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(え~っと ここは日本じゃないと思うけど……日本語?)


俺達の周りには剣や槍を持った兵士達が日本語で話をしている。


「英雄様方。ご無事で。王都からの迎えが到着するのは5日後になるので、出発も5日後になります。それまでの間はこの街アノルルに滞在してください」


(やはり……俺以外の人は状況が分かっているのか? 俺が理解力がないだけ? いや……さすがにヘンだよな?)


兵士の1人が困惑しながら言った。


「あの~ 32人いますよね? 契約されたのは31人のはずですが?」


(契約? 何のことだ? もしかして俺以外の人は分かっていてここに来ているのか?)


一緒に来た全員が俺に注目をする。


それに気づいた兵士が俺に聞いてきた。


「あなたは契約していないのですか? どうしてこの世界に?」


(えっ 意味が分からないんだけど……)


俺が困惑していると可愛い女性教師が俺の代わりに話をしてくれた。


「運転手さんが私達をここまで送り届けてくれました。私達が無事だったのは運転手さんのおかげです。運転手さんは元の世界に戻してあげてください」


兵士が頭をポリポリと掻きながら困った表情で言う。


「そうでしたか……。すいませんが……その……戻る方法はありませんよ。この世界とあなた達の世界が繋がるのは5年に1度だけですから、戻れる可能性があるのは5年後になりますね。まあゲートを繋げる【神銀宝石】を手に入れるのは困難なので……無理だと思った方がいいと思います」


(えっ? 帰れないってこと? チャンスがあるのは……5年後?)


兵士が少し考えた後で、ちょっと待ってくださいねっと言って、走り去っていった。


(違う世界? 何がどうなってるんだよ?)




兵士が戻ってくると鑑定をさせて欲しいと言って来た。


俺が素直に応じると水晶のような丸い玉を俺の目の前に持って来て、手を乗せてくださいと。俺は素直に右手の手のひらを水晶のような玉の上に乗せた。


「あ~ダメですね。スキルポイントが我々と同じように0です。英雄様の資格はないようですね。あなたは自由に行動していいですよ」


(えっ? 英雄の資格? もしかして俺以外にはあるってこと?)


「え~っと 自由にと言われても……」


「この街で働いてもいいですし、冒険者になってもいいと思います。あなたの自由にしてくれて大丈夫ですよ」


(いやいや全然大丈夫じゃないんだけど。文無しで放りだされても困るんだけど?)


「ねぇ。私達を無事にこの街まで送ってくれたんだから、運転手さんも王都に連れていってもいいんじゃない? 王様に言ってよ。運転手さんは英雄を救った英雄だよ。ねえ、みんな」


「さっすがスズちゃん。そうよね~。運転手さんのおかげで無事にたどりつけたのよね~。私からもお願いするよ。みんなもそう思ってるでしょ」


(おおっ。生意気なガキ共だと思っていたのに大人の対応を。まあ20歳って言ってたか。これで助かるのか?)


全員が俺を一緒に王都に連れて行くようにと言ってくれたので兵士は困惑して走ってどこかへ行ってしまった。


(何だか助かったぽい雰囲気だけど……。この世界で生きていくことにはかわりがないんだよな~)




しばらくして兵士が誰かを連れて戻ってきた。


「私はこの街の領主マルドです。王の命令であなたに金貨30枚を渡し、2~3人の護衛をつけることになりました。護衛の給金は国が出すので護衛はあなたが生きている間、あなたと共に行動してもらいます。護衛の兵士を選んでもらいますので、私の屋敷に来て頂いてもよろしいですね」


「えっ は はい……」


(え~っと。俺は別行動? 金貨を……お金をくれるってことだよね)


領主マルドは歩きながら……後ろの俺にも聞こえるように独り言を。


「何を考えてるんだ王は。兵士を護衛に出せだと? この街の現状を理解出来ていないのか。くそが」


(はぁ~。周りにも聞こえてますよ~。王様の悪口言ってもいいのか?)





立派な屋敷の中に入るとすぐに大きな部屋へと通された。そしてすぐに沢山の兵士が俺の前に。


(おおっ 確かに強そうだ。あの化け物共を倒せるのかな?)


「王からあなたに2~3人の兵士を自由に選ばせるようにと命令を受けていますが……すいませんが……この街の周辺の魔物も増えていて大変な状況なのです。すいませんが……2人だけにしてください。お願いします」


領主マルドは頭を下げているのだが……下げているだが……その目は鋭く……俺を睨んでいる。


(怖いよ。これは脅しだよね? はいって言えって言ってるんだよね? でも俺も生活が……命がかかってるから強そうな兵士を選ばないと)


「2人でよろしいですよね?」


「えっ その……はい」


俺は脅しに負けてしまったよ。怖かったんだから仕方ないよね。


「ははははは。そんな怖がらないでもいいですよ。どうですか? あなたは女性の護衛の方がいいのではないですか?」


年配の執事が笑いながら優しく話しかけてきた。


「えっ? 女性もいるのですか?」


「もちろんです。これから24時間、毎日共に過ごすことになります。むさ苦しい男よりも可愛く若い兵士の方がいいのではないでしょうか?」


(おおっ この執事さん話しが分かるいい人だ。素晴らしい)


「そうですね。女性だと嬉しいですね」


「ははははは。そうでしょ、そうでしょ。誰か。ノルンを連れて来てください。それからお茶と茶菓子をすぐに。旦那様。後は私に任せて下がってください」


「そうか。ふっ 任せたぞ」


怖い顔の領主マルドの顔がゆるみ、部屋を出ていった。


(この執事さんは力もあるのかな? 信用されている偉い方なのかも?)


すぐに可愛い可愛いメイドさんが俺にお茶と茶菓子を持って来てくれた。長い綺麗な金髪でぱっちりした大きな瞳。そして……おっぱいが大きい。


俺が見惚れているとメイドさんはクスクスと笑いながら茶菓子に楊枝をさした。


「ふふふっ あ~んしてくださいね」


「えっ うん あ~~~ん」


「ふふふっ 美味しいですか?」


「えっ う うん。美味しいです」


「えへへっ もう1つどうですか?」


「えっ お お願いします」


「ふふふっ」


(可愛いっ。いい匂いもするし……。たまらん)





俺がメイドさんと幸せな時間を過ごしていると青髪の女性兵士が執事と一緒に俺の前に移動して来た。


「どうでしょうか? あなた様の好みに合いますかな?」


「えっ はい。物凄く好みです」


可愛い青髪の兵士。20歳くらいだろうか? 剣を持っているが……兵士には見えないくらい可愛い。


「ははははは。そうですか。よかったなノルン。今日からこの方に仕えるのだぞ」


「はい。ノルンです。よろしくお願いします」


「え~っと あつしです。よろしくお願いします」


「ははははは。決まりですな。そうそう。あつし様。こちらのメイドはどうでしょうか?」


「えっ とても可愛いですけど……」


「ははははは。ではメイドのアリスもあつし様にお仕えするということでよろしいですか? アリスは回復魔法も使えるので役に立つと思いますよ」


「えっ いいのですか? 俺は嬉しいですけど」


「ははははは。決まりですな。アリス。今日からあつし様にお仕えしなさい。給金は国からこれまで以上に実家に送られることになっているので安心して仕えるように」


「はい。アリスです。あつし様 よろしくお願いします」


「あ あつしです。よろしくお願いします」


「では あつし様。こちらが小金貨30枚になります」


「ありがとうございます」


「ははははは。ではこちらへどうぞ」


「えっ は はい」







(あれっ? 外?)


「では あつし様。よい旅を」


「えっ?」


(あれっ? 護衛は? もしかして……ノルンとアリスだけ?)


……


(もしかして……執事に騙された? いや ノルンもアリスも可愛いけど……。嬉しいけど……。これでよかったのか?)








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