表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「誰か」の理想郷  作者: ナキタカ
番外編
46/46

【番外編】休日~お化け屋敷(三組目・そして終了)~

【海部・塚本組】


「…け、結構雰囲気出てるね…」

「そ、そそ、そう…だな…」


二人で強くギュと手を繋ぎながら、海部と塚本は進んでいく

まだ何も始まっていないというのに、回りの風景と雰囲気に飲み込まれて既に声は震えていた


周りの血痕が見えるたびにヒッと声がのどの置くから出る

そして、ゆっくりとうめき声の場所までやってくる


″う…う…あ…うぅ…″


「声!?…海部さん…何も言って無い?」

「わ、私は一ノ瀬や宮内じゃなんだぞ?そんな嫌がらせ…するわけ…」

「そ、そうだよね…」


完全に二人に失礼な発言を零しながら、既に涙声で海部は塚本に答える

塚本は声のするほうをじっと見ながら進んでいく


恐怖からか、交わす言葉は少ない

それをどうにかしようと、塚本は海部に声をかける


「海部さん、大丈夫?」

「…帰りたい…けど、途中離脱は基本ダメなんだろ…もう、脱出するしか無いだろ…?」


相変わらず涙声のまま、海部は返す

普段、割としっかりしたように振舞っているだけに、この光景が少し意外だった

それが、ほんの少しだけ楽しかった

自分より怖がっている相手がいるということもあるのだろうか、少しだけ恐怖が薄れていた



柳の木の広場にたどり着く、海部はあたりを…天井まで警戒しながら少しずつ進んでいく

と、塚本の背筋に冷たい何かが通っていき、思わず声を上げる


「イヤっ…何か居る!?」

「な、なな、何なんだよ!?」


塚本がそういうのに振り返っているのに、海部もまた後ろに振り返る


「…何も…いないな…?」

「うん…何か通っただけだよね…?」


二人ではぁ、と安心して前を見ると…

血に濡れた白い服を着た女が…いつの前にか立っていた


「いやぁぁぁぁぁぁあああ」

「@%#$×※л●ΦΨ◎ΩΘ◇η△!?」


塚本は悲鳴を、海部は何を言っているのかもはやわからない声を上げる

立ち止まる塚本を海部は手を掴んだまま進行方向にひっぱって走る



二人でしばらく走り、止まって息を整える


「…海部…さん…」

「ご…ごめん…どうしても怖くなって…つい…」

「…いや…私も…怖くて…逆に立ち止まってた…から…よかった…よ…」


二人で少しずつ息を整えて、海部がふと前を見ると、鳴滝と宮内らしきものがちらっと見えた



「…つか…もと…宮内…いたぞ…」

「…じゃ…じゃあ…合流…する?…」

「…そのほうが…助かる…だろ?」


その提案に二人は域は整っては居ないものの、小走りで鳴滝と宮内に追いつこうとする

すると後ろの様子を伺っていた宮内の姿が見えて声をかける


「舞ちゃんいた!」

「宮内!」


二人は安心したのか声をかけるが、宮内は突然前のほうへ走っていく

海部たちは「えっ」と声を出して、先ほどまで宮内が居た場所で一度立ち止まる


「宮内~!!京く~ん!!……いない、さっきまでここに立ってたのに…置いていったのか薄情者!?」


海部が呼びかけるが、返事は無い

先ほどまで明らかに後ろを見ていたのだ、コチラの存在には気づいていたはずだ

あるとすれば、嫌がらせか、二人が突然消えたのか…


「…舞ちゃんたちじゃなかったのかな…もしかしてほんも…」


塚本が声を震わせながら、そういうのに海部はますます顔を青ざめさせて言う


「そ、そそそ、そんなわけないだろ馬鹿!?ここに本物居ないだろ…?」


そうは言うものの、返事も無い、見ていたのに置いていかれた…

その行動に、何者かが見せた幻である可能性は彼女達には否定できなかった


「……いや、あれだ、進めばわかる、そしたら本物かどうかわかる、そうだ、行こう」

「う、うん…」


そういって、改めて今から入る廃屋の見た目を確認するが

二人はそれを少し後悔した


所々赤く染まった壁、沢山に張られたお札

それだけでその場所の雰囲気に飲まれ、これから何が起きるのかという不安が押し寄せていた


「行こう?」

「…」


塚本が言うのに、海部はただ黙って手を繋ぐために手を差し出す

塚本はその手をとって、前へと進んでいく



廃屋の部屋の一つ一つに、何かしらの惨劇の後が見えて

塚本はうわ…と声を上げるが、海部はその光景は平気なようだ、足取りは先ほどよりも速かった


「…海部さん…平気なの?」

「これは…人がやったことだしね…」


と、ちらりと見えるなにかが刺さった体を見ながら冷静に言う


「それよりも、被害にあった後に他の奴に危害を加える神経が理解で出来ない

いや、死んでるから神経無いのか?いやそんなことどうでもいいなんで迷惑かけるんだくそ…」


そこだけ、おびえ時ながら早口で言うのに、塚本も少しだけ恐怖心がほぐれてのかハハと笑う




狭い通路が目の前に広がる

両隣は薄い障子で、いかにも何かが飛び出してくる雰囲気である

その光景に、二人の恐怖心は一気に蘇る


「…狭いね…」

「あれ、あれ、両隣から、手が…手…手ぇ…」


海部は、これから何が起こるか用意に想像できて、それに声を震わせる


「二人、大丈夫、二人だから」


海部に、そして自分に言い聞かせるように塚本が言うと、手をぎゅっと握り締めて

塚本は進みだす、海部も唾を飲んでそれについていく


「「いやぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」」


が、両サイドからの手の襲撃に耐えられず悲鳴が上がる

急いでその場を走って抜けて座り込んで振り返る、そこでは変わらず腕がウネウネと動いている


「「……」」


二人で顔を見合わせて、ただ茫然としていた

ただただ黙って、もう嫌だ、という意思を伝え合うように


「行こう」

「うん」


ただそれだけ伝え合って、二人は廃屋の廊下を歩いていく

長い、長い、ただ置くに突き当たりの部屋が見える廊下に、何も無いとだろうとどこか期待しながら歩く


が、ガタンという木の板の外れる音

そして、目の前に釣り下がってきた広場で見た女ににた人形が釣り下がってきたのに二人は耐えられなかった


「「ΘΨη$#◎&×△◇〇Ω-´□○\¥!?」」


再び、まったく言葉にならない声を上げて海部は握っていた手を離して尻餅をついてしまう

塚本も何歩か後ずさりをして声を上げ、二人は目をギュッと瞑っていた…


…数秒後、何も危害を加えてこないのを確認して塚本がじっと釣り下がった女を見る


「…た、多分人形だから大丈夫だよ…」

「ほ、本当だよな?」


海部が尋ねるのに、塚本は頷く

海部は立ち上がって、すぐさま塚本に近寄ってその手を握る

今この場で手を離してしまうと、そんなわけは無いはずなのに、永遠に別れてしまうような

そんな恐怖が海部に襲い掛かっていた


人形を通り過ぎて、突き当りの部屋に行くと机の上に手紙があるのが見える


「…こういうのならまだ体勢がある、ゲームで相当怖いの見てきたし」

「私もまたましかな…」


そういって海部が手紙を開いていくのを塚本は見守る


″たすけてたすけてくるしいたすけてくるしいだれかたすけてくるしいたすけてたすけてくるし…″


「…やっぱ、気分悪いな…」


赤く、崩れた文字にを見つめて塚本も頷く

と、塚本が何かに気づいて海部の肩を叩いて指を刺す

海部はその方向を見ると、そこには…先ほどの人形によく似た女がそこに居た

女はゆっくりと二人の方へ近づいていく


「「いやあぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」


二人で悲鳴を上げながら、再び全力疾走でその場を抜ける

そして、障子に挟まれた狭い通路であることを見ないで、急いでそこに飛び込む


その結果、二人は壁からの手に不意打ちをされることになって…


「「またでたあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」


と叫びながら通路を抜ける



ゴール近くの井戸で、二人は完全に息を切らせて座っていた


「も、もう、もう、イヤ、無理、死ぬ…」

「…う…うん…で、でも…もう…ここで…さいご…」


塚本がそう言って念の為井戸の方を見る、と

井戸に何か手がかかっているように見えた


それにえっと声を漏らすと、海部も井戸の方を見て何かあったのかと確認する

すると…井戸から、ズルズルと体を引きずらせて先ほどの女が出て来た


「あ…はは…ハハハハハハ…~」


塚本は完全に限界を超えたのか笑うことしか出来なくなり

海部にいたっては無表情でもはや動けないようであった…


「海部さん、逃げよう?海部さん!?」


塚本が立ち上がって逃げるように促すが、海部は完全に放心したのかその場から動かない

引きつって笑顔は見せるものの、立ち上がることは出来ないようであった


「海部さん!!」


塚本が半分泣きそうになりながら、体を立たせようとするが海部は動かない

その間にも幽霊はこちらに近づいてきて…そして…



――――――――――――――――――――――――――







「…遅いな~最後…」


待ちくたびれた一ノ瀬はそう呟いて、出口の方を見る


「まぁ二人おっかなびっくり進んでるんじゃない?」

「でも…私に追いついてきたしな~…ま、天井からのやつ結構きつかったし…」


結城が笑いながら言うのに、宮内は少し考えるが、仕掛けに驚いているのだろうと流した


「おい!来たぞ!?」


鳴滝がそういうと、塚本と海部が出てくるのが見えた

海部は、幽霊役のスタッフに肩を貸してもらってだが…


「…海部さん…」


塚本がスタッフの人にひたすら頭を下げているのを見かねて、既に出て行った4人が近づく


「海部さん、大丈夫か?」


一ノ瀬が声をかけるが、海部はハハハ…と笑うだけでしっかりとした返事が無い

結城も塚本と一緒にスタッフの人にお礼を言って、スタッフが立ち去ると海部のほうを見る


「…立てる?」


手を差し出すと、海部は一応その手を握りどうにか立ち上がる


「……ごめん、ありがとう…最後、あんなんあると知らなかったし」

「まぁ知ってたの俺と宮内だけだしな」

「…鬼…」

「お前後で覚えてろ」


ぼそっと結城が呟くのに一ノ瀬がそういうと、結城は即座に謝る

海部は、その光景を見ていたが、ハッと思い出したように宮内にくってかかる


「お前!私たち置いていったな!?」

「そ、そうだよ!呼んだのに返事もしなかったじゃんか!」


二人が強く言うのに、宮内は首をかしげて言う


「え?私二人の声聞かなかったよ?」

「嘘つくな!しっかりコッチみて確認したうえで走っただろ?」

「いやいや、知らないって」


宮内の言葉に、二人の顔色は悪くなっていく


「「…えっ…」」


その反応に満足したのか、宮内は笑いながら


「ごめんごめん、冗談、知ってた知ってた…ほら、二人で出ないと意味無いじゃん?」

「…お前…」


その言葉に、海部も塚本も、もはや起こる気力を失ったガクリとする


「ま、全員脱落なく出れたって事で!」



その言葉で、突然始まった肝試し大会は終了した…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ