4 少尉の想定していない解決
幸彦少年と別れた新伍は、貢とともに緑色の瓦屋根の2階建ての病院を目指して歩いた。
足の速い貢に合わせて歩くと、あっという間に近くに見えてくる。
「それで、本当にあそこの病院に高輪祐一が来るんですね?」
歩調を緩めぬまま、貢が問うた。
「えぇ、呼び出しが成功すれば。あ……」
新伍は答えた瞬間、目の端にその男の姿を捉えた。
痩せた男で、着物は酷く汚れている。
病院の外壁に沿って行ったり来たりしていたかと思うと、足を止めて上を眺めた。
貢の足がグンと早まった。新伍は慌てて追いかける。
不審な男は、立ち止まって束の間、何か考えていたようだったが、突然、近くの木に登り始めた。
ただ楽しむために登っているのではない。男の目はじっと一つの窓を見据えている。男の目的は、この病院の2階だ。木を伝って侵入するつもりだろうか。
しまったーーと思うよりも疾く、貢が男の身体を捉えていた。腰を掴んで木から引きずり下ろす。
「少尉!」
新伍が追いついたとき、貢はすでに男の身体を膝で上から押さえつけ、右腕を背中に捩じ上げていた。
貢の鋭い目が光り、凍えるような声が響く。
「高輪祐一だな? 白昼堂々、善良な医院に侵入するとは、大胆な。私は二度は逃さぬぞ」
少尉の下敷きになっている男は唸るように絞り出す。
「あ……あんた、誰だ? 俺が一体、何したって……」
「単刀直入に言おう。お前の企んでいることについて、全て吐け」
「お……俺が企んで、いること?」
「しらばっくれるな。間諜は重罪だ!」
貢が腕を強く引いた。空いている方の手で、着物の襟首を掴んで絞める。男が「ヒッ!!」と苦しげに息を呑んだ。
だが、無慈悲な貢は、表情一つ変えない。
「私は陸軍少尉、藤高貢。この国を陥れようとする人間を決して許さない」
「待ってください!」
襟を絞め上げる貢の腕を、新伍が掴んだ。
「少尉、誤解です。その人は多分、間諜じゃありません」
貢が、鋭い三白眼をぎょろりと新伍に向けた。
「少尉の志は、僕もよく存じています。しかし、貴方は時々、自らの本分を全うしようとするあまり、思考が狭くなるときがある」
桜子の婚約者候補だったときも、そうだった。自分の定めた道と生き方のためなら、相手の事情に思いを馳せることを忘れて、真っ直ぐな矢のように突き進む。だから、桜子を無用に怖がらせた。
「その人に、危険はないはずです。どうか少し手を緩めてください。そのままでは気絶してしまいます」
新伍に諭され、貢はゆっくりと襟首の手を外した。息が通るようになった男が「ハッハ」と浅い呼吸を繰り返す。
だが、貢の纏う冷えた鋭い空気は、少しも緩まない。
「五島さん。貴方の説明で、あの暗号が子どもの遊びであることは分かりました。ですが、それとこの男が間諜ではないということとは別問題です。ここから先は私の領分だ」
「少尉のおっしゃるとおりです。ですが、まずは高輪さんの言い分も聞いてみるべきでしょう。ここに彼を呼び出したのは僕ですよ。僕に話をさせてください」
新伍の主張にも一理あると思ったのだろう。自分の下に組み敷かれている男を一瞥すると、新伍に向かって、先を促すように顎を小さく引いた。
それを許可とみた新伍が貢に頼む。
「話を続ける前に、高輪さんを離していただけませんか?」
「それは出来ない」
貢が即答した。だが、それでは困る。この姿を晒したくはないのだ。
「……少尉には、兄弟はいませんよね?」
「えぇ、いません」
「僕も一人っ子なので、あまり分からないのですが、桜子さんなんかを見ていると……」
「桜子さんも兄弟はいないでしょう?」
「兄や姉のように見守ってくれるイツさんや東堂樹さん、弟のように可愛がっている従兄弟がいます。そんな桜子さんを見てるせいか、高輪祐一さんの気持ちもわかる気がするんです。つまり………」
新伍は上を指さした。貢が顎を上げて指先を追う。
そこには青い顔した男の子が2階の窓から外に向かって顔を覗かせていた。
男の子は視線を感じたのか、慌てて身体を引っ込めた。
「病室の位置と背格好からして、彼が田之上完二くんでしょう。あの病室からなら、長屋の壁がよく見える」
貢は、男の子の姿が見えなくなった窓と、自分の下敷きになっている男を見比べた。
「つまり、あの少年が高輪祐一の弟か、それに類するような存在だと。この男は、あの少年のために病院に忍び込もうとしたということですか?」
「僕は実の弟ではないかと思っています」
だから、いつまでも、このような姿を見せたくはない。
少しの間、新伍と貢の睨み合いが続いたが、やがて貢が小さなため息をついてから、「仕方がありませんね」と、祐一の上から降りた。
腕だけは後ろで固めたまま、身体を起こして座らせる。
祐一が座り直すのを待って、新伍が尋ねた。
「高輪さん、貴方と田之上完二くんの関係を改めて教えてください。姓は違いますが、完二くんは貴方の弟で合っていますか?」
何度か逡巡するような素振りをみせてから、不健康に頬の痩けた顔が、ゆっくりと頷いた。
「私が帝大に入学してすぐの頃に、両親が立て続けに亡くなりました。私と弟の完二、二人だけが残され、それで私は完二を遠い親戚の田之上家に養子に出したのです。完二は、まだ4歳でした」
帝国大学に通い始めたばかりの祐一は、海外文学にも多数触れ、日々、気の合う仲間とカフェで談義に花を咲かせた。語学の読解が得意で、英語だけでなく、ドイツ語、フランス語、ロシア語まで読み書きできるという。
カフェで知り合った仲間を介して、海外の本や手紙の翻訳を頼まれることもあった。
「本音をいうと、その頃の私の毎日は充実していました。幼い子の面倒など見ていられない程に……」
弟の完二も、年の離れた兄に養育されるより、父母が揃っていたほうが何かと都合が良かろうーーー祐一は、そう考えた。
「ですが、時が経つにつれ、充実していたはずの仲間との交流に段々と嫌気がさしてきました。相変わらず、いろいろと翻訳を頼まれるのですが、その内容が……なんだか違和感が出てきましてね」
普通の手紙のように装っているけど、何か不自然。あるいは、明らかに日本軍の機密文書ではないかと疑われるような内容が含まれている。
「そんなとき、ふと置いてきた弟が気にかかり、田之上の家の近くまで、見にいったんです。そしたら……完二のやつ、すぐに私を見て、気づいたんです」
「別れたのは4歳の時ですよね? 完二くんは高輪さんのことを覚えていたんですか?」
「えぇ、驚くことに覚えていました。私のことを見て、『兄ちゃん』って呼んだんです。『いつか兄ちゃんが迎えに来るって、ずっと信じていた』って……」
祐一が感極まった様子で言葉を切った。
「私はその足で、すぐに田之上の家に行って、完二を引き取りたいと願い出ました。だが、けんもほろろに断られた。完二は、すでにうちの子だと言われ、返す言葉もありませんでした……」
祐一が悔しそうに歯を噛みしめる。
手離したのは自分だと分かってはいるけれど諦められなかったようだ。
「私は何とか完二を取り戻したいと、すぐに危ない橋を渡るような関係からは手を引きました。そして、時々こっそりと完二の顔を見に行きました。完二は私と会うととても嬉しそうだった。ですが、ある時、急に完二を見かけなくなって……」
祐一が、その先を言い淀む。躊躇うように貢の様子を見た。
それで、代わりに新伍が尋ねた。
「完二くんと会えなくなって心配になった貴方は、田之上家に忍び込んだのではないですか?」
祐一が項垂れて、「そうです」と素直に認めた。貢の目つきが厳しさを増す。
「忍び込んだ? 空き巣は犯罪だが?」
貢が後ろで拘束していた手を絞め、祐一の顔に苦痛が浮かんだ。
「申し訳……ございません…」
「少尉。正論ですが、話が進みません」
新伍が止めると、貢が仕方なしに手を緩めた。ホッとした祐一の額に汗が滲む。祐一は何とか、話の続きを語る。
「完二は学校帰り、いつも決まった時間に決まった道を通ります。会いに行くのは2週間に一度程ですが、ある時、姿が見当たらず…翌日も行ったのですが会えなくて、どうにも気になり、田之上の家に聞きに行ったのですが全く相手にされなかったのです」
「それで、手がかりを求めて、田之上家の留守を狙い忍び込み、完二くんと友人の幸彦くんの手紙を見つけたんですね? それを持って帰り、貴方は暗号を解いたのですよね?」
「そうです」
だいたい新伍の考えた通りだ。
「五島さんは、何故、高輪祐一が暗号を解いたことが分かったのですか?」
「この暗号にある場所、ひょうたん池や大赤松塚、お化け森神社に高輪さんが現れたからですよ」
貢の質問に、新伍は徳助に場所を聞いた後、実際にそれらの地に足を運んだことを告げた。
「高輪さんも、これが場所を表すものだとアタリをつけたのでしょう? 顔見知りの子どもばかりがいる場所に、見慣れぬ大人が現れれば目立ちます。遊んでいた子たちに聞いたら、彼らは、痩せて汚れた着物を着た貴方のことをよく覚えていましたよ」
祐一は語学にも長けていた。だから新伍は、彼がこの暗号を解けただろうと判断した。
「同時に僕は、高輪さんの行方についても調べました」
新伍は、自分がどうやって祐一の居所へ辿り着いたのかを二人に話して聞かせた。
「帝国大学に籍を置いていたのは幸いでした。声をかけてツテを辿れば、高輪さんを知っている人間に行き当たりましてからね」
祐一が出入りしていた店や、同好の集まりの情報を仕入れた。中でも、よく通っていたカフェは、珈琲のお供にチョコレートを出す店だ。
高いチョコレートを買いがてら話を聞いたら、近頃、祐一は店には来ていないが、カフェの女給が個人的な付き合いがあると分かった。
祐一は昔の仲間を避けているようだが、新伍は、その人たちとは雰囲気が違ううえ、祐一の家族のことで話をしたいと言ったから、女給がこっそり教えてくれたのだ。
「それで僕は、例の暗号を使って書いた手紙を、その女給さんに託しました」
内容は、今日の日付けと時間、そして、この病院の場所だけ。それだけで祐一は、弟に関することだと気づくだろう。
見た途端、勢い余って突撃してこないよう、今日の昼過ぎに渡るように頼んだ。
「居場所が分かっているなら、その女給を問い詰め、我々で乗り込んで行ったほうが手っ取り早いのでは?」
回りくどいことを嫌う貢らしい。
「勿論それも考えました。ですが、僕はこの人は間諜ではないと思っていたので、それよりも、ここに呼び出して話をしたほうが、少尉の誤解を解きやすいだろうと考えました」
新伍がそう答えた時、子どもの声が割って入った。
「あの…!」
皆が振り向くと、男の子が二人、こっちに向かって駆け寄ってくる。
一人は2階から見下ろしていた田之上完二、もう一人は先ほど別れたはずの千曲幸彦だ。
「完二!? いいのか、外に出て…?」
驚いた祐一が立ち上がろうとしたが、貢に捕まれた腕のせいで後に引っ張られて尻もちをついた。
祐一の質問には、完二ではなく、幸彦が訳知り顔で答えた。
「大丈夫だそうです。完二は、もともと明日には退院の予定でした」
「あぁ。やはり君は、この病院のご子息だったのですね」
幸彦が「分かっていたんですね」と、頷いた。
マザーグースを引用するなど、それなりに学のある家柄だろうと思っていたが、幸彦の名を聞いたときに、新伍は確信した。
この病院の名は千曲医院だから。
「しつこい菌が悪さして、一時は危なかったそうですが、千曲先生のおかげで僕は、すっかり良くなりました」
完二は祐一の隣に来ると、地面に座って「申し訳ありませんでした」と、頭を下げた。
「何故、完二くんが謝るのですか?」
新伍が尋ねると、完二の視線が貢に捕まれた祐一の腕に向かう。
「兄さんが何かしたのですよね? だから、軍人さんに捕まったのですよね? でも、兄さんは決して悪人ではありません。その…多分、僕に会うために無茶をしただけで……」
完二が、必死に弁明を重ねようとする。
その姿を見て、胸にくるものがあったのだろう。祐一も涙ぐんだ声で、頭を下げた。
「……申し訳ありません」
祐一の土下座に、貢が固めている腕を離した。
静かに二人が頭を下げる。
新伍は、地面についた祐一の手に視線を向けた。
「高輪さん。完二くんを引き取るために、随分と無理をしたのではないですか?」
手はカサカサと乾き、細長い指は節くれ立っている。爪の間には黒い土が奥深くまで入り込んでいた。
服は土埃まみれてヨレヨレだ。ただの荷役の仕事にしても汚れが酷いから、煉瓦か土嚢でも運んでいるのだろう。
「得意でもない力仕事に、精を出されたようですね」
「……せめて何かしないと、完二と暮らしていけるって証明するために金を稼がなくてはならないと、大学を中退してがむしゃらに働きました」
「それだけ語学に堪能なら、他に仕事があっただろう? 商社なんかでも、通訳できる人間なら大歓迎のはず」
貢が心底疑問だというように口を挟むと、祐一は「どうでしょう?」と自嘲気味に言った。
「私は読み書きは得意ですが、会話はあまり経験がなくて……それに、翻訳の仕事でおかしなことに加担されかけたので、疑心暗鬼になっていまして。それなら、いっそ別の仕事に就いたほうが良いと思ったのです」
貢が縁日の晩に見たのは、古い知り合いに、また翻訳を頼みたいと言われて揉めているところだったらしい。
「私は、弟のためにも変なことに巻き込まれるのはゴメンだと断ったのです」
だが、逆上した相手に殴られた上に、腹いせに金をとられた。いつか弟と暮らすために一生懸命貯めた金だった。
「いつか……いつか、完二のために……胸を張って、完二を迎えにいける兄貴でありたかったんです」
祐一の肩が小刻みに震えている。
その横には同じ姿勢で真っ直ぐと貢を見つめる弟の完二。
しばらく、その様を眺めていた貢が、ふいに、それまで纏っていた冷たい空気を解いた。新伍の方に向き直る。
「五島さん。ご迷惑をおかけしてすみませんでした」
「少尉、僕は謝られるようなことは何も……」
「暗号を解いた。高輪祐一を引きずり出した。全て私がお願いしたことに対して、結果を出してくださいました…が、やはり、これは私の想定していた結論とは違いました。お手間をおかけしました」
事件の幕を下ろそうとする貢を、新伍が止めた。
「ちょっと待ってください。結論は確かに違いました。でも、だからといって、無駄骨ではないでしょう?」
「……どういう意味です?」
鋭く合理的な貢にしては珍しく、自分が得たものに気づいていないらしい。
「少尉は初めに仰ったじゃないですか。解くのが僕のなすべきことであり、それを活用するのが少尉の役目だと。僕が解いた答えを、少尉が上手く使ってください」
新伍は、頭を垂れたまま、弟に寄り添われている高輪祐一を示すように、チラリと目配せしてみせた。
◇ ◇ ◇
それから数日後の昼下がり。
胡条邸の庭に置かれた椅子に腰掛けた桜子が尋ねた。
「新伍さんが連れてみえた、あの新しい方……とても語学が堪能な…えぇっと、名前は何て言ったかしら?」
「高輪さんですか?」
「そうね、高輪さん。物静かだけど、とても優秀な方だと聞いたわ」
新伍がどこからともなく連れてきた男は、何ヵ国語もの読み書きができるらしい。今は、胡条財閥で雇っている。
「新伍さんと同じ、帝大で学ばれたのでしょう?」
「海外文学に興味があり、それを読むために、書物で勉強したそうです。実際に海外の方と会話をした経験はほとんどないということですが、話す機会を作れば上達するのではないかと思います」
目の前の木にもたれかかって腕組みしている新伍が、穏やかに答えた。
桜子の膝の上には、新伍が買ってきてくれたチョコレート。錫紙に包まれている。
天気がいいから、庭で食べることにしたのだ。
「高輪さんの語学力は少尉も高く買っています。いずれ軍の仕事も頼みたい、と」
新伍が連れてきたときは顔に張り付くようなボサボサの長髪も、今は短く刈り上げ、すっかり綺麗に整えた。服も洋装に変わり、別人のようだ。
食が細く、相変わらず骨に皮が張り付いたみたいに痩せた手足は心配だけど。
「少尉と親しくしておくのは、高輪さんにとっても良いことなんです。勿論、少尉にとっての利もあります」
厄介事に足を突っ込みかけていたという話だったので、きっとそのことだろう。
「弟さんを引き取れるかしら?」
それが高輪祐一の希望であり、目標だといえことは聞いている。
新伍は、やや遠くを見て答えた。
「…どうでしょう? 一度養子に出していますし、簡単ではないでしょうね。今は、少なくとも兄としての交流を堂々と認めてもらえるように頑張りたいと言っていました」
その気持ちを手助けしたいと、桜子の父に引き合わせた新伍。もちろん、能力の高さを活かしてもらえるなら、胡条にとっても悪い話ではない。
飄々と冷めているようで、人を見捨てない。桜子は、新伍のそういうところが好きだった。
胸に温かい気持ちを抱いて見つめていると、新伍が桜子の膝の上に広げたチョコレートを指した。
「食べないのですか?」
「あっ……えぇ」
「先日と同じ店のものですよ。桜子さん、ここのチョコレート好きでしたよね? お代は少尉に頂いているので、お気になさらず」
「好き……なんですけど……」
祐一の話をしていたら、あの細い手足を思い出した。それに比べて、自分の手足や頬ときたら……
「私、ここのところ甘いものばかり食べ過ぎかしらって…最近、顔も少し丸くなってきた気がするし」
新伍が、あれやこれやと買ってきてくれるから、つい食べ過ぎてしまうのだ。
すると、木にもたれていた新伍が、近づいてきた。腰を屈めて、桜子の顔を覗き込む。顔が近い。
「うーん……別に変わってませんよ? 初めて会った晩と同じです」
新伍がクスリと笑って、桜子の隣に腰掛けた。錫紙を取って、包を開けると小さなチョコレートが4つ並んでいた。
「桜子さんは、今のままで十分可愛らしいし、何よりーーー」
チョコレート乗った錫紙を桜子に向けて差し出した。
「甘いものを食べているときの、桜子さんの幸せそうな顔が、僕はとても好きなので」
新伍の目尻が優しく下がる。
さらりと言った台詞に深い意味はあるのかしら。
どうぞ、とばかりに差し出されたチョコレート。一つ摘んで口に入れる。
舌の上でチョコレートが溶けると、桜子の心を満たすように、甘く染み渡っていく。
新伍も一つ取って、口に運んだ。
「うん。美味いですね」
子どものように破顔した新伍につられて、桜子にも笑みが溢れた。
ー SS『少尉と書生探偵』 完 ー
この話はここで終了ですが、少しだけ休憩を挟んでから、長編を書く予定のため、ステータスは引き続き「連載中」にしておきます。
ブックマークやリアクションをいただき、ありがとうございます!
少尉と新伍の絡みを書けて大変満足でした。笑(次作は今のところ、少尉がほとんど出なくなりそうなので)
引き続きお楽しみいただけると嬉しいです。