レキは一言だけ……「うん」と答え……口を開けた――。『勇気ある者』
【世界一高い山 フジサンヨンゴ】
フジサンヨンゴ山……5000メートルからなる異世界一高い山。
マーサ「あ!レキ~!レキも呼ばれたの?」
レキ「マーサ!いったい何だろうね?勇者ユキノ様からの招待状……」
勇者ユキノはパーティーメンバー他、数人をここ『世界一高い山 フジサンヨンゴ』一合目に招待していた。
トモミン「ご主人様!トモミン山登り初めてでっす!」
マーサ「やっぱり登るのかなぁ~。疲れるのやだなぁ~。ロープウェイで上がって、中継地点で水配る係とかやろうかなぁ~」
マーサは『いかに楽をして人から褒められるか』を日夜真剣に考えている!
イク「マーサ殿!ご無沙汰ですね!」
剣聖イクが声をかける。今度は聖剣ゼックスカリパを帯刀していた。
聖剣ゼクス『今度、置いてったらブチ殺しますわよ……』
どうやら温泉旅行に置いていかれたのを根に持っているようだ……。
イク「すまなかったよ!ゼクス!ほら、あちらでフジサンヨンゴを眺めよう!マーサ殿、またあとで!」
聖剣ゼックスカリパをなだめながらイクが去っていった。
剣聖イクと入れ替わりに幼なじみのレキがマーサに近づく。
レキ「ちょっとあんた……イク様とは温泉旅行に行ったそうじゃない!……私とはどこにも行ってないのに!」
幼なじみのレキがなんだかすねている。
マーサ「一緒にお風呂入ったじゃん!」
レキ「な!……バッカじゃないの!!」
レキは顔を真っ赤にしながら逃げるようにその場から離れた……。
マーサ「なんだよ……。お風呂では、素直にあんなとこをこんな感じで……最後に『拳聖奥義!バナンポ洗い!』とか、はしゃいでしてくれたのに……」
マーサは一人で変なジェスチャーを繰り広げる。しかし、『拳聖奥義!バナンポ洗い!』とはいったい!?
アヤカ「バカマーサが、またバカやってる……」
マーサ「あ!イクの妹!っていうか、バカマーサとは。なんだ!せめてマーサのバカだろ!」
アヤカ「なにか違いはあるの?」
バカの言ってることはAB型にしかわからない!
『ザワザワザワザワ……』
周りがザワザワし始めた!勇者ユキノの登場だ!
勇者ユキノ「みんな!よくぞ!集まってくれた!」
壇上に登ったユキノは大声で挨拶をした。全員の視線がユキノに向けられる。
勇者ユキノ「今日、集まってくれたのは他でもない!ある発表をしようと思う!マーサ、こちらへ」
マーサ「へ?あ、はい!」
急に呼ばれてビックリしながら、恐る恐る壇上へ上る。
勇者ユキノ「皆も知っている通り、今日のライブ配信で『賢者』マーサの結婚相手が決まる!」
ユキノは『大魔法使い』より『賢者』の方がカッコいいと思い、その場で思いついて言ってしまった!実はライブ配信は女神フレイヤの編集により極力女の子だけが映っている。マーサは見切れているか、バナンポ(修正済み)しか映らないので『謎の男』『影の大魔術師』『闇バナンポ魔人』と密かに騒がれていたのだ!もちろんスキル『AV男優』を持っていることは、女神フレイヤしか知らない事実でもある。
ザワザワザワザワ……。
トモミン「ユキノ様……」
イク「ユキノ様……」
レキ「……ゴクッ」
他の候補者達が固唾を飲んで見守る。
ライブ配信は国民全員が知っている周知の事実だが、最近はすぐに有料チャンネルに切り替わり、ほとんどの国民が状況が分からず、噂が独り歩きしている状態だった。
マーサ「ユキノ……」
もちろん、有料チャンネルになるのは、この男のせいである。
ユキノ「私は……候補者を辞退する!!」
ザワザワザワザワ――!
周囲がざわつく!
ユキノ「私は『勇者』だ!しかし、魔王亡き今(まだ死んでません……)、『勇者』たる私に何ができるか、真剣に考えた!」
マーサ「ユキノ……」
ユキノの真剣な眼差しに全員が刮目する。
ユキノ「私は……ハーレムを作りたい!」
イク「ユキノ様……ゆ、ユキノ様!?」
全員が言葉を失った!
ユキノ「私は男も女も好きだ!無論、マーサのことも好きだが、もう、みんな好きだ!」
マーサ「『勇者』がすごいこと言い始めたぞ!」
ユキノ「だが、結婚を決める『ライブ配信』を辞退するというのは『勇者』が負けたことになる!『勇者』は負けてはならない!」
ユキノは拳を握りしめる!
マーサ「さっきから……なにを言っているんだ!?」
ユキノ「よって!ここに『マーサ争奪!フジサンヨンゴ登頂大会』の開催を宣言する!!」
レキ「……マーサ争奪」
トモミン「……フジサンヨンゴ」
イク「……登頂大会!?ゆ、ユキノ様!なにを言って……!!?」
ユキノ「簡単だ!一番早く登った人が、マーサと結婚だ!」
両手を上げ、高らかに宣言する。
『おもしろい……』
天から突如、声が響きわたる!
次の瞬間、神々しい光と共に上空に女神フレイヤの巨大な半身が現れる!
参加者「め、女神様!?」
参加者「女神様よ!」
参加者達は次々に両手を合わせ天に祈った。
女神フレイヤ「ユキノよ……おもしろいぞ……その話、乗った!!」
それだけ言うと、女神フレイヤは『スウゥゥ――』っと、消えていった……。
ユキノ「よし!承諾も得たことだし、始めるか!」
???「おもしろいことになってきたね~!これで、魔王を倒した『賢者』と私も結婚できるってもんだ!山登りはお手のもんだ!」
イク「あ、あれは!女山賊団統領『モンキーディーミルキー』!!」
レキ「よくみれば、有名な人たちだらけ……あっちにも!!」
馬車レースでは負け知らず!
レディース黒薔薇総長!通称『ブレーキ壊れたノーブレーキ』!
ノーブレーキ「結婚して、ブレーキ直す……」
天気を自在に操る『天候士』
明るいお天気姉さん『晴れドキドキ日和アイアイ』
アイアイ「いつでも私は相合傘……うふ」
正体不明の仮面の淑女!
好きな食べ物『月見バーガー』
『変態!全身タイツ仮面』
全身タイツ仮面「月に一回……SMよ!」
東の国からやってきた!
パットリさんがやってきた!
免許皆伝!くの一の里長『くの一!パットリさん』
パットリ「……ニンニンでござりんこ」
イク「……強者ぞろいだな」
レキ「ハロウィンパーティーでもするの?」
全員、個性が強かった!
司会『それでは、位置について……よ~い、スタ――ト!!』
戦いの火蓋は切って落とされた!
【二合目 800メートル付近】
レキ「……ふぅ」
レキの調子が悪い!
???「こちら水分補給所で~す」
レキ「ありがとう……もらうわ。……ふぅ」
一息ついて、また登りだす。
マーサ「お!水!ごくごくごく――!!うまい!」
バカ丸出しのマーサも水分補給はかかさない!
???「はっ~はっはっ!ひっかかったな!」
高笑いと共に水分補給所の係員の姿がみるみる変形していく!
コスプレイーヤ「七変化!妖精コスプレイーヤだ!!」
マーサ「あ、ユキノが好きな元四天王!ユキノに会いに来たの?」
コスプレイーヤ「バカ!言うな!私は見守るだけで満足なタイプなんだ!」
マーサ「初心なんだね」
コスプレイーヤ「魔族にウブなんて、次言ったら問答無用で殺すから……。そんなことより、今飲んだのは水じゃないよ~ん!ざま~みろ!」
マーサ「なに!うっ!お腹が……」
コスプレイーヤ「利尿作用増進する『コーヒー』だ」
マーサ「なんだと……!コーヒーなんて……二十歳すぎないと飲んじゃダメなんだぞ!」
この世界では『コーヒー』を飲んでいいのは二十歳過ぎと決まっていた!
マーサ「ひゃ~トイレ!トイレ!漏れる~」
コスプレイーヤ「やった!勝った!」
コスプレイーヤは満足したのか、バイト先の旅館に帰っていった。
マーサ「ダメだ!間に合わない!あの木の影で!」
急いで人気のいない大木の裏へバナンポを出しながら回る!
チョロ……。
レキ「あ、マーサ……ふぅ」
レキが座って先に用をたしていた!
マーサ「あ!レキ!ごめん!」
慌てて出したバナンポをしまう!今回は我慢できた!成長する男!マーサ!
チョロチョロ……。
レキ「……ふぅ」
マーサに気づいても小をやめないレキ。よっぽど調子が悪いようだ。
マーサ「レキ、調子悪いのか?」
心配で覗き込む(大事なとこは覗かない!相手が具合悪い時はふざけない!できる男!マーサ!)
レキ「……うん。……ふぅ」
マーサ「これは……こ、高山病の症状だ!早く水分補給しなければ!水は、持ってない……くそっ!」
レキ「はぁ……はぁ……」
レキの顔色がどんどん悪くなる!
マーサ「仕方ない!レキ!飲むか!?」
マーサは真剣にバナンポを出す!
(決してふざけてはいない!真面目にバカな男!マーサ!)
レキ「はぁ……はぁ……うん」
レキは一言だけ……「うん」と答え……口を開けた――。
シ、シャァ――……コポ……。
※スキル『年齢制限』は、これは『医療行為』と判断しました。
【五分後――】
イク「お!レキ殿!さっきは調子悪そうだったのに!?治ったのか?」
レキ「はい!元気バリバリです!癪だけど、一番に登ってマーサがこれ以上変なことしないよう見張らないと……です!」
イク「ははは!その通りだな!私も負けていられないな!」
レキとイクは並んで登りはじめた!
レキ「マーサ!あんたもがんばりなさ~い!」
後方でヘトヘトなマーサに手を振る。
マーサ「お、おう!あ……またトイレ!……俺にコーヒーは早すぎた……」
白熱の戦いが加速する!
<つづく!>




