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碧草  作者: Keiたま
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二日酔い知らず

スゥと浮き上がる感覚で静かに目覚める。ここに来るまでは目覚める為に人工的な不愉快な音で強制的に起こされていた。

「…くっ、はぁ〜…好きなだけ寝れて自然と目覚めると寝起きって良いのね…」

しかし流石に寝過ぎたかもしれない。何だか日の強さが…。ハッと、時計を見ると

「じゅ…11時〜!?」

完璧寝すぎた。かえってダルくなる。


「あー…そうか、あれからお酒呑んだんだっけ?」



早苗さんの年齢にはノータッチ、と判明してから少し間ができてしまった。だから 帰ろっかな〜 と思ったところでガラリと扉が開いた。

「いらっしゃい…あら哲君。お疲れ様」

「こんばんは早苗さん。お邪魔するよ、お腹空いちゃって…」

頭に片手を当て笑いながらカウンターへとやって来る“てつ君”。

「…あれ?珍しいお客さん…」

「こんばんは」

あたしにも気付いたようなので一応挨拶してみる。

角刈り頭に眼鏡をかけた穏やかそうな顔立ち。体つきもそこそこ良くて、イマドキなチャラチャラした感の男性とは程遠いも、きっと彼はあたしより年下。かな?


「ま、飲め!酒は飲んで呑まれて吐いて強くなるっ!」

「ひぃー何ですかっ先輩、その意味不明な根拠は!早苗さん助けてぇ!」


郷原 哲太 君、26歳。役場勤めな公務員で現在彼女募集中。お父さんは一昨年癌で他界。気ままに野良仕事しつつ年金生活する母と二人暮らし。血を分けた妹さんは昨年の暮れに嫁いで現在身重。もう少ししたらこちらに帰ってくるそう。


「ふーん、お兄ちゃん先越されちゃったね」


入ってきたときから何か見覚えあるなぁ、と思って当たり障りの無い会話をすること5分。哲太君もあれ?と思っていたらしく何か二人で腹の探りあいをしていた。見兼ねた、だろうなぁ、あの顔…早苗さんが

「こちら最近越してきたばかりらしいの…哲君、転居届けの時見かけたんじゃない?」

それで あぁ、そうか、と二人して事件解決となったわけだ。それからはまぁ…あたしがよろしく〜と、年下だったのも気軽く絡んでしまい。久々に浴びるほど飲んでしまったのだった。

「しっかし、我ながらあの千鳥足でよく帰ってこれたもんだ…」

所々記憶があやふやながらも、きちんと帰宅までの記憶はある。

と、回想したところでアタシは思い出したことが。

「…うーん、出ていっちゃったかな?」

寝床に居ないことでそう思うも、確認しようと外に出るべく縁側へと向かった。


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