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「誰か」の理想郷  作者: ナキタカ
番外編
44/46

【番外編】休日~お化け屋敷(一組目)~

思った以上に一組が長くなったのでわけました


【一ノ瀬&結城組】


お化け屋敷の内部は…一般的な和風の廃屋の周辺を回るらしい

だが、青緑のライトが必要最低限の場所…それも、殆どが血のついた場所を…照らすだけであるのと

雰囲気のせいもあるだろうが、ひんやりとした空気である空間の中は

それだけでどこか恐怖心を引き起こさせるものがあった


「はぁ…もうこういうところ本当にダメなんだけど…」


平然と進んでいく一ノ瀬の後ろで結城がそっと彼の服の端を掴もうとすると、

その手はあっさり払われて拒まれる


「触んな!」

「え、いや、だって怖いし…」


結城は訴えるものの無駄だと感じ、そのまま仕方なく進む


「あ、あと後ろって突然つれさらわれるからな、掴んでても相手すりかわってるだろうしな」

「そういうのやめてよ!」

「じゃあ前行くか?」

「イヤ、怖い!隣って選択肢は!?」

「だってお前邪魔だし」

「普通に二人分通れるスペースあるわ馬鹿!」


一ノ瀬は結城の恐怖心を煽るかのようにひたすら文句を並べる、結城は普段以上に声を荒げて返し隣に並ぶ

すると突然、あたりの暗闇からうめき声のようなものが聞こえ出す


″お…おぉ…あ…″


「…うわ…うわ…」


結城は音のするほうをちらちらと見ながらも正面への注意をする

一ノ瀬がふと結城の方を見る、急に結城から離れる


「な、何!?」


その突然の行動に結城は戸惑いを隠せないで居ると、一ノ瀬は大きな声を出す


「結城!後ろ、ヤバイ、ヤバイから!後ろ!」

「な、何って!」


結城は即座に後ろを振り向く…が、そこには誰も居ない


「…」

「イヤ~サッキマデイタンダケドナ~」

「うん、わかった、一回埋まれ」


そう冷たく言うと、少し固まる二人


「なんで行かないの?」

「いや、先行けよ、怖いんだろ?」

「隣ってさっきもいったじゃんか!」


と、一ノ瀬は少しイヤそうに並んで歩くのを承諾する

結城はため息をはいて、これからどれだけこんなことがあるのかと不安と恐怖でいっぱいだった







しばらく歩くと少し広い柳の木のある広場のような場所に出る

すると結城の背筋にとりわけ冷たいなにかが通る


「!?」


結城が振り返るが、やはりそこには何も無い、また一ノ瀬の嫌がらせかと思ったが


「うわっ!!」


一ノ瀬の方も驚いたのを聞き、単純に仕掛けなのだとわかる

つい、そちらを見れば怖いものがあるとわかりながら反射的に一ノ瀬が声を上げたほうを見てしまうと…そこに



先ほどまで居なかった、血にまみれた白い服を着た女

ありきたりといえばありきたりだが、もはやそれは周りの空気で二人の中から消えていた


「いやあぁぁぁぁぁっ!!」


結城は思わず声を上げて一ノ瀬に触れない程度に近づく

距離をおいてしまうとなんだか置いていかれるかもしれないという謎の不安もあった


女が動かないところを見ると、おそらく、おそらく人形なのだろう

二人で少し呼吸を整えると人形に警戒しながら廃屋の中へ入る



ギシ、ギシ、と古い木の床が音を立てる

ただ廊下を歩くだけだが、僅かに開いた障子の間から血痕が見えるのにそれだけで怖くなっていく



両隣が障子に挟まれた、狭い通路が二人の目の前に現れる


「ねぇ、これって手とか出てくるやつかな?」

「そうだろ?ハイタッチしていこうぜ」

「いやいや何言ってんの!?」


一ノ瀬の突飛な発言に結城は信じられないと声を大きくする

が、一ノ瀬はお構いなく通路を通っていく


…しかし、一ノ瀬が通り抜けても通路に異変は無い


「結城~早く来いって!」

「イヤ、無理、だってこれ私待ってる、絶対手スタンバイしてる」

「ひゅーもてもて~」

「嬉しく無いわ馬鹿!」


通路をはさんで普段のやり取りが終わると、結城は改めて通路を見る

明らかに妖しい両隣の障子


「走り抜けたら平気だろ?ほら早く!」


一ノ瀬が待ちかねていることもあり結城は息を深く吸い込んで走り抜けようとするが


″バリバリッ…″


「あぁぁぁあやっぱりきたぁぁぁあああ」


予想を裏切らない手の襲撃に悲鳴を上げる

が、どうにか止まらずに走りぬけ一ノ瀬の傍まで行く

彼は何を思ったのか先程の通路に戻り、未だうようよと動く手の一つを捕まえてハイタッチする


「うぇ~い」

「あ、アホなの?馬鹿なの?何なの?」

「いや、だってハイタッチしようぜって言っただろ?」

「イヤ、無理、絶対無理!」

「しょ~がないな~そこまで言うんやったらな!」


と、何故か偉そうに言って進むために歩く

結城は未だに先ほどの恐怖で心臓がバクバクとなっているを感じながらフラフラとついていく


再び廊下にでてしばらく歩く

すると突然ガタンと木の板の外れるような音がすると

考える前に二人の目の前の天井から女が釣り下がる


「やあああああぁぁぁぁあああ」


結城は耐えられなかったのか、思わず後ろに倒れかける


「大丈夫か!」


一ノ瀬は咄嗟に結城を右腕で支える


「あ、ありがとう…」


こういうとき突然優しくなる一ノ瀬の行動に、結城はいつも驚かされてしまう

といっても、ただ単に普段の態度との差に驚いているだけであり

少女漫画で起きようものなら恋愛感情の起こるところでも、この二人の間にそれはありえない


結城は立ち上がり、体勢を戻して改めて礼を言う


「ありがとね、さっきは」

「いや、これは反則だろ…後ろ二組大丈夫か?」

「ははははは」


と、二人は後方の様子を見て言うと、二人は釣り下がった人形をよける

一ノ瀬は通りすがりに人形を少し小突いて


「ねぇ、そういうのやめない?」

「動くわけ無いからいいだろ?」

「でもさぁ…」


言いかける結城はやっぱり無駄だと思いそれ以上の追求をやめる



突き当たりの、案内の看板の立っている部屋に手紙が置いてある

一ノ瀬は何のためらいもなくそれを取って結城にも見えるように広げていく


「ちょっと心の準備とかさせてって!」


と言いながらも仕方なく広げられた手紙を見る


″たすけてたすけてくるしいたすけてくるしいだれかたすけてくるしいたすけてたすけてくるし…″


「うわ…」


飛び込んできた文字の羅列に二人はただ固まる

と、壁から突然先ほどの人形とよく似た女が飛び出して来た上、こちらに向かってくる


「やっと来たか!」

「いやいや逃げようよ!?」


既に逃げ腰の結城に一ノ瀬は詰まらなさそうに返事をして走り出す


追いつくか追いつかないかの微妙な瀬戸際で追いかけてくる相手に

来るわけ無いと思いながらも恐怖心は湧き出る


先ほどの手が飛び出た狭い通路に似た場所に出て、結城は思わず立ち止まる


「うわ…」

「おい、早く行こうぜ、さっきと同じだろ?」

「そうだけど、そうなんだけど!」


後ろには女の姿は既に見えていてそろそろ危ない

一ノ瀬はため息をつきながら結城にの方を見て手を差し出す


「ホラ、手繋いでやるから…なんかあったら俺が守る」

「…それ、私以外で何とも思ってない女子にやらないでよね」

「何でだ?」

「悠斗くんの身のため」


結城は差し出された手を迷わずにとる、やはりこういうときの彼の優しさには参ってしまう

…この優しさを誰彼構わず振りまいてしまうそれを念の為忠告しておいた


「まぁ、行くぞ!」


そういうと、結城の手を握ったまま一ノ瀬は通路を走りぬける

両側から手が飛び出てくるが、どうにか声を堪えて相手についていく



走りぬけて気がつくと、そこにはゴール直前の井戸…ここまでくればもう何も無い

結城は安心してその場で大きく息を吐く


「はぁ…たどり着いた…」

「俺がいたから安心できただろ?」

「あ~いや、まぁ、うん、そういうところもあったよ」


得意げに言う一ノ瀬に結城は否定も肯定もせずに答える


「俺たちはハズレか…」

「何が?」


一ノ瀬は突然井戸の方を見て呟くのに、結城は嫌な予感がしながらも尋ねる

彼は井戸を指差して言う


「あぁ、ここの井戸、何回かに一回さっきの女もう一回来るんだよ」

「…一番最後の組に来そうなのは気のせい?」

「だと面白いけどな」


一ノ瀬が人事のように笑うのを心の中でやっぱり鬼だと思いながら結城は彼とお化け屋敷を出た



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