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「あつし様 聞いてください」


「どうした ノルン? 慌てて?」


「子供達が盗賊退治の依頼を受けたそうなんですよ。危険なのに」


「え~っと 子供達だけだと……やばそうなのか?」


「はい。ギルドが討伐依頼を出した時の盗賊の人数は30人でしたが、新しい情報では100人を越えているそうです」


「えっ? 3倍以上?」


「はい。更にもっと増えているとの情報があります。どんどん集まっていると」


「え~っと……なんで?」


「わかりませんが……もしかして……私達の住んでいたトロティムク王国の派閥争いに関係があるのかも? 誰かが……この国に逃亡しているのかも?」


「逃亡しているのが……悪い人なら盗賊に頼まないよね?」


「それは分かりませんが、どうしますか?」


「子供達はもう俺の家族みたいな感じなんだよね~」


「ふふふっ 行きましょう。ご主人様」


「あつしさんが行くなら問題解決ですね」


「はぁ~ 人とは戦いたくなかったんだけどね~。仕方ない。行こうか」


「はい。私があつし様を守ります」





俺達は街の北へと向う。盗賊の噂が広まっているのか、いつもいるはずの冒険者が1人も見当たらない。


「街から離れたからバスで行くよ。間に合わなかったら意味がないからね」


「ふふふっ。ご主人様、盗賊を殲滅しましょう」


「ふふっ 負ける気が全然しませんね」


「ふふふ バスの中からの遠距離攻撃なら任せてください」










「ご主人様 いいですよね?」


「ああ。力がバレることよりも、子供達の命の方が大事だからね。全力でやっていいぞ」


「ふふふっ 子供達には手を出させませんよ~ 土魔法【硬弾】」


「水魔法【氷弾】。剣士でも魔法が使えるのですよ」


「遠距離攻撃なら負けません。火魔法【炎弾】です」


魔法銃は魔力を消費しない。高価で壊れやすいという大きなデメリットがあるのだが俺のバスには大量の魔法銃が積んである。


次々に放たれる強力な魔法と初めて見る高速で走るバスに盗賊達は向ってくることもなく逃げ始めた。







「あつしさん あそこに子供達が集まっています」


「おおっ 皆無事そうだね」


「ご主人様。誰かと話しているようですが……。このバスを見られてもいいのですか?」


「まあ~ 仕方ないよ。子供達が無事だったならよしとするよ」


「ふふふっ さすがご主人様です」





俺達がバスを下りると子供達よりも先に。


「「 カオリ先生~~~ 」」


2人の女性がカオリさんに向って走ってきた。


(あっ そういうことか。狙われてたのはこの女性達だったのか)


「ご主人様も知っている方ですか?」


「ああっ あの2人は俺達と一緒にこの世界に来た女性だよ」


カオリさんに2人の女性が泣きながら抱きついている。よほど怖いことでもあったのだろうか。俺は不吉な予感がしてならなかった。


(ん? あの女性は……見たことないよな? 2人の護衛なのかな?)


俺と目が合うと女性は俺の方へと近づいてきた。


「助けて頂きありがとうございます。私の名はイリス。トロティムク王国の第1継承者……でした。父が殺され……そして英雄様達も……。申し訳ありません」


「えっ? 父? それって……王様ってこと?」


「はい。第2継承者だったアダムが謀反を起こしました。他国と協力して……父を。そして英雄様達を」


「えっ? あの2人以外の……英雄は?」


イリスは首を横に振った。


「生き残ったのは私達だけです。英雄様達の力を脅威に思った隣国の国々がアダムに味方して……すいません」


(はぁ。そうなんだ。強すぎる力は脅威だからね。成長する前に……強くなる前にってことか。ってことは俺達もヤバイのか?)


「え~っと どこに逃げているのですか? このフレカルム王国に?」


イリスは首をまた横に振った。


「更に南の国に行くつもりです。英雄様が1人でも生きているかぎりアダムは追跡を止めないでしょう。今は南へと少しでも遠くに逃げるのが先決だと思います。私達には関わらない方が……」


(はぁ~ もう関わっているんだけど……。盗賊達にも見られているしね~。それにアダムが盗賊を雇った可能性が高いよね~)


「あつしさん。カナちゃんとスズちゃんを……。ダメですか?」


「俺は恩は返すよ。スズちゃんには助けられたからね。あの時スズちゃんが言ってくれなかったら俺は文無しで放り出されていただろうからね。アリスとノルンが仲間になってくれたのはスズちゃんのおかげだからね」


「そうなのですか。ご主人様と出会えたはスズちゃんさんのおかげなのですね。でしたら全力で助けましょう」


「あつし様の恩人を見捨てることなど出来ませんよね」


「あつしさん。ありがとうございます」


「え~っと スズちゃんとカナちゃんはこのまま逃亡を続けるつもりなのか?」


スズちゃんは少し考えてから話し始めた。


「自分から望んできたのに……。騙してあなたを連れて来たのに……。私は帰りたいです」


「えっ? 帰る方法はないんだよね?」


イリスが首を横に振った。


「方法は1つだけあります。それは……【神金宝石】を手に入れることです」


「えっ? 確か……それを使っても5年に1度とか言ってたような? それも見つけるのが不可能とか?」


「手に入れるのが難しいというのは事実です。あつしさんが聞いたのは【神銀宝石】のこと。今話しているのは【神金宝石】の話ですよ」


「え~っと どう違うの?」


「神金宝石の方が……入手が難しいです」


(だ ダメじゃん)


アリスが首をかしげながらイリスに聞く。


「もしかして……それを手に入れることの出来る場所を知っているのですか?」


イリスはコクリと頷いた。


「おおっ 俺達は帰れるのか?」


イリスは下を向き話し始めた。


「確実にある場所は分かっていますが……神銀宝石は……ダンジョン200階。そして神金宝石は……ダンジョン300階にあります」


「ふふふっ ご主人様 よかったですね。これで私を一緒に連れて元の世界に帰れますね」


「そうですね、あつし様。私を一緒に連れて帰ることが出来るのですね」


「スズちゃん カナちゃん。あつしさんと一緒に元の世界に戻りましょう」


「カオリ先生? 300階だよ?」


「先生。英雄の力を手に入れた私達でも50階がやっとなの」


「ふふふっ ご主人様と一緒なら問題ありませんよ。ですよね、ご主人様」


「まあ~そうかな?」




「「「 えっ? 」」」


「「「 ふふふっ 」」」







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