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相川煌と黒瀬ヒカリ(1)

今回は短めです。


水樹弥生が妹の結に約束を取り付けて、至極ご満悦になって帰って行った。

当初の予定であったコウとAO上でフレンド登録する話は、どこ行く風か、、。



コウは、玄関で弥生を見送ったあと少しの間呆然としていた。

同じく弥生を見送った結も、兄の傍にいるのだが、そんな兄の様子を見てニヤニヤしている。



大きな溜息をつくコウは、結を恨めしそうに見やって

「全く余計な約束をしてくれたもんだ、、、」


結は、吹けもしない口笛を吹いて、とぼけた態度をとる。


少しイラっとしたがいつもの事なので、こういう時はまともに相手しないに限る。

何だか今日は疲れたな、とシミジミ思う。

慣れない事はするもんじゃない、、。

本来は掛ける必要のない"伊達メガネ"を外して、目頭の違和感と疲れを緩和する為に指で押さえる。


その後、コウは無造作に自分の髪の毛の襟足を掴むと、思いっきり引っ張り出した。

すると黒髪がすべて取れてしまう、まるで被り物のように。

そうウィッグだった。

地毛を纏めるウィッグネットも一緒に外れてしまう。

そしてウィッグの下からは、コウの本来の髪の毛が姿を現す。


それは、背中の半ばまである長さの、とても美しい白銀の髪であった。


コウは、しかめっ面で髪の毛をわしゃわしゃしだす。


結はそんなコウを嬉しそうに見て

「いいじゃん、身近なクラスメイトが黒瀬ヒカリに会いたがってるんだから」

「それに、お兄ちゃんが黒瀬ヒカリを演じていたなんてバラしてないし」


不貞腐れるコウ。



そしてコウは、ハッとした様子で

「もし俺が黒瀬ヒカリだって水樹さんにバレたら、、、」

「きっと変態扱いされる、、」



コウはガックリと膝から落ちると

「今まで出来るだけ目立たないように、、、」

「他人と関わらないように高校生活を静かに送ってきたのに」

「ネトゲー廃神で女装する変態だと学校中の人間に後ろ指さされる!」



その様子を苦笑しながら見つつ結は、

「そう言えば去年の今頃もこんな感じに、お兄ちゃん血相変えてたね」


コウは訝し気に結を見やると

「え? そうだっけ?」


「ほら、大会の通知がメールで来た時に!」と煽る結。


コウは少し馬鹿にした表情で

「第一回世界最強決定戦だろ?」

「あれは今頃じゃない、開催日の一カ月前、7月初頭に通知が来たから正しくは、1年と2カ月前だ!!」



結は、キィーーと癇癪を起すような態度で

「細かいのよ、お兄ちゃんは!!」

「そんなの、どぉーでもいいわ!」



コウは、結をドウドウと鎮めて

「まあ、あの時も確かに大変だったな、、、」



そしてコウは、結の言う”去年の今頃”に思いを馳せた。








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