「……えっち」『マーサ、スキルを授かる』
チュンチュン……クチュン！
朝を告げる鳥『花粉鳥』の独特の鳴き声が朝日と共に窓から心地よく降り注ぐ。
――ここは異世界。
剣と魔法と、異種族が混じり合い、分け隔てなく女神の祝福が降り注ぐ。
――そんな、夢にまで見た世界。
この世界では珍しい黒い髪に寝癖をつけた物語の主人公マーサは布団の中で魘されて(？)いた。
【夢の中】
マーサ「さぁ……ほら……いつものように……」
ネコミミと大きなしっぽを揺らしながらメイド姿の美少女が椅子に座ったマーサの正面に立ち恥ずかしそうにゆっくりとスカートをたくしあげ、かわいいリボンのついた白のショーツをマーサに見せる。
ネコミミメイド「ご主人様……恥ずかしいです」
モジモジする姿が可愛らしい。
マーサ「うん。キレイだ。じゃあ、今日もよろしくね……」
ネコミミメイドは「はい」と一言返事をすると、その場で跪き、髪をかきあげ耳にかけ、マーサの太ももの間に顔を潜らせた。
ネコミミメイド「……失礼します。……んっ！！」
マーサ「ああ……気持ちいい……」
美少女の顔がゆっくりと上下運動を始めた。
ネコミミメイド「んっ！んっ！！ご主人様の……バナンポ……おいしいです……」
『バナンポ』ってなんだ？アレのことか？夢の中の自分に自問自答する。
マーサ「さぁ、服をたくしあげて！おっぷにを見せて……」
また知らない言葉だ！……『おっぷに』！？
ネコミミメイド「はいっ……おっぷにです。ご主人様は本当に、おっぷにが好きですね……」
美少女ネコミミメイドがメイド服をたくしあげて胸を露にする。『おっぷに』は胸のことか！？
マーサ「キタキタ――！おっぷに、ぷにっぷに～！」
おっぷにを手で揉みしだく。自分を俯瞰的に見ると『情けない』の上位互換『嘆かわしい』という言葉がぴったり当てはまるのがよくわかる。
ネコミミメイド「あん！ご主人様、激しっ！ご主人様の……バナンポ……！もっと……んっ！……食べたい……です！！」
マーサ「いいよいいよ～！気が済むまで食べてぇ～！」
できれば、こんなにだらしなく歪んだ自分の顔は見たくなかったと、夢の中で溜め息をつき、後悔する。
？？？「それでは……ご主人様の……いただきます！ガブッ！！」
美少女はバナンポ(？)を食いちぎった！！？
【現実異世界】
マーサ「ぎゃ――！！！俺のバナンポ――！！あ、あれ？」
変な単語を口にしながら飛び起きる！
マーサ「なんだったんだ……今の夢は……？」
額の汗を拭い、ハッ！として慌てて布団をめくる。
マーサ「チラッ……あった……よかった……」
布団の中で元気に膨らんでいるバナンポ(？)を確認したマーサは『ふぅ～』と安堵のため息をついた……。
母さん「マーサ～朝ごはんよぉ～！」
下の階から母親の声がした。
マーサ「は、は～い！」
マーサは深呼吸をしてバナンポ(？)が小さくなったのを確認したあと、階段を勢いよく駆け下りた。
【食卓】
母さん「今日はマーサの誕生日だから、マーサの大好物『おっぷに』よぉ～！」
パンのような……プリンのような……うすだいだい色の柔らかそうな半球体の中央に苺が乗った食べ物を見て、ふと思い出す。
マーサ「そうだ……！これが『おっぷに』だ……！」
そう言いながら箸で先端に乗っている苺をつつくと、おっぷにはゆっさゆっさと揺れた……。
父親「マーサは本当におっぷにを揺らすのが好きだなぁ～。もう十七歳だぞ～」
どうやら、おっぷにを揺らすのは子供だけらしい……。
母親「今日は聖堂で『祝福』を授かる大事な日よ！早く食べて支度しなさいね」
マーサ「は～い」
おっぷにを揺らすのをやめ、柔らかい食感に体温ぐらいの温かさを保つ魅惑のおっぷにをたっぷりと堪能した。
【マーサの部屋】
マーサ「転生して、十七年か……」
おっぷにを食べ終わり、聖堂へ行くための支度をするために部屋に戻ったマーサは、今日の日付に赤い丸がつけられたカレンダーを眺めながら転生前の自分を懐かしむ。
【回想 日本(十七年前)】
あの日、キャッシング(お金を借りる行為をカッコよく言い換えた言葉)をしようとコンビニにきたのだが、ATMの画面を見て体が震えたのを覚えている。
「カードを止められた――！！」
人目を気にせず叫んだ。周りの女子高生達がクスクス笑っていたが、そんなこと全く気にならないほどの絶望を抱いていた。
「なぜだ！なぜこんなことになった！？」
自問自答する。
「……今日は八月十六日。はっ！そ……そうか！ボーナス払い分の仕業か！」
まるで名探偵が犯人を突き止めたかのようにATMに向かって『ビシッ！！』っと指を指す。
女子高生達「ちょっと……あの人ヤバいわよ……」
ATMに決めポーズをしている俺に女子高生達はドン引きだ！
ただ単に8月のいつもより多い支払いにより、残高が足りず、カード会社がカードを止めただけ……。そう、まさに自業自得だった。
そんな涙目で立ち尽くしていた俺は、ふとATMに見馴れないボタンを発見する。
『借金返済(異世界転生)』
「ん？」
二度見する……。
『借金返済(異世界転生)』
「……なんだ、これ？ポチっとな」
後先考えず行動する無鉄砲な性格。俺は『AB型』だった。ちなみに『AB型』はボタンを押す時は全員「ポチっとな」と言う(たぶん)。
ガン！！！
突如、後頭部に金属バットで殴られたかのような衝撃が襲った！
「うぁ！え！？……あっ……女性？」
薄れゆく意識の中で、バットを持って微笑む女性が見えた気がした。
こうして、目が覚めた時にはもう異世界に転生されていたのだ。
【回想、終わり】
マーサ「あの時の女性……女神様に似てるな」
机の上に置かれた小さな女神像を見る。
17歳になった今日、本物の女神様から『祝福の儀』を受ける。『祝福の儀』は女神様から最初のスキルを一つ授かる儀式で、その後の人生を左右するといっても過言ではない。
スキルは一般的な『農力』(農家)『家力』(家事全般)に長けたものや『ニート』(何事に対しても無関心で家に閉じこもっていられる力)みたいなハズレスキル。さらに『勇者』『剣聖』『賢者』のような特殊な力を得られるチートスキルも授かることができる！そう、めっちゃ重要なのだ！
転生者にありがちなチート魔力を持って生まれた俺は、スキル『勇者』を授かることを確信していた。
『勇者』は世界にただひとり。唯一無二の存在。それは人類の『希望』『象徴』『憧れ』『モテる』そう！絶対にモテる！モテる確定なのだ！！
マーサ「えへへ……」
寝癖を整えながら、「勇者かぁ～。テヘヘ」とだらけた顔を鏡に映しながら、期待を胸に身支度を急いだ。
【玄関】
マーサ「行ってきます！父さん！母さん！」
身支度を終えたマーサは玄関先で靴紐を結びながら両親に挨拶をする。
父さん「勇者マーサ！万歳！！ううう……！」
涙を流しながら息子の旅立ちを祝ってくれる父さん。
父さんが昔受けた祝福はハズレスキルのド本命『ニート』だった……。
どんな人生だったかと聞いことがあるが、すぐに『それはそれは……残念な人生だったよ……』と悲しい返事が帰ってきたのを覚えている。
そんな人生の中で唯一希望になったのが、幼い頃から『神童』と呼ばれた俺だったのだ！
母さん「辛くなったら帰ってくるのよ」
優しい言葉をかけてくれた母さん。母さんは『剣士』のスキルを授かり、昔は王国でも名のある騎士だったらしい。
王国での熾烈な派閥争いに疲れた母さんは、田舎に戻った時に、何にも考えずに笑顔で生きていられる父さんに一目惚れしたのだと、昔こっそり話してくれた。
マーサ「それじゃ、いってきまーす！！」
マーサは期待を胸に、実家を後にした。
【聖堂への道中】
両親に別れを告げ、『祝福』を授かる聖堂への道中、慣れ親しんだ風景に想いを馳せる。
マーサ「あ！あの公園で初めて俺は立ったんだ……」
零歳の頃、無意識に身体強化が発動して、急に「スッ！！」って立ってビックリさせてごめんね、母さん。
マーサ「あ！あの木だ！切り傷がある！」
五歳の頃、木の枝でゴブリン倒したとき、ビックリして顎が外れた父さん、ごめんね……。
マーサ「あ、レキの家だ」
十歳の頃、幼なじみのレキのお風呂を覗こうとしたのがバレそうになって、慌てて出したファイアーボールが隣の村長の家に命中した『村長宅、全焼事件』の犯人は実は俺です……。ちなみにレキのおっぷには半分見えた。
マーサ「あれ？そういえば村長の家が見あたらないぞ……！？」
十五歳の頃、幼なじみレキのお風呂を覗こうとしたのがまたバレそうになって、慌てて出ちゃったファイアーストーム(ファイアーボールの上位互換)がリフォームしたばかりの村長の家に命中した『レンガ積みの村長宅も全壊事件』の犯人も実は俺です……。ちなみにレキのおっぷには全部見えたが先端だけ泡で隠れて見えなかった……。
マーサ「あ！あった……！？村長宅跡地に地下へ向かう階段を発見！『村長の家はこちら』と書かれた看板が立て掛けてある……。あれから村長は三度目のリフォームで地下にシェルターを作り、地下生活を送っていたようだ！
【聖堂『ノウコウホンモン』】
マーサ「やっと着いた……」
『ハラミサガリ王国』の辺境の村『ナカオチタン村』唯一の聖堂『ノウコウホルモン聖堂』に到着した。
『……グゥゥゥ！』
ここに来ると、なぜかお腹が鳴る！なぜ鳴るかは『ハラミサガリ王国七不思議』の一つに数えられるが、今はどうでもいい……。
聖堂に入ると辺境の村には似ても似つかない豪華絢爛な装飾と真ん中にそびえ立つ美の女神フレイヤ像が、神聖な雰囲気に相対した禍々《まが》しいというか、官能的というか、ぶっちゃけエロい！女神フレイヤ像エロい！
？？？「……やめなさい。早くこちらに来なさい……はぁ……」
女神フレイヤ像のお尻やらお尻やらお尻をペタペタ触る俺に声をかける女性がいた。聖堂のシスター『シホン』だ。
シホンが持った水晶を面倒くさそうに、こちらに向ける。幼児体型だけど出るとこ出てるシホンを、俺は心の中で『シホたん』と呼んでいる。
シホン「さっさと水晶に手を置いて……」
マーサ「……はい」
「あ、間違っちゃった～！」とシスターの水晶にも負けないくらい大きく真ん丸な『おっぷに』を両手で鷲掴みする妄想を頭に浮かべながら、キリッとした表情を浮かべられる俺、すごい。
シホン「なにか、良からぬ事を考えてますか？」
シホたんが軽蔑の眼差しをこちらへ向ける。
マーサ「ぜ、全然！！考えてませんよ！さ、さぁ！SRスキル『勇者』を貰いますよ！」
マーサは気合いを入れて腕を捲った。
シホン「……勇者、もういますよ」
マーサ「……へ？」
変な声でた。
シホン「先月、王都ハラミサガリで祝福を受けたと聞いています。女の子らしいですよ」
マーサ「そっか……じゃ『剣聖』でいいかな！」
マーサは切り替えが早かった。
シホン「そんなギョーザ売り切れたからシュウマイでいいやみたいな軽いノリで祝福は受けられませんよ……」
異世界でもラーメンに餃子は定番メニューだ！
「はぁ……」と再びため息をつきながらシホたんは水晶を雑に差し出す。全く期待していないのが、その表情からも読み取れる。
――これに触ると『祝福』を授かる！緊張の一瞬！
マーサ「……では(ドキドキ)」
マーサが水晶に触れると『ピッカァ――！！』という擬音がぴったりな光が辺りを包んだ！
シホン「こ、この光は！？まさか……UR！？」
シホたんが、驚きの表情を浮かべる！
マーサ「きたきたきた！『勇者』！！……は、もういるから、まさか『剣聖』か！？」
マーサの手の甲に等級を表す『紋』が浮かび上がる。『紋』は聖堂のシスターしか読めない。マーサは手の甲の『紋』を待ちきれない様子でシホたんに見せる！
マーサ「シホた……シスター！俺のスキルは！？」
シホン「ほら！動かないの！読めないでしょ！」
マーサのジタバタする腕をガシッと掴み、手の甲を覗き込む。
――次の瞬間、シホたんは驚きの表情を浮かべ、信じられないといった様子で、ゆっくりと……つぶやいた……！
シホン「……う……URスキル……！えぇ～ヴぃ、だぁんゆぅ～……！！？」
マーサ「ウルトラレア！！やった――！！で、『えぇ～ヴぃ～だんゆ～ぅ』って……！！？」
マーサは身を乗り出しながらシホたんに説明を求める！！
シホン「……えっと」
両方のこめかみに人差し指を押し当てて、天を仰ぐ。
シホン「あの……その……これは……！？
……さぁ？」
散々悩んで出た答えが「さぁ？」だった！
ピカァ――！！！！
突然、辺りを光が包む。
？？？「マーサ、17歳の誕生日おめでとう！ハッピバースデ～マーサ～♪ハッピバースデ～マーサ～♪」
マーサ「待て待て待てぃ！誰、誰、誰ぇ――！！？」
響き渡る誕生日メロディーをツッコミで遮る！
？？？「誰って！？この場合、女神フレイヤ様の一択でしょ！もう！バカなの？」
声と同時に、聖堂の銅像そっくりな美女がキレ気味に現れた！銀色の長い髪に面積の少ない布の服から今にもおっぷにがこぼれ落ちそうだ！マーサはおっぷにを見て女神だと確信する！
マーサ「本当に女神フレイヤ様……！？ええぇ――！！？」
マーサは絶世の美女が突如現れパニックだ！
フレイヤ「はじめましてマーサ。いい、あなたにはURスキル『AV男優』を授けたわ！」
マーサ「やっぱり聞き間違いじゃなかったの！？」
フレイヤ「間違いなく『スキルAV男優』よ！もちろん世界であなただけのレアスキルよ」
マーサ「いや……そう言われても……。そもそも、異世界にテレビもAVもないし！」
フレイヤ「つべこべ言わずやるのよ！！……あなた、なんで転生したかわかってるの！？」
おっぷにを揺らしながら逆ギレされた……。
転生した、理由……？
マーサ「えっと、……やっぱり、魔王を倒すため？」
フレイヤ「あ、そういうのいいから……」
マーサ「………」
なんかスベった感じにされた！
フレイヤ「……借金返済よ！」
マーサ「え！？借金返済？俺は借金なんかしてないけど……」
転生して十七年、真面目に生きてきました。
フレイヤ「転生前にしたでしょ！！三億円！バカじゃないの！？どうやったら三億円も借金するのよ！はい、これ借用書ね！」
女神フレイヤは胸の谷間から何やら見覚えのある紙を見せてきた。巨乳の女性は胸の谷間に大事な物を収納できるという噂は本当だったのかと感心する。
マーサは『借用書』を手に取ると転生前の記憶が走馬灯のように甦った！
マーサ「お、思い出した……。確か、最初パチンコで一万負けたから、取り戻そうと競馬で十万掛けて、負けたからカジノで百万掛けて、負けたから宝くじ一千万買って、当たらなかったから闇金融(たしか、女神金融って名前だったような……)から借りたお金で一億円の株を買ったら一億五千万に上がったんだけど……利子が膨れ上がって結局、三億円借金したんだった……！！」
フレイヤ「なんでどんどん賭ける金額を増やしてんのよ――！一気に取り戻そうとしてバッカじゃないの！？最後、株に投資してちょっと取り戻してんじゃねぇ――よ！！」
マーサ「感染症拡大を予測してマスク製造の会社の株をたくさん買ったんだ……へへっ！」
少しテレながら説明する。
フレイヤ「「買ったんだ」じゃねぇ～よ！結局、三億円も借金してるじゃねぇ～か！天界で「あ、こいつ借金返せね～な！異世界で払わせよう！」ってことになったのよ！」
女神フレイヤが怒るたびに激しく揺れるおっぷにをさりげなく覗くマーサ！
フレイヤ「ナレーション！！さっきから『おっぷにおっぷに』うるせ――！！！なんだよ、おっぷにって！！？」
<ナレーション>………すいません。
怒られた……。
マーサ「……誰と話してるの？でも、そのおかげで『異世界転生』できた訳だし、ラッキーだね！」
フレイヤ「……あんたはポジティブが過ぎるわね」
女神は「はぁ～」と長めのため息をついた。
マーサ「それにしてもなんでAV男優……？」
フレイヤ「普通の職業で三億円も返せると思ってるの！？この世界にはエルフやらモフモフ(獣人族)やらヤラシイ格好した奴らが多いのに誰も襲わないし、風俗すらないのよ！この世界の男たちは無欲なの？バカなの？」
マーサ「そうですよね！俺も思ってました！女の子みんなエロい格好してるのに、男どもはチラッと覗くだけで、声もかけない！人畜無害すぎて、男どものことを心の中で『人畜無害君』と呼んでましたよ」
フレイヤ「お前、ひどいな……。覗きがバレそうになって、村長の家を全壊(×二回)させたの、上で(天界で)見てたぞ」
マーサ「……それは、ごめんなさい」
それは、大いに反省する。
フレイヤ「とにかく、そのURスキル『AV男優』で稼いで稼いで稼ぎまくりなさい！まずは一週間で十万ノーエッチ返しなさい！」
マーサ「そんなに！？……ノーエッチ？」
ノッチ「王国の通貨単位よ！私、女神フレイヤ・ノーエッチの名前が使われてんのよ。すごいでしょ！」
マーサ「その……借金、返せないとどうなるんですか？払えなかったら身ぐるみ剥がされて海に捨てられるとか？」
フレイヤ「そんなことしないわよ！安心して！ただ、私の女神像に生まれ変わって、道端に置かれ、借金返済分の『お賽銭』が貰えるまで放置されるだけよ！」
マーサ「……が、がんばります」
想像して、ゾッとした……。
フレイヤ「ステータスはいつでも見れるから、ちゃんとコツコツ返済するのよ」
マーサ「……本当だ。ステータスの右下に▲3000000000ノーエッチって書いてある！」
すごい桁である。
フレイヤ「あ、最後にもう一つ、ステータスにKPってあるでしょ」
マーサ「あ、ほんとだ。KP10あります。これはなんですか？『カリスマポイント』ですか？」
フレイヤ「あんた、ほんとにおめでたいわね…。KPは穢れポイントの略よ！あなたが不幸になればなるほどポイントが貯まって、スキル『AV男優』が使えるから！」
マーサ「ええ！？不幸がポイントに！！？なんで、そんな嫌がらせみたいな設定なの……！！」
フレイヤ「えっ！？……な、なんとなく？あんたが楽しそうだとムカつくからかな！ま、いいじゃない！細かいことを気にしないの！んじゃね！帰るわ！ばいば～い！」
マーサ「え！ちょっと、待っ……行っちゃった……」
女神フレイヤはマーサの言葉を最後まで聞くことなく天界へ帰っていった。
マーサ「まっ、なんとかなるかな……！」
マーサはポジティブ中のポジティブだった！
シホン「おや？今、誰かいましたか？」
どうやら女神フレイヤはマーサにしか見えていなかったらしい。
マーサ「え……いや……別に……」
シホン「そう……。では、とっとと帰ってください。私は聖堂の清掃で忙しいので」
そういうと、シホたんは先ほどマーサがペタペタ触った女神フレイヤ像を寝れタオルで拭きはじめた。
手を伸ばして一生懸命に拭き掃除をしているシホたんをバレないように下から覗き込む。
シホたんが激しく左右に手を動かすと、どんどんスカートが上に上がっていった！
少しずつ……だが、確実に上がっていくスカート！
まるで雲に隠れた山の頂上がゆっくりとその姿を現すかのように……。
ついに、シルク素材のショーツが神々しくその姿を現した！
シホン「……あっ！」
慌てた様子で下着を隠しながら振り返り、あまりの出来事に固まって動けないマーサにこう、つぶやいた――。
シホン「……えっち」
マーサ「し、失礼しました――！！」
顔を真っ赤にしながら走り出すマーサ。「なんか、AVみたいだった……！！」と、非現実な体験を不思議そうに思いながらも、シホたんのシルクのショーツが頭から離れず、ニヤニヤしながらダッシュで聖堂を後にした。
この時マーサは、自分と自分に関わる女の子の運命を大きく変える力を手にしたことを、まだ知るよしもなかった――。
【♀♂♀異世界ハーレム生配信『転生したけどスキルAV男優ってなに？』！】
ここに、堂々開幕！！
