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「誰か」の理想郷  作者: ナキタカ
「誰か」の理想郷
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九日目~困惑~


「織枝…」


夜の8時ごろ、結城は家でベットに寝転びながら携帯を見つめる

というもの、6時ごろに彼女にメールをしたのにまだ返事が返ってこないのであった


普通の病気ならここまで心配することもなかった

ただ、今日塚本と海部が学校を休んでいることを考えると、彼女の身に何か起きたことは間違いない気がした

ただ、彼女が気づいていないだけなのを祈りながら結城はベットの中でもぞもぞと動く


それから10分ほど後、結城の携帯の画面が光りだして、それを結城は慌てて取る

メールは、部員のフォルダに入っている

差出人は、塚本


それを見て、一旦息を深く吐く

メールが返せないほど酷い状態ではないということがわかっただけで、それで充分でもあった


『Re:大丈夫?


 涼香ちゃん、心配かけてごめんよ~

 何か全身が痛くってさ…動けなかったんだけど、今はもう大丈夫!

 でも、海部さんとは結局戦ったよ…

 もしかしたら、戦ったから全身痛かったのかも

 でも前、郵便局の前で戦ったときはそんなのなかったよね?』



メールを眺めて、どの情報から処理すべきかに迷って、一文ずつ考えていく


″…海部さんのことは織枝でもダメだったってことか…はぁ…じゃあ説得はもう無理か…

 とりあえずそのことだけ…″


と、思いメールを起動させようとすると、再び塚本からメールが届く


『Re:

 連続でゴメンね?先になるべく夢のこと説明する』


その先には、塚本が獣に誘われたこと、それに応じて追いかけると海部と宮内が居たこと

そして、宮内と海部の態度のことが書いてあった


「これで宮内が関わってることが確定したのか…

 まぁ、今までの態度胡散臭いとかいうレベルじゃなかったし…」


内容を見て一旦携帯を綴じて思い返しそう呟いて、返事を考えるのにしばらくぼーっとする

明日は金曜日、顔をあわせてしまうのも気まずいが行かないわけにも行かない

しかし相手から話はけしかけてこない以上、一日くらい表面上の態度は隠すことはできるだろうか…


悶々と考えたものの、答えは一向に出ない

それが我慢できなくなったのと、メールを返し忘れていたことを思い出したので

明日とりあえず方針だけでも相談することを送った



――――――――――――――――――――――――――


翌朝


その日は妙な夢を見ることもなく、朝を迎えた

宮内とも顔があわせづらいのもあって少し早く家を出て、学校へ向かう


自転車を停めて校舎に向かう途中で、塚本が歩いてくるのが見える

相手も気がついたのか結城に手を振る、結城はそれに答えるように手を振って歩み寄る


「おはよ~涼香ちゃん」

「おはよ…で、どうする?夢のこと」


結城は早速夢のことについて切り出す、さっさと決めて終わらせておきたいためであった


「…とりあえず、海部さんと話せないかな…原因がわかんないとどうもなんないし」

「ソレが出来ないから苦労してるんだけど…原因も素直に話してくれるかどうか…」


ため息をつきながら結城は返す、そうしているうちに下駄箱の前にたどり着いていた

履き替えながら塚本はふと思い出したように言う


「…そもそも何で部活こなくなったんだろうね?」

「それも話そうとしないけど…最初は自分責めてるだけなんだと思ってたけど」


カバンを持ち直して二人は言葉を詰まらせる

教室に入り、結城は既に座られている座席にカバンを下ろして塚本の席に向かう


海部は、窓のほうを見つめながら、コチラの存在を気にかけても居ないようだった


「…そういえばさ、体痛いって言ってたのは大丈夫?」


前の座席がまだ空いているのでそこに座って結城は尋ねる


「うん、一日したら動けるようになったよ…でもさ、なんかよくわかんないんだよね」

「どういうこと?」

「海部さんが斧で切りかかってきたけどさ、そういう痛みじゃないっていうか…

 でも、寝相でぶつけたにしては痛すぎたし」

「ふ~ん…」


考えながら結城は返す、しかし話はまとまらない



「悠斗くんにも聞いてみる?一応戦っちゃった人なんだしさ」

「こういうのの解決方法なら思いつきそうだし…そうしてみるか…」



そういって授業の予鈴がなると、結城は自分の座席に戻った

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