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51/終章:おやすみなさい――■■■■

 世界は、何も変わらない。


 誰かが消えても、やるべきことは変わらない。


 人類は今日も救済を求めている。


 《奇跡》を使える者は、《聖女》と呼ばれる者が今日もどこかで人類を救済している。 


 《一桁位》の《聖女》が消えたとしても。


 全ての《一桁位》がいなくなったわけではない。


 《第七位》から《第九位》は元より世界の救済を続けている。《魔女》と呼ばれし《第六位》はやはり歴史の上では人類の裏切り者とされ、誰もが彼女が裏で世界の為に身を削っていることなど知る由も無く。


 《第六位》の存在は人類史が修正されることなく誰もが《聖女》ではなく《魔女》として語り継がれていくことなのだろう。


 そして《第四位》の暴虐はやがて明らかとなる。《薬》によって人類を穢すことを知られ、これはイズクが復讐などせずとも他の《聖女》によって断罪されていたことだろう。


 現に生き残っている《第四聖女騎士隊》の者が真実を語ったことで、口封じしてきた者の不在により明らかになった。


 そしてそれも時が経てば誰もが忘れていく。


 大切なのは今なのだから。


 今を生きている者は、後ろを見ない。


 世界は何一つ変わらず、回り続けている。


 この物語は本筋から遠く離れた誰も知ることのない物語。イズク・フォーリンゲインの暴走による無様な物語だったのかもしれない。


 誰も彼女のことを知らない。


 《魔女》のまま自ら瘴気によって《蓋》となり、そしてそのまま消えていった哀れな者として、その評価が覆ることなく――誰もが《第六位》の《聖女》の本当の正体を知らぬまま、彼女は誰にも知られずに消えてしまったと。


 そんなことよりも、人類は今日も生きるために戦っている。だからこそ《二桁位》の《聖女》たちもまた世界の為に《堕天》と戦い続けている。


 そして《極光(エンデ)》は未だ月の横で星を見下ろしている。身体が癒えることなく、形が生えることもなく、ただ今日も星を見ている。


 誰かに囁き、その声に耳を貸した者を怪物に変えてしまうのだろう。


 そして廻廊(ダンジョン)はまだ各地に姿を現している。《極光(エンデ)》を倒さぬ限り、《堕天》は決してこの世界から消えはしない。


 《第六位》の復讐は終わっても、世界の物語は続いている。人類は《堕天》の脅威が終わらぬ限り、物語に終止符が打たれることはない。


 だからこそ人類は今日も《聖女》に願い、望み、祈り続けている。


 そして今日――《三桁位》最初の《聖女》である《第百位》が誕生した。


 いつか、おやすみなさいを言えるその時まで――《聖女》の《奇跡》はやがて《極光(エンデ)》に届くのかもしれない。 

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