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2.2度目の訪問

後日。お披露目パーティーまで日があるというのに、再びアクア様がいらっしゃった。


「おはようございます、メル。今日はドレスを選びに行きましょう」

「アクア様……?ドレスなら手持ちの物で充分───て待ってください!?」


気づいたらアクア様に手を引かれ、車まで連れていかれてしまった。けれどその手は子供だからか強くはなく、振りほどこうとすればそれは可能な程度だった。しないけど。


「さあ、行きましょうメル。僕が選んであげますね」

「はぁ……」


まさかアクア様がここまで強引な方だとは思ってもいなかった。でも嫌な強引さではないのが唯一の救いだ。


ん……?ドレス選び……婚約者お披露目パーティ……ここで全てが繋がった。


「私……失敗したら暗殺……?」

「メル?どうしましたか?」

「あっ……いいえ!なんでもありませんわ」


確かゲームではこの婚約者お披露目パーティのドレス選びの際に、我儘を言いまくってお店にもアクア様にも迷惑をかけたって裏話があった気がする。


しかもそこから段々とアクア様が冷たくなって行き……。


想像もしたくない!我儘を言わないようにしないと。


「さぁ、着きましたよメル。足元気をつけて」

「ありがとうございます、アクア様」


先に降りてエスコートをして下さるアクア様。嫌われないようにしないと、お先真っ暗だわ。こんな優しい人にドンびかれたら人生おしまいよ。


「わぁ……ドレスがたくさん……」

「お待ちしておりました、アクアスティード様」


お店の人が奥から出てきて、アクア様に挨拶をする。そのまま私に視線を向けると、その瞳は何故かキラキラと輝き出して。不思議に思っていると、その女性は私の目の前まで来て目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。


「貴方がメルリア・カトザレア様ですね!?お話は伺っております!メルリア様にお似合いのドレスを選ぶお手伝いをさせていただきます、ミアと申します。よろしくお願いしますね」


………………マシンガントークだった。悪い人では無いのだろうけど、マシンガントークには驚いた。まぁ、アクア様がここに連れてきてくださったという事は安心安全のお店なのだ。ここは信じてお任せしよう。


「メルリア・カトザレアです。本日はよろしくお願い致します」

「まぁ素敵!ではまず、お好きな色とかございますか?」

「えぇっと……薄いブルーとかですかね……」

「薄いブルー……かしこまりました!」


そう言ってミア、さん?はドレスを選び始めた。その手には2~3着のドレスが。まさかあれ全部試着するの?


「お待たせしました!こちらシンプルながらメルリア様の可愛らしさが引き立たされるドレスになるかと!」


ぜひ試着してくださいと言わんばかりの圧。これはもう大人しく試着するしかない。


「では……試着させていただきますね。試着室はどちらでしょう?」

「!こちらです、どうぞ!」


ドレスを渡され、そのまま試着室に入る。どうやら着るのはミアさんが手伝ってくれるようだ。確かに使用人置いてきちゃったからなぁ。ありがたい。


「やっぱりお似合いです!」

「そうですか……?」

「はい!アクアスティード様もお喜びになるかと」


ミアさんは言い切る前にカーテンを開けてしまった。まだ心の準備が……!!


「メル。とてもよく似合っていますよ」

「ありがとうございます。アクア様」


褒めていただいて光栄ではあるものの、あと2着……着るの?


今日はドレス選びだけで終わりそう。

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