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1-20 side.内海

 

「周囲の小鬼ゴブリンはおれと槐で片づける! レオたちはアミーを叩け!」


「分かった!!」


 アミーの攻撃パターンは事前にレオたちに伝えている。だがシステム権限を奪われた今、情報はあまり役に立たないだろう。


 あの五人に――レオに賭けるのは、常識システムの埒外に存在しているからだ。彼らの戦闘を分析した結果、不自然な記録ログが見受けられた。ネオには存在しないスキルの使用、トッププレイヤーをも凌ぐ各種パラメーター、何より、ヘッドギアやソフトの存在しない異世界からのログイン。魔王の不正チートというより、バグだろ! と叫びたくなるでたらめさ。あぁ、これが本当にバグなら良かったのに。誰かが言った。『バグにはバグをぶつけんだよ』。


 まぁ、なんだ。何より魔王と戦うことをレオたちが望んでいる。あの【断崖絶壁】を四日でクリアしたやつらだ。本来の攻略目安は一カ月。油断していたとはいえ、槐も負かされている。彼らの実力がそのまま数値化データとして反映されているなら、大丈夫だろう。


 問題はこっち。


 アミーの攻略推奨人数は三十人。そのうち十二人が対小鬼要因。一人で三体相手が安全マージンだ。それをおれと槐の二人、一人で十八体を相手取る必要がある。【晴天霹靂】ならば一掃出来るだろうが、あれは屋外フィールドで快晴時のみという条件があるからダメだ。

 右手に持った【永久に眠る月桂樹の杖】を前に掲げて薙ぐ。


「【放電スパーク】!」


 走り出した電流が小鬼を絡めとる。攻撃としての威力は弱いが、動きを鈍らせ、固体によっては麻痺を付与する。小鬼の厄介なところは集団で個を襲う点だ。だから先ずは動きを封じて、一体ずつ確実に殺していく。


 日本刀を真っ直ぐに携えた槐が、直線上にいた小鬼三体の心臓を貫く。小鬼はポリゴンとなって四散した。


 一応、事前に打ち合わせをしてきたが、今まで一人でプレイをしていたので連携の仕方が良く分からない。槐の足を引っ張ってしまうんじゃないかと不安すらある。


 けれど後ろで、命を懸けて戦っているやつらがいる。おれを信じてくれる仲間がいる。ならばおれも覚悟を決めよう。


 ここに立っているのは、卑屈で陰気なおれじゃない。自力で魔法を研鑽して生きてきた【閃光の魔術師】としてここに立とう。


「【線香花火スパークル】」


 複数の光の玉が弾け、五体の小鬼をポリゴンに変えた。

残り二十八体。


「ナイス! さぁ、じゃんじゃん行こう!」

「あぁ」


 不思議と、負ける気がしなかった。


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