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「ご主人様? 疲れたのですか?」


「えっ 魔力を全て使っただけだよ。今から寝るだけだからね」


「そうでしたか?」


「ほら。修復が使えるって言っただろ。寝る前に全ての魔力を使ってバスを修復したんだよ。まあ~まだまだボロボロだけどね」






俺は寝る前に魔力を全て使ってバスを修復している。遭遇する魔物は上る度に弱くなっていくが、俺達のレベルは上がってきたので、もう安全に脱出出来るだろう。


ダンジョンを出た後は……街に戻るのは危険なので……このバスを使って他の街へ行くのがいいかも?


俺達3人だけでなく……6人の孤児達も望めば一緒に連れて行ってもいいのかもしれないね。






「あつし様。次は10階です」


「あ~ ボスが出るのか」


「でも安心してください。私1人でも倒せると思います。剣で戦ってもよろしいでしょうか?」


「えっ? 魔法銃があるのに?」


「いつ壊れるのか分かりません。強力な武器は温存した方がいいと思います」


「あ~ 壊れても直せるから壊れるまで使っていいよ。それに10階のボスを倒せば後は楽勝なんだろ?」


「そ そうですね」





10階のボスはあっさりとノルンが1人で倒し、俺達はダンジョンを進んでいった。








そして……2階まで辿りつけた時……。


(あの女性は……)


1人で座り込んでいる女性。


仲間はいないようだが……。


「え~っと こんにちは。……。こんにちは……。運転手のあつしです」


座り込んでいた女性が驚きながら顔を上げた。


そして……立ち上がり……俺に抱きついてきた。


(おおっ ってどうしたんだろ?)


「大丈夫ですか? どうして1人でダンジョンに?」


「捨てられました。私は……。王都には連れていけないと……」


「えっ? 他の人は?」


「生徒達は……王都へ。私だけ……スキルポイントが0だったので……英雄にはなれないと」


そう言うと俺にギュッと抱きついて……声を出して泣き始めた。


(スキルポイントがない? もしかして……俺と一緒で覚えたんじゃないのか?)


「え~っと 先生の名前は?」


「……カオリです」


「カオリさんは……もしかしてスキルを覚えたんじゃないかな? ○○を修得しますかってステータス画面に出て来ませんでしたか?」


「は はい。はいを選びました……」


「やっぱり。俺もです。たぶんですけど……俺達にもスキルポイントがあったのかも。使ってしまったから無くなったのではないかな? 凄いスキルを覚えているかも?」


「……私のスキルは……使えそうにないと言われました」


「あ~ ゴメン。ちなみに?」


「……最初に覚えたのが、マップです。どこに行けばいいのか考えていると表示が現れました。ありふれた特殊スキルだそうです」


「あっ そ それで街の場所が分かったのか。もしかして魔物を焼いていたから火の魔法も?」


「あれは調理です。食料をどうするのか考えている時に現れました」


「そうなんだ。他にも?」


「はい。私は3つ。もう1つは鼓舞です。眠そうな運転手さんを……あつしさんを応援している時に現れました」


「そうか……。あ~ そういえばカオリさんに応援された時に元気が出ましたね」


「全て役に立たないスキルだそうです。これから……どうしていいのか……」


「え~っと 護衛は?」


「いません。私には金貨100枚だけを」


(ん? 100枚? え~っと1人ならそれなりに暮らせていける金額かな?)


「え~っと アリス ノルン。仲間が増えてもいいかな?」


「ふふふっ 私はご主人様に従います」


「はい。あつし様の仲間は私の仲間です」


「カオリさん。よければ一緒に行動しませんか?」


「いいの? 私達は……あつしさんを騙して……」


「やっぱりこの世界に俺が来たのはカオリさん達が原因でしたか?」


「はい。生徒達がこの国の王様と契約したのです。ゲートが現れる場所に行くためにバスを頼みました」


「はぁ~そうでしたか」


「ごめんなさい。本当に異世界に来れるなんて思ってなくて……。生徒達との最後の思い出にバスであの辺りを旅行して終わりだと思っていたのに……本当に来れるなんて……ごめんなさい」


「もういいですよ。謝られても戻ることが出来ないですからね。とりあえず安全な場所で生きることを考えましょう」


「おねがいします」


「ふふふっ 私はご主人様のメイドのアリスです。カオリさん。よろしくお願いします」


「私は剣士のノルン。カオリさん よろしくです」


「はい。カオリです。カオリって呼んでください。よろしくお願いします」









俺達は無事にダンジョンを脱出することが出来たのだが……。


「君達はどうする? 俺達は他の街に行くつもりなんだけど、よかったら一緒に来ないか?」


「えっ? お兄ちゃん。連れて行ってくれるの? 行きたいけど……。他の子達も一緒じゃダメですか?」


「他の? あっ そうか……兄弟姉妹や友達がいるのか……。え~っと 俺の仲間を含めて45人……多くても53人が最高かな?」


子供達は笑顔になり6人で話しを始めた。人数を確認しているようだ。


「お兄ちゃん。僕達は37人だよ。いいかな?」


「ああ。それなら余裕かな? 荷物はあまり入らないけどね」


「それなら大丈夫さ。何も持ってないから」


「あ~ごめん。え~っと 俺達は街に戻ると命を狙われる恐れがあるから……待ち合わせはここでいいかな?」


「うん 分かった。すぐに皆を連れてくるね」


子供達は笑顔で街へと走っていった。


「あの~ どこかに行くの?」


「ああ 俺のバスで観光にね」


「えっ?」


「「 ふふふっ 」」






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