス、双海から話しは聞いた。私は気を失っていたからその時のことは実際に見てはいないけど、助けに来てくれてありがとう。ユーリスのおかげで、私と双海は助かった」
そんな、天枷の言葉を聞いて安心している様子のシェラさんを天枷は真剣そうな表情で見ると、森で助けに来てくれたことのお礼を言った。
それに対して、シェラさんは少し困ったような笑みを浮かべる。
「村に帰ってくる途中でユウリにも言われたけど、そんな改まってお礼を言わなくてもいいのに。本当は村の人で何とかしないといけないことをやってもらったんだから、お礼を言わないといけないのはむしろこっちのほうよ。トウカ、子供達を探しに行ってくれてありがとう」
「……別に、お礼を言われるようなことじゃない」
そう言って、天枷はほんの僅かにだけシェラさんの方から視線をそらす。
表情が変わってないからよくわからないけど、もしかして少し照れてる……のかな?なんとなくそんな気がする。
「それより、クレイは今どこにいるの?」
そして、やっぱり照れているからなのか、すぐに視線をシェラさんの方に戻すと今の挙動を誤魔化すように話しを変え、天枷はシェラさんにそう尋ねた。
「うん?スライブのヤツならそこの調理場にいるけど、どうかしたの?」
天枷の問いかけに答えカウンターの奥にあるドアを指差してから、シェラさんが首を傾げる。
ああ、朝にケイナを連れてきた時にスライブが出てきたのって調理場だったのか。
なるほど、それで、スライブはああいう格好をしてたんだな。
「ああ、うん。大したことじゃないんだけど、実は少しお腹が空いちゃってさ。スライブに昼ご飯を作ってもらおうと思って」
「あら、二人共、なかなかタイミングがいいわね。丁度今、スライブが二人のお昼ご飯を作ってるところよ」
「えっ?俺達の昼ご飯を作ってるって、まだ頼んだわけでもないのになんで?」
「子供達を森から連れ戻してくれたから、そのお礼にごちそうするって言ってたわよ」
「お礼って、そんなの別にいいのに」
とはいえ、お礼っていっても昼ご飯をごちそうしてくれるだけだし、せっかくの好意なんだから遠慮することもないか。
お腹が空いてるっていうのもあるしな。
「まあ、そういうことなら、昼ご飯が出来るまでここで待ってるか」
「賛成」
そういうわけで、ここで待つことに決め俺と天枷が近くのテーブル席に座ると、カウンター席に座っていたシェラさんが立ち上がり近付いてきて俺達と同じテーブル席に座った。
「待ってる間、二人に……特にトウカに話があるんだけど、いいかしら?」
天枷に話?一体何の話だろうか。
「えっと、俺は別にいいんだけど、天枷はどうだ?」
いくら動き回ってるといっても、気絶した状態から目が覚めたばかりだし長時間話しをしても大丈夫なのかと多少心配に思って聞いてみるが。
「私もかまわない」
俺が思っている以上に大丈夫みたいで、天枷はそう答えた。
「そう、それじゃあ、話しをさせてもらうわね。森から村に戻ってくる道すがらにユウリから森で起こったことを聞いたんだけど、ウォルフに襲われてる最中、氷の壁が出てきたでしょ?その時、トウカの体に、何というか異変が起こらなかった?例えば、体の力がなくなるとか」
「……あった……けど、何故わかったの?」
確かに、氷の壁が現れた直後、体の力が急激に抜けていったって天枷は言っていた。けど、どうしてシェラさんがそのことを……。
いやでも、考えてみたら、シェラさんはあの氷の壁について何か知っているみたいだった。なら、不思議なことでもないのか。
「ユウリから聞いた時もしかしてと思ったけど、やっぱりそうみたいね。実は、あの氷の壁のことについて心当たりがあるのよ」
「本当?」
「ええ」
「……もしかして、その心当たりって、天枷に話しを聞けばわかるって言ってたやつのことか?」
「その通りよ。あの時はまだ定かじゃなかったんだけど、今ので確証を得たわ」
そう言った後、そのままシェラさんは言葉を続け。
「あの氷の壁。あれは、魔法で作りだされたものよ」
そんな、驚くべきことを口にした。
「そして」
しかし、シェラさんの言葉はそこで終わりではなく。そう言葉を続けると天枷の方に視線を向け、さらに驚くことを告げた。
「その、魔法で氷の壁を作り出したのはトウカ、あなたなの」
なっ、あの氷の壁が魔法で作られたもので、それを作り出したのが天枷だって!?
俺はシェラさんの言葉に驚いて、思わず天枷を見る。
「え……。私が、魔法で……?」
驚き、呆然とした様子で天枷が言葉を漏らす。
今まで僅かにしか変わることのなかった表情が大きく変わっているところを見ると、そうとう驚いているんじゃないかと思う。とはいえ、それでも普通の人の表情の変化と比べれば乏しいほうなんだけど。
言われた本人じゃない俺でさえ結構驚いてるんだから、その本人がここまで驚くのも当然だろう。
「けど、シェラさんの言う通り魔法で氷の壁を作ったのが天枷だとして、どうして魔法を使った本人の天枷に体の力がなくなって、挙句には気を失うなんて影響が出たんだ?それに、天枷が自分で魔法を使ったことに気が付いてないのはどうしてだ?」
普通なら、魔法を一回使っただけで気を失うなんてことにはいくらなんでもならないはずだ。まさか、この世界での魔法はそういうものだというわけでもないだろうしな。
「そうね。どっちにも理由がある……というか、体の力がなくなっていったこと以外はどっちも同じ理由なんだけど、とりあえずそのことを話す前に質問。二人は、魔法は魔力というものを消費して使うということを知っているかしら?」
「えっと、まあ一応は」
ゲームやらなにやらの創作物での知識でこの世界で知ったことではないけど、それでもまったく知らないというわけではないので少し曖昧な感じで俺は答える。
「私は知らない」
それに対して、天枷はそういう方面についての知識はあまりないらしく、首を横に振りそう答えた。
「そう、トウカは知らないのね。それなら、まず、魔力について説明するけど、この魔力っていうものは、すっごい簡単に言えば普通の人間でいう体力みたいなもので、体を動かすと体力を使うのと同じ様に、魔法を使うと魔力を消費するの。ただ、結構体力とは違うところもあるんだけど、それは今関係ないから置いておくわ。それで、魔力を消費していくと、体力を使うのと一緒で少しずつ疲れていくのよ。ただし、体力とは違って疲れていくのは精神的に、なんだけど」
「……なるほど。それじゃあ、魔法を使うことで体の力がなくなるってこと自体はそこまでおかしいことじゃないのか」
「けど、それは私が気を失う理由にはあまりなっていない気がする」
「ええ、確かにそうよ」
ということは、さっき俺が思った通りってことか。やっぱり、そうだよな。
「なら、天枷が気を失ったのは魔法を使ったからじゃないのか?」
「いえ、トウカが気を失ったのは確かに魔法を使ったのが原因よ。けど、普通に魔法を使うことで気を失うなんてことはほぼありえない。つまり」
「普通じゃない、魔法の使い方をした……?」
「うん。正解よ、ユウリ」
俺の言葉を肯定し、シェラさんが頷く。
けど、普通じゃない魔法の使い方って何なんだ?……そもそも、天枷は魔法の使い方を知らないはずなのに、普通じゃない魔法の使い方で魔法なんて使えるのか?
そんな、俺の疑問に答えるようにシェラさんが話しを続ける。
「普通とは違う魔法の使い方っていうのは確かいくつかあるんだけど、その中の一つに魔力の暴走っていうものがあるの」
「魔力の……暴走?」
「そう。魔力の暴走っていうのは、言葉通り自分で魔力が制御出来なくなる状態のことで、この状態になると自分の意思とは関係なく無差別に魔法が発動したり、暴走している本人の限界を超えた魔法を使ってしまったりして、周囲の人も暴走している本人も危険な状態なのよ。……そして、確かめようがないから恐らくとしか言えないけど、氷の壁を魔法で作り出した時、トウカは魔力の暴走状態になっていたはずよ」
「えっ、天枷が?そんなまさか、だってあの時の天枷は、別に魔力が暴走しているようには見えなかったぞ?」
魔力の暴走っていうのがシェラさんの言っている通りのものなら、無差別に魔法が発動するって言っているぐらいだし見ただけで危険なのがわかるはずだ。けど、氷の壁が現れた時の天枷とその周りの様子は、ウォルフがいたことを除けば特に危険そうじゃなかった。
俺の考えが間違っているのか?
「それは、氷の壁を作るのと、ウォルフを凍りつかせるのに魔力を一気に使ってしまったからだと思うわ」
「どういうこと?」
「えっと、私は魔法が使えないから人から聞いた話になるんだけど、さっき魔力を消費していくと精神的に疲れていくって言ったわよね?それじゃあ、そのまま魔力を消費し過ぎたらどうなると思う?」
「えっ」
魔力を消費し過ぎたらどうなるか……だって?
うーん、精神的に疲れていくんだよな?だとすると……。
「……頭痛が起こる、とか?」
「半分正解ね。魔力を消費し過ぎると、今ユウリが言ったように頭痛がしたり、人によっては眩暈がしたりするらしいの。で、そこからさらに魔力を消費すると、最終的に魔力不足で気を失うらしいわ。ただ、普通ならそこまで魔力を消費することは出来ないから気を失うなんてことが起こることはないみたいだけど」
気を失う……、それってまさか。
「もしかして、私が気を失ったのはそれが原因?」
俺が天枷の気絶した理由に見当がついた瞬間、それよりも早くに見当がついていたらしく天枷がシェラさんにそう聞いた。
「その通りよ。見たところユウリも気が付いてるみたいだけど一応説明すると、魔力の暴走状態になったトウカは、氷の壁を作り出すのとウォルフを凍りつかせるのに一気に魔力を使って、そのせいで、魔力不足になってしまって気を失った。ってことになるわね」
「やっぱり」
どうやら、俺と天枷の考えは当たっていたらしい。
まあ、ここまで色々と説明されればわかって当然なのかもしれないが。
「トウカが自分で魔法を使ったことに気付いてなかったのもそのせいね。魔力が暴走して無意識の中に魔法を使った上に、すぐに気を失っちゃったから気付かなかったのよ」
「ああ、なるほどな」
しかし、これで森でのことが色々と納得がいったな。
あの氷の壁やウォルフが突然凍りついたことも魔法っていうことなら納得がいくし、その後になぜか天枷が気絶したこともそういう理由なら納得だ。
天枷が魔法を使ったことについてはまだ信じ切れてないところもあるけど、あの氷の壁以外に魔法を見たことがあるわけじゃないし、そこは仕方ないと思う。
……それにしても、魔法か。本当にこの世界には魔法っていうものが存在してるんだな。実際に氷の壁を見て、そして今の話しを聞いてそのことを実感した。
昨日の時点でそのことはわかってたけど、実際に見たわけではないからやっぱりその時は半信半疑だったんだと思う。実感したのが今なのがその証拠だ。
「……ユーリス。この先また、私が魔力の暴走を起こすことはあるの?」
どこか不安そうな声音で、天枷がシェラさんに問い掛ける。
多分、魔力の暴走がどんなものなのか聞いて不安になったんだと思う。そうじゃなくても、俺や天枷にとってみれば魔法っていうのは得体のしれないものだからな。不安に思うのも無理はない。
「ない……って言ってあげたいところなんだけど、ごめん、私には何とも言えないわ。さっきも言った通り私は魔法を使えないから、魔法に関しては基本中の基本程度のことと知り合いから聞いた話に関係してることくらいしかわからないのよ。だから、魔力の暴走についても今話したこと以外は知らないの」
「……そう」
「ただ、魔力の暴走が起こったっていう話は今までほとんど聞いたことないし、そう何度も起こるようなことじゃないと思うわよ?」
「そう。少し、安心した」
最初のシェラさんの言葉を聞いて肩を落としかけていたが、その次の言葉を聞いて天枷は僅かに落としていた肩を戻すと安堵したようにそう言った。
「えっと、シェラさん。魔力の暴走について今のこと以外に知らないってことは、なんで魔力の暴走を起こしたのかもわからないってことか?」
「ええ、わるいけどわからないわ」
「うーん、やっぱりそうか」
原因がわかれば魔力の暴走が起こらないように何かしら対策できるかもしれないと思ったんだけど、わからないなら仕方ないか。
シェラさんも、予想でだけど何度も起こるようなことじゃないって言ってたし、大丈夫だと信じることにしよう。
「ところで、話は変わるんだけど、ユウリはどうして川の近くでウォルフが現れた時に隠れてたのにそこから逃げ出したのかしら?その辺りはあんまり詳しく聞いてなかったわよね?遠吠えをしたのを見て逃げ出したっていうのは聞いたけど」
あの時、俺達がまだウォルフに見つかっていなかったのに逃げ出した理由が気になっていたらしく、シェラさんにそのことを聞かれる。
あれ?理由も話したつもりだったんだけどなぁ。どうやら話していなかったみたいだ。
「ああ、うん。大した理由ではないんだけど、その遠吠えを聞いた時に凄く嫌な予感がして、早くあそこから逃げないとマズイ気がしたんだよ」
「ふーん、嫌な予感がねぇ。けど、どうして嫌な予感なんてしたのかしらね?」
不思議そうな表情で首を傾げそういうシェラさんに、俺はわからないと首を横に振って返す。
自分でも、どうしてあの時嫌な予感がしたのかわからないから、わからないとしか答えようがないんだよなぁ。
「双海」
シェラさんにわからないと答えてすぐ、天枷が俺のことを呼ぶと俺がそれに返事をする間もなく口を開いた。
「その嫌な予感がした理由がわかったかもしれない」
「え、本当か?」
嫌な予感がした本人もわかってないのに理由がわかったらしいことに少し驚きながら聞くと天枷は頷いた。
「ウォルフじゃなくて狼の話しだけど、狼が仲間に何かを伝える手段の一つに遠吠えがあって、他にも、狩りを始める前とかにも狼は遠吠えをするのだけれど、双海は多分その辺りのことを本とかテレビ、もしくはそれ以外の何かで聞いたことがあって、それが記憶の片隅に残っていたからウォルフの遠吠えを聞いた時に嫌な予感がしたんだと思う」
「それは……確かにありえるかもしれない」
本のほうはともかくとして、テレビのほうはたまに妹と動物系の番組を見ることがあったから、その時に聞いていたとしてもおかしくはないな。
……しかし、どうしてだろうか。ありえるかもしれないと思っているのと同時に、それとは違う、何か別の理由のような気もしていた。
「ねえ、二人共。ユウリが嫌な予感がした理由は何となくわかったんだけど、そのオオカミっていうのは一体何なのかしら?」
「え?……ああ、そうか」
そういえば、こっちの世界の人に狼って言ってもわからないんだっけ。
「狼っていうのは、俺と天枷が住んでいたところに生息してるウォルフに似た生き物のことだよ」
まあ、住んでたところに生息してるっていっても、日本以外でのことだけどな。
「ウォルフに似た生き物……っていうことは、オオカミは魔物ではないってこと?」
「え?えっと、まあ、多分」
生き物という部分を強調しながらシェラさんにそう聞かれ、俺は少し考えてそれに曖昧な答えを返す。
魔物の定義……というか、魔物について詳しいことは何もわからないから、狼が魔物なのかって聞かれても何とも。
元の世界でのことなら確実に魔物とは呼ばないんだけど、この世界での定義だと狼も魔物に入るのかもしれないからな。
「多分って、なんだか曖昧ねぇ」
と、俺の曖昧な返答に対してシェラさんがそう返してきたところで、カウンターの奥からガチャっと扉の開く音が聞こえてきた。
ここまできてようやく魔法の説明がされました。自分で書いておいてなんですけど遅いですね。
しかし、魔法自体がポンポン出てくるようになるのはまだ先だったりする。




