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水樹弥生と相川結 (2)

職場の昼休み中に、執筆中の八話を完成させて投稿しました。


コウの部屋の扉をノックする音がしてすぐに

「お兄ちゃん、お茶とお菓子持ってきたよ」

と、結の声がした。


コウは何故か少し慌てた様子で返事する

「お、おう、、、」


妹の結がゆっくりと扉を開けて、お茶とお菓子が乗ったトレイを持って部屋に入ってきた。

そして結は、部屋の中央にあるテーブルにトレイを置くと

「こんにちは、妹の結です」

「ゆっくりしていって下さいね」



弥生は、そんな結の姿を見て硬直する。

そんな弥生の様子を見てコウは、内心で呟く

『あ〜、結を初対面で見たら皆こうなるんだよな、、』



結の外見は、弥生より少し小さい身長155cm。

そして何より眼を見張るのが綺麗な金髪の少し長めのショートボブだ。

その上、非常に整った容姿の美少女で、まるでお人形さんのようである。



弥生は口に手を当てて驚きながら

「ええっ!? 妹さん?!」


続けて弥生は結の頬に手で触れると

「色白の金髪美少女なんて初めて見た!」

「なんて可愛いの!」


更に追い討ちをかけるように弥生は結を抱きしめる

「私は相川くんのクラスメイトで水樹弥生」

「よろしくね、結ちゃん!」

結は抱き締められてビックリしつつ

「は、はい、、、」



ゴホンっ、と咳払いをするコウ。



我に返って申し訳なさそうに結から離れた弥生は

「ごめんなさい、、つい興奮しちゃって」

苦笑する結。



「でも凄いわね、、これ本物の金髪よね?」

「ハーフ? クォーター?」

「て、相川くんは普通の日本人なのに、、、」

と無意識に結の髪に触れる弥生。



結は少しくすぐったそうに困った様子で、

「母方の家系に北欧の血が入ってて、その隔世遺伝みたいなんですよ」


弥生は驚いた様子で呟く

「へぇ、、隔世遺伝なのかぁ」

そして結とコウを交互に見て

「ここまで似てない兄妹も珍しいわね」

苦笑する結と、ムッとするコウ。



突然思い出したように

「そういえば結ちゃんもAOをするのかな?」

急に話が変わった展開の早さに驚きつつも結は、

「え? あ、はい、、アヴァロンオンラインですよね」

「プレイしてますよ」


「プレイヤーランキングとかどれくらいなのかな?」


「えーと、、最近やっと1万位内に入りましたね」



弥生は少し考える仕草で、

「2500万人中、1万位内に入るって、、、」


そして驚く弥生

「かなり凄いよね!」

謙遜するように困った表情の結は

「う〜ん、、そうなのかな?」

興味無さそうにコウは相槌を返して

「たぶん凄いんじゃないのか?」



すると弥生がコウを見つめて

「じゃあ相川くんは、何位なの?」

コウは、しまったという顔を見られないように、そっぽを向いて

「似たようなもんだよ、、」



弥生は首を傾げて不思議そうに

「ふ〜ん、、、」

結は何か企んでいるようなニヤついた表情で

「ふ〜ん、、、」

コウは、居心地が悪くなって目が泳ぐ。



微妙な雰囲気になって、間を持たせようと咄嗟に会話を切り出す弥生。

「私ね黒瀬ヒカリさんに憧れてAO始めたの」

「あの人は凄いよねぇ」

結は、ニッコリ笑顔で「そうですね」と答える。

コウは、その結の笑顔が何故か不気味に感じた、、。




「テレビで見た時、この人と話しをしてみたいと思ったのよね」

「でも実際に会って会話する機会なんて無いだろうし」

「だからゲームの中なら会えるかなって、、考えたんだけど」

と、もじもじとしつつ語る弥生。



結は、口の下に指を当てて考えるように

「ゲームの中の方が難しいんじゃないかな」

「実際に会う方が簡単ですよ」


それを聞いた弥生は「えっ」と、素っ頓狂な声を出して固まる。

お茶を飲んでいたコウが、お茶を吹き出す。



「だって黒瀬ヒカリさんは、、、」

と勿体ぶった溜めを置く結。

何故か顔が青くなるコウ。


わくわくした表情で今かと今かと期待する弥生。

「黒瀬ヒカリさんは、、?」


結はニッコリ笑顔で

「親戚ですもん、よく家に遊びに来ますよ」

コウは手で顔を覆って、はぁ、、と溜息をつく。

弥生は凄く驚いた様子で

「えええっ?!」と半ば叫んでいた。



そしてコウに怒ったような視線を飛ばし

「何で教えてくれなかったのよ!」

コウも負けずに怒りながら

「そっちこそ会いたいとか言わんかっただろ、、」



弥生は、ブゥと膨れて不満そうに

「だってまさか身内なんて思わないし、、」

仕方ないなぁ、と言う表情でコウは目を逸らし

「ま、まぁ、そうだよな、、、」



「次の日曜に、この間の大会の打ち上げをするみたいで」

「それに私も呼ばれてるんですが、、」

と遠慮がちに弥生に語りかける結。



わくわくした表情で弥生は

「え? まさか黒瀬ヒカリさんに?」

結は頷いて

「はい、良かったら水樹さんを紹介しますよ」

「都合が良ければですけど」


弥生は、大仰に手を横に振って

「都合なんか全然大丈夫!」

「結ちゃん、是非紹介してください!」


ふふっと微笑みながら結は

「分かりました、ではヒカリさんに連絡しておきますね」

それを聞いた弥生は、大喜びであった。



一方、コウはぐったりした様子で机に突っ伏していた。







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